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新型コロナの軽症者が検査を受けるリスクはメリットより大きい

LIMO / 2020年3月22日 20時20分

新型コロナの軽症者が検査を受けるリスクはメリットより大きい

新型コロナの軽症者が検査を受けるリスクはメリットより大きい

新型コロナの検査を受けたい人は多いけれども、軽症者が検査を受けるリスクはメリットより大きいからやめた方が良い、と筆者の塚崎公義氏は考えています。

* * * * *

筆者は医療にも新型コロナにも詳しくありませんが、統計等の考え方をご紹介することで、重症者以外の人が検査を受けることのリスクがメリットより大きい、ということを示したいと思います。

新型コロナの検査を受けたい人は多いはず

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に拡大を続けています。未知の病気ですし、症状が無くても罹患している可能性があるとのことですし、自分が罹患しているのか否かを知りたくて検査を希望している人が多いようです。

罹患しているならば、重症化して死に至るかもしれませんし、周囲の人に感染させてしまうかもしれないわけですから、自分の状況を知りたいと考えるのは、当然のことですね。

しかし、筆者は重症者以外は受けない方が良いと考えています。自分の利益だけを利己的に考えてもそうですし、他人の迷惑ということを考え併せれば、いっそう受けるべきではないでしょう。

検査を受けたいのは小さな確率が大きく感じられるからかも

日本中で確認されている罹患者は千人程度ですが、検査を受けていない人も罹患している可能性があるので、全くの勘ですが、罹患している人は1万人位でしょうか。大雑把に日本の人口を1億人だとすると、1万人に1人というイメージですね。以下では、その前提で考えて行きます。

筆者は重症者ではありません。その場合、新型コロナに罹患している確率は1万分の1ということになります。筆者は高齢者でもありませんし、心臓等々に持病を抱えているわけではありませんので、仮に罹患していたとしても重症化する確率は高くないようです。その場合、筆者が重症者になる確率は数万分の1でしょう。

そんな小さな確率でしか重症化しないのに、金と時間を使って検査を受けに行くのはコストに見合わないでしょう。金と時間だけではありません。検査を受けるためには病院の待合室で何時間も過ごさなくてはならず、その間に罹患する可能性は決して小さくないのです。何といっても、待合室は日本中で一番患者と接近しやすい場所なのですから。

人間は、とても小さな確率は実際以上に大きく感じるものだそうです。飛行機が落ちるのが怖くて飛行機に乗りたくない、という人が多いのは、まさにそうした錯覚のせいですね。

今ひとつ問題なのは、検査が陰性だとしても、罹患していないとは断言できないことです。検査が間違えている可能性も少しはあるでしょうし、検査時点では潜伏期間で検査後にウイルスが増殖したのかもしれませんし、検査時に病院の待合室で感染したかもしれません。

つまり、「1万分の1の確率で罹患しているかもしれず、不安だから検査を受けた」のに、「罹患している確率は1万分の1よりは少し小さい」ということがわかるだけなのです。そのために検査を受けるのは、筆者は避けたいですね。

検査を受けても真実が判明するとは限らない

検査が絶対に間違えないものであれば良いのですが、時々間違えるようです。完璧な検査方法が発見されていないからでしょう。たとえば100回に1回間違えるとしましょう。

1億人が検査を受けるとします。罹患していない9999万人のうち、99.99万人は「陽性だ」と判定されてしまいます。何日も隔離されるかもしれません。本当に隔離が必要なのは1万人だけなのに。

つまり、検査を受けると1万分の1の確率で必要のある隔離をされるが、その100倍の確率で不必要に隔離される、というわけですね。

さらに問題なのは、隔離されるだけで、治療してもらえるわけではない、ということです。新型コロナのウイルスを撃退する薬はないので、症状が出てから解熱剤を投与したり人工呼吸器を付けたりすることはできても、無症状の罹患者に何か治療するということはできないのだそうです。

「陽性が出たら、多くの場合には罹患していないけれども隔離される。罹患している場合でも治療は受けられない」なんて、そんな検査、筆者は受けたくありません(笑)。

検査を受けないでウイルスを撒き散らすリスクより大きなリスクあり

筆者が検査を受けないと、仮に1万分の1の確率で筆者が罹患していた場合に周囲にウイルスを撒き散らす可能性があります。したがって、「道徳的に考えて、他人に迷惑をかけないために検査を受けるべきだ」という考え方があり得ます。

しかし、筆者が検査を受けることで、それ以上の迷惑を他人にかける可能性が高いのです。

まず、検査には人手がかかります。1億人を検査するには長い時間がかかるでしょう。そうであれば、重症者を先に検査し、余裕があれば軽症者を、それでも余裕があれば無症状者を検査する、という順番を付ける必要があります。

次に、仮に陽性が出た場合に隔離するということになると、100万人分の隔離施設が必要になりますが、日本には隔離施設がそれほど多くないはずです。そうであれば、重症者から先に隔離して治療すべきでしょう。

重症者の隔離と治療を行って、余裕がある場合に初めて軽症者の検査と隔離と治療を行う、という順番が必要です。最初に軽症者が検査を受け、隔離されてしまって重症者が検査や隔離や治療が受けられない、などということにならないようにしたいものです。

軽症者は自宅待機ということであれば、隔離施設が不足することはないかもしれませんが、それでも「多分本当は罹患していないにもかかわらず、周囲に多大な迷惑と心配をかける」ことになるわけで、やはりお勧めはできませんね。

末筆ながら、新型肺炎で亡くなった方々のご冥福をお祈り致します。また、罹患されている方々には、お見舞い申し上げると共に、各位の一刻も早い回復をお祈りしております。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから(http://www.toushin-1.jp/search/author/%E5%A1%9A%E5%B4%8E%20%E5%85%AC%E7%BE%A9)>>

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