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株価の暴落がいっそうの暴落を招くカラクリとは? こんなときのNG行動は?

LIMO / 2020年3月15日 20時20分

株価の暴落がいっそうの暴落を招くカラクリとは? こんなときのNG行動は?

株価の暴落がいっそうの暴落を招くカラクリとは? こんなときのNG行動は?

株価が大幅に下落しています。株価は暴落すると、さらなる暴落を招くメカニズムが働きかねないので要注意であり、狼狽売りは厳禁だ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は考えています。

株価が下がると借金で株を買っている投資家が「買いたい売り」

株価が大きく値下がりすると、借金で株を買っている人の売り注文が増えます。一部には「これ以上損が膨らむと借金が返せなくなる」という恐怖心からの売りも出るでしょうが、問題なのは不安になった銀行から返済の要請が来ることです。

「安いから値上がりすると思って買ったのにさらに下がったのだから、ここは買い増しをして大きく儲けよう」と考えている投資家は、銀行から返済要請が来ると、泣く泣く売り注文を出さざるを得なくなるわけです。悔しいでしょうね。

個人投資家で「信用買い」をしている人は、追加の証拠金を請求されて、それが払えないと仕方なく持ち株を売る場合がありますが、プロの投資家でも似たようなことが起きるわけです。

機関投資家の担当者が損切りという「買いたい売り」

機関投資家の多くは、担当者が一定以上の損失を被ると、持っている株を全部売らせて休暇を取らせて頭を冷やさせる、という「損切りルール」を設けているようです。

そのまま取引を続けると損失が無限に拡大してしまうリスクがある、ということに加えて、損を抱えた担当者は頭に血が上って冷静な判断が難しくなるから、ということもあるようです。

「安いから値上がりすると思って買ったのにさらに下がったのだから、ここは買い増しをして損を取り返そう」と考えている担当者が、すべての持ち株を泣く泣く売らされるのですから、悔しいでしょうね。

コンピューターによるプログラム売買も

筆者は詳しくないのですが、コンピューターによるプログラム売買も暴落を加速させる一因となりかねないようです。

プログラムによっては「上がったら買い、下がったら売れ」という内容のものもあるようですし、「株価が乱高下しているならば、株式資産はリスクが高いということだから、株の保有量を減らそう」という判断をするプログラムもあるようです。

初心者が狼狽売り

株価は時として理解できない不可解な動きをするわけですが、株式投資の初心者はそれを知らないため、「何か自分の知らない悪いことが起きつつあって、この世の終わりが来るのだろう」などと考えて狼狽売りをしてしまう場合が多いようです。

最初の暴落で買い出動して、その後の続落で頭が混乱して狼狽売りをする、という人も多いようなので、気をつけたいものです。

価格が下がると需要が減る

普通、価格が下がると需要が増えて供給が減りますが、株式の場合はそうとは限りません。上記のように、価格が下がると供給が増える場合があるからですが、需要の方も株価が暴落すると減る場合があります。

それは、買い手が「この水準まで下がれば買っても良いのだが、さらに下がりそうだから、もうすこし様子を見よう」と考えて買い注文を引っ込めてしまうことがあるからです。

投機家が先回りして売る

上記のように、株価にはひとたび暴落するとさらに暴落を続けるメカニズムが働きます。

それを知っている投機家は、「株価が暴落した時点で株を売り、さらに暴落した時点で買い戻す」ということを狙う場合があります。投機家ですから成功することも失敗することも当然あるわけですが。

そして、彼等が買い戻すのは、初心者が狼狽売りをしている時なのです。

売るべきプロたちが売り終わり、初心者が狼狽売りをする頃には、売る人が残っていないので、初心者の狼狽売りが終わると株価は投機家の買いでスルスルと戻ることも多いのです。買いのタイミングを待っていた人々も買い始めますから。

今回は、売るなと言える状況ではないが

以上のようなことを考えると、不可解な動きがあったとしても、狼狽売りはすべきではありません。しかし、「売るな」と言っているわけでは決してありません。

株価が上がりすぎていたのが修正されただけなのか、事態が悪化しているので株価はさらに下がるのか、修正が行きすぎて割安となったので株価は遠からず戻るのか、様々な可能性を考えて冷静に行動しましょう。

特に今回は「売るな」というわけでは決してありません。「冷静に行動しましょう」と言っているだけです。今起きている暴落の原因が新型コロナであり、感染がどこまで広がるかわからないからです。

感染の拡大が短期間で止まると考えるならば、株価が戻る可能性も大きいですが、感染が拡大して世界経済が大混乱に陥ると考えるならば、「今の株価でもまだ高すぎるので、さらに下がるだろうから、急いで売ろう」と考えるべきですから。

もともと株の短期売買は賭け事ですから、そのあたりは自分の考察を信じて行動すれば良いのです。くれぐれも狼狽せずに冷静に、ですが。

積立投資は絶対にやめないで

短期売買を楽しんでいる人は、相場観からの売り買いを楽しめば良いのでしょうが、筆者が特にもったいないと思うのは、暴落すると狼狽して積立投資を止めてしまったり売ってしまったりする人がいることです。

積立投資というのは「初心者は自分の相場観で判断すると間違えるから、敢えて相場観を持たずに淡々と積立投資を行なう」というものなのです。それなのに、相場観から積立を止めてしまうのは、あまりにもったいないことです。

積立投資をしている人は、「新型コロナがどれほど深刻化しようと、20年後まで影響が残っていることはないだろう」といった大らかな気持ちで投資を続けましょう。

そう考えると、「今月は安く株が買えた」とポジティブな気持ちになり、「解約するなどトンデモない」と思えるかもしれませんよ。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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