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【大戸屋】上場来初の赤字予想は「人気定食の値上げ」が原因?「コロナショック」が追い打ちをかけるか

LIMO / 2020年3月20日 18時45分

【大戸屋】上場来初の赤字予想は「人気定食の値上げ」が原因?「コロナショック」が追い打ちをかけるか

【大戸屋】上場来初の赤字予想は「人気定食の値上げ」が原因?「コロナショック」が追い打ちをかけるか

2020年2月28日、業績予想の修正により上場来初の赤字予想となった大戸屋は、同時に黒字転換に向けた経営改善計画を発表しました。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行のあおりを受け「外食離れ」のムードが広がるなか、さらに窮地に立たされているようです。

「大戸屋」の純利益・売上高・業績予想は?

まず、2020年2月12日に発表された大戸屋ホールディングス(2705)『2020年3月期 第3四半期決算(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00928/f30026f3/5b30/4299/b389/bbddad9f3183/140120200211461741.pdf)』によると、2020年3月期第3四半期(2019年4~12月期)の業績は以下の通りです。(※1)

・売上高 186億6,100万円
・営業損益 2億1,700万円の赤字
・親会社株主に帰属する四半期純損益 1億8,800万円の赤字

また、2月28日公表の『特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00928/80d753b5/0c80/462c/8527/f4d7e6d89de1/140120200228471696.pdf)』(※2)において、本決算の業績予想を「損益なしの0円」から「5.3億円の赤字」へ修正しました。

これにより、大戸屋は2001年8月にジャスダックに上場して以来、初の赤字決算が濃厚となりました。

上述の『特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ』によると、大戸屋が業績予想を赤字予想へと下方修正した原因は3つに分類されます。

1つは「自然災害・環境によるもの」です。2019年10月に上陸した「台風19号」による営業時間の短縮や、9月に予定していた恒例の「生さんま炭火焼定食」がさんまの不漁により販売延期となったことが売上減の要因となりました。

次に「世界情勢の悪化」です。香港におけるデモの長期化が、香港に5店舗を展開する大戸屋の売上を大きくダウンさせました。

最後に「遠のいた客足が回復していない」ことです。国内事業の既存店の客足が回復せず、10月のグランドメニューの一部改定による売上高が想定を下回ったことを、業績予想の下方修正の理由としています。

赤字の最大の原因は「人気定食の値上げ」?

しかし、過去の経緯を詳しくみると状況の見え方が変わってきます。

実は、大戸屋が「業績予想の修正」を発表するのは2020年3月期では2回目で、2019年11月5日にも「売上高25億円減、親会社株主に帰属する四半期純損益2億9,000万円減」という業績予想の修正を行っています。

また、11月に行われた1回目の業績予想修正時には、すでに「台風による自然災害」や「さんまの不漁」、「香港のデモ長期化」は盛り込まれていました。

つまり、4~12月期の業績予想の下方修正は、客足が回復していないことが大きく影響を与えていると考えられます。

客足が遠のいた最も大きな要因は、4月に行われた12品目の一斉値上げであるといわれています。

大戸屋ホールディングスの窪田健一社長は、当時「値上げをしても、共働きの家庭が増えることで、大戸屋のヘルシーな定食メニューの需要は高まる」と見解を示したうえで、値上げによる客足の落ちこみは少ないと予想しました(※3)。

しかし、実際は値上げにより客足は遠のき「マクドナルド」や「丸亀製麺」などの低価格チェーン店への顧客流出につながりました(※4)。

黒字転換への道、COVID-19が暗雲となるか

値上げにより客足が遠のいたことを受けて、大戸屋は2019年10月の消費税増税に伴う値上げを行わず据え置きにするなどの措置を取りましたが、結果的に客足は回復しなかったようです。
そして2020年2月28日、大戸屋はこれまでの経営不振を受けて「役員報酬の減額」(※5)を決定するとともに、『「経営改善計画(骨子)」に関するお知らせ』(※6)を発表しました。

経営改善計画には「カット野菜等を使う人手不足の改善による人件費カット」や「お値打ち価格の実現」などが盛り込まれています。

さらに、2019年10月には「牛角」や「かっぱ寿司」を傘下に持つ外食大手「コロワイド」が、大戸屋ホールディングスの創業家から発行済み株式の18.67%を買い取ったことにより、業務提携やM&A(合併・買収)、協業などが期待され大戸屋ホールディングスの株価は一時急騰しました。

経営改善や協業により黒字転換への再建に向かう大戸屋ですが、そこに世界的に流行しているCOVID-19が大打撃を与える恐れがあります。
COVID-19を恐れ、顧客が外出を控える傾向になれば、大戸屋の店舗ごとの売上減は確実です。

また、2月28日に発表された「業績予想の修正」には、COVID-19については盛り込まれておらず、大戸屋の本決算は5.3億円以上の赤字になることも考えられます。

上場来初の赤字決算が濃厚となった大戸屋に、COVID-19が追い打ちを掛けそうですが、今の状況から将来的に黒字転換を成し遂げることができるのでしょうか。今後の経営改善の成果を見守るしかありません。

【参考URL】
(※1)『2020年3月期 第3四半期決算(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00928/f30026f3/5b30/4299/b389/bbddad9f3183/140120200211461741.pdf)』大戸屋ホールディングス 
(※2)『特別損失の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ(https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS00928/80d753b5/0c80/462c/8527/f4d7e6d89de1/140120200228471696.pdf)』大戸屋ホールディングス
(※3)「大戸屋、12品目で最大70円値上げ 原材料費や人件費高騰受け(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43910060Y9A410C1HE6A00/)」2019年4月18日 日本経済新聞
(※4)「大戸屋、直営店を黒字転換(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO53483340X11C19A2DTA000/)」2019年12月18日 日本経済新聞
(※5)『役員報酬の減額に関するお知らせ(https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/c6f00y/)』大戸屋ホールディングス
(※6)『「経営改善計画(骨子)」に関するお知らせ(https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/c6f00v/)』大戸屋ホールディングス

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