老後資金がなくなった!? 破綻に陥る”想定外”を避けるためには?
LIMO / 2020年3月30日 20時25分
老後資金がなくなった!? 破綻に陥る”想定外”を避けるためには?
昨年は「老後2000万円問題」が大きな話題となりました。これをきっかけに、今まで以上に老後資金を意識し、貯蓄への意識が高まったという人も多いのではないでしょうか。
しかし、老後資金を用意していても想定外の出費で老後破産に至ってしまうケースもあるようです。その原因や老後資金を守るための心得を見ていきます。
70代の平均貯蓄はどれくらい?
まず、年金生活に入っている70代ではどれくらい貯蓄があるのかを見ていきましょう。
金融広報中央委員会(知るぽると)が2019年11月に発表した「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/movie/yoron/futari/2019/)」によると、70歳以上の金融資産※保有額は、平均値が1,978万円、中央値(データを大きい、または小さい順に並べたときに真ん中にある数値)は1,100万円という結果でした。
しかし、上記の結果は金融資産を保有している世帯に限った数値です。金融資産を保有していない世帯を含めると平均値は1,314万円、中央値は460万円で、貯蓄がある世帯とない世帯に大きな差があることが分かります。また、金融資産非保有世帯は31.1%、100万円未満は3.4%となっています。
一方、貯蓄はあったとしても想定外の出費で老後資金が足りなくなるリスクはあります。老後破産につながるケースにはどんなものがあるでしょうか。
※金融資産には預貯金、保険、株式や投資信託その他の有価証券などが含まれます。
予想を上回る出費のリスクがあるのは?
親の介護費用
老後破産に至るのには、「貯蓄が不十分だったから」ということだけではありません。「貯蓄はしていたけれど、それを上回る出費があった」ということもあるのです。
その「予想を上回る出費」の一つが親の介護。たとえ親が「子どもの世話になるわけにはいかない。お前たちに迷惑はかけない」と言っていたとしても、蓋を開けたら資金が足りないというケースもありえます。
老人ホームへ支払う費用や家のリフォームにかかる費用、医薬品代、オムツなどの消耗品代といった介護費用は意外とかかるものです。介護の期間が長期化すればその分出費も増えることになります。
家族の間でもお金のことは話しにくいかもしれませんが、親の貯蓄状況の確認や、兄弟姉妹との費用負担についての決め事を怠っていると、こんなはずでは!という状況に陥ってしまうことになるかもしれません。
子どもの教育費
もう一つ、予想を上回る出費になる可能性のあるものに子供の教育費があります。「希望の学校に行かせてあげたい」「できるだけ苦労をさせたくない」というのは誰もが抱く親心でしょう。しかし、家計の現実を無視することはできません。
文部科学省の調べによると、2018年度の私立大学の年間授業料※(全学部平均)は約90万4000円、国公立大学は約53万5000円。そこに至るまでに、小中高を公立にするか私立にするか、あるいは塾などに通わせるかどうかでも必要額は変わってきます。
子どもの教育費だけに意識を向け過ぎた結果、老後に資金不足に陥れば、かえって子どもに迷惑をかけることになります。そのため、教育費と老後資金は別々に、かつ計画的に貯めておく必要があるのです。
※入学金や寄付金など初年度特有の費用を除く。
老後資金を失わないために
老後資金に備えるために投資を考える人もいるでしょうが、貯蓄を一気に増やそうとすべてを投資に回すのは危険です。
投資は元本割れのリスクがあり、タイミングによっては資産を大きく減らすこともありえます。投資をする場合は余裕資金が原則なので、損失が出ても当分の生活に困らない範囲の金額で始めるのが無難です。
また、個人型確定拠出年金の「iDeCo」や「つみたてNISA」のように、月々積み立てをするタイプで節税効果のある制度を利用したり、株・投資信託の長期保有を考えるといいでしょう。
特にiDeCoは老後資金の貯蓄を目的にしており、投資信託だけではなく定期預金のような元本割れのリスクがないものも用意されています。加えて、原則60歳までは引き出すことができないので、着実に老後資金を貯める一助となります。
なお、FXや先物取引など投機性の高いものは投資初心者には向きません。このような投資方法はハイリスク・ハイリターンであり、相場の急変により投資資金を一気に失うことがあるからです。
さらに、投資詐欺も横行しているので甘い話には注意が必要です。投資商品で「絶対に儲かる」というものはまずありません。自分が理解できないものに対して投資するということはやめておきましょう。
おわりに
親の介護・子どもの教育費など想定外の出費が発生し、貯蓄はあったのに老後資金を確保できなくなることもあります。それぞれの家庭の状況に応じて、親きょうだいや自分の子どもと将来のことを話し合っておくことで、”想定外”を減らしていきましょう。
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