トランプリスクで今秋また金融市場は動揺するのか?
LIMO / 2020年3月17日 21時10分
トランプリスクで今秋また金融市場は動揺するのか?
大統領選の相手はバイデン氏の可能性が高まる
民主党予備選は、オバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏に有利な状況になりつつある。
3月10日に国内6州で行われた民主党予備選の結果、バイデン氏は4州で勝利し(執筆当時)、代議員数を806人に伸ばし、662人となったサンダース氏との差を広げた。
民主党予備選、次の注目点は17日の結果
バイデン氏は当初アイオワ州とニューハンプシャー州で実施された予備選で大敗し、先行きが不安視されていたが、2月29日のサウスカロライナ州の予備選で圧勝して勢いをつけた。また、3月3日のスーパーチューズデーでも、14州中10州で勝利し、一気に本命候補に名乗り出た。
既に、同じ中道派の前サウスベンド市長のブティジェッジ氏、前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏もバイデン氏支持にまわっており、バイデン氏有利に予備選が進んでいく可能性が高い。
指名候補を勝ち取るには、全米各州に割り当てられた代議員数3979のうち1991を獲得する必要があるが、17日に行われるイリノイ、アリゾナ、オハイオ、フロリダの4州での予備選が大きな山場になる。
ここでバイデン氏が圧勝するようであれば、左派のサンダース氏はさらに苦境に陥ることになる。
トランプ氏攻略はできるのか?
しかし、バイデン氏が優勢になっていくとしても、秋の本番でトランプ大統領に勝てるかどうかは分からない。
民主党に求められるのは1つになることであり、バイデン氏とサンダース氏との間で亀裂が激しくなるようであれば、それだけトランプ大統領に有利に働くことになる。トランプ大統領もそういった民主党の弱点を突く形で選挙戦を進めていくことは想像に難くない。
民主党の中にも、中道派を中心にサンダース氏では勝てないとの見方があり、同氏で民主党が1つになれる可能性は極めて低い。バイデン氏を本命にするため、いかにサンダース氏を説得できるかがカギと考える民主党員もいることだろう。
トランプ大統領もサンダース氏の方がやりやすく、民主党がバイデン氏を本命として1つになって挑んでくることを警戒している。
バイデン氏にも若者票をどう取り込むかなどの課題はあるが、副大統領の経験を武器に、この4年間のトランプ政権によって生じた課題、すなわち移民・難民と白人との亀裂、国際協調主義の衰退など、を強調していくことだろう。
今回の大統領選で金融市場の動揺は起きるのか?
トランプ大統領が誕生して以降、市場関係者や投資家たちは、トランプ大統領の何をするか分からないという“不透明戦略”に悩まされてきた。今年1月のイラン危機や2017年の北朝鮮危機、米中貿易摩擦など、それらは“トランプリスク”として度々市場関係者たちを動揺させた。
前回の米大統領選の結果、日本を含め世界の市場関係者や投資家たちはトランプリスクという難題に直面することになった。今回の選挙は、トランプ政権の一期目をジャッジする選挙でもあり、今の状況では、そのリスクがさらに4年間続くというシナリオはそれなりに予想がつく。
よって、金融市場からすると、株価変動などについては前回ほど“不安定”な選挙ではない。秋が近づくほど、選挙戦の行方は見えてくるので、市場関係者や投資家たちに与える悪影響は前回ほどではないかも知れない。
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