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育児のしんどさ、男と女でこんなに違う? 子育てをめぐる夫婦のギャップ

LIMO / 2020年4月7日 20時0分

育児のしんどさ、男と女でこんなに違う? 子育てをめぐる夫婦のギャップ

育児のしんどさ、男と女でこんなに違う? 子育てをめぐる夫婦のギャップ

育児ブログや育児アカウントでは、思わず「そうそう!」とうなずくようなエピソードをよく目にします。その多くは女性目線で発信されており、育児のしんどさや大変さは、いまだ女性の方に重くのしかかっているようにも見えます。

今回は、“男性と女性とでは、なぜ育児に対するしんどさが違うのか”というところにスポットを当てて考えていきたいと思います。「パートナーが子育ての大変さを理解してくれない!」と少なからぬママたちが嘆いている、その背景には何があるのでしょう。

女性の育児は「妊娠した時点」がスタート

「もしかして妊娠?」と思ったところから、女性の心の中には「自分たちの子ども」のイメージがつくられ始めます。妊娠が判明したあとは、体にも心にも大きな変化が次々と現れ、否が応でも「母親になるんだ」という自覚が芽生えてきます。

つわりで苦しむ日々を乗り越え、食べ物の栄養や体の動かし方一つにも細かく気を使いながら十月十日(とつきとおか)を過ごす。我が子が誕生する前から、小さな命を守り育てていくのだということを意識するようになっているのです。

一方男性は、パートナーが妊娠による体の変化に戸惑い、苦しんでいるときも、見守ってサポートしてあげることしかできません。体の構造上、これは仕方のないことです。

中には、妊娠がわかった時点で「これからは妻も子どもも守っていかないと!」と、気持ちが引き締まる男性もいるでしょう。しかし、多くの場合、男性が父親として目覚めるのは出産のあと。小さな赤ん坊を自分の手で抱っこしたときから、なのではないでしょうか。

赤ちゃんの泣き声も心への響き方が違う

出産したばかりで疲労困憊していても、女性が育児をスタートできるのは、男性よりも早い時点から母親として体と心の準備をしているからなのでしょう。それだけに、変化に対応するためのストレスも十月十日分、早くから受け続けていると言えます。

自宅へ戻ってからも、女性に育児の負担がかかりやすい状況は続きます。

新生児の育児で一番大変だったことを先輩ママ100人に聞いた調査(小学館の子育てサイト「HugKum」調べ/2019年(https://hugkum.sho.jp/73232))によれば、トップは「睡眠不足(25.4%)」。

「おなかがすいた」をはじめ、赤ちゃんはさまざまなことを泣いて伝えます。そのためママには気を抜ける時間がほとんどありません。

実は、赤ちゃんの泣き声は、女性の感情や共感性などを司るさまざまな脳の部位を活性化し、育児行動を引き起こす役割をはたしていることが研究によって確かめられています(※1(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3618419/))。男性には、残念ながら、赤ちゃんの泣き声による脳の活動変化は見られなかったそうです。

パパったら、あんなに泣いてるのに目が覚めないなんて、信じられない!」という経験はママにはあるあるかと思いますが、そんな事情があることを知っていると少しは怒りの炎も弱まるのではありませんか。

とはいえ、泣き声から子どもの欲求を聞き取ったり、夜中に起きて子どもの授乳をしているパパも実際にいるのですから、生物学的な差がすべての行動を決めるわけではありません。ヒトは社会的な生き物、環境に応じて変わっていくこともできるはず。

それぞれの家庭でできる範囲の工夫をしてみてほしい!と心の底から思います。

最大のストレスは「自分の時間がない」こと

妊娠・出産によって、体や心、生活スタイルに大きな変化が生じる女性に対し、男性の生活はそこまで大きく変化しないことがほとんどではないでしょうか。

もちろん、これまで経験したことのない「育児」という作業が増えるので、大変だと感じることもいろいろあると思います。夜中に赤ちゃんの夜泣きで起こされて、ママと一緒に寝不足になったりするかもしれません。

しかし、通勤や仕事中には一人になれる時間もあるでしょうし、トイレにだって行きたいタイミングで行くことができる。お昼ごはんも、赤ちゃんの泣き声で中断されることもなく食べられます。

子どもが生まれるまでは、ママにとってもこれは当たり前のことでした。その「当たり前にできていたことができなくなる」「すべて子どものペースに合わせなければならない」ことが、出産後の女性に大きくのしかかる“しんどさ”“大変さ”の正体なのです。

しかし、その事実に気づいていない男性は意外と多いようです。

明治安田生命が2019年に行った「子育てに関するアンケート調査」(※2(https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2019/pdf/20191015_01.pdf))では、自分のことを「イクメンだとは思わない」という夫たちに理由を聞いています。トップの答えは「家事は妻に任せきりだから(複数回答 39.6%)」でした。

一方、自分の夫を「イクメンだとは思わない」という妻たちの理由はまったく違います。理由の1位は、「子どもより自分のことを優先するから」。なんと56.3%もの女性回答者がその理由を挙げているのです。「子育てというのは、子ども優先で行動するということよ!」というママたちの叫びが聞こえてきそうな結果です。

子どもの入浴やおむつ替え、幼稚園・保育園の送り迎えをしてもらえれば、もちろん助かります。けれども、やりたいことをやりたいようにやれない──この精神的なストレスは、子どもがある程度大きくなるまで何年間もママにつきまとうのです。

しんどさを一人で抱え込まないで

男性が女性の気持ちを100%理解することなんてできませんし、その逆もまた同じです。だからと言って、思いをグッと呑み込んで、育児のしんどさを女性が一人で抱え込むのは間違っています。

新しく誕生した命は、ほかでもない二人の子ども。それぞれ子育てへの認識や感じ方に違いがあることを理解し合いながら、パートナーと一緒に大変な時期を乗り越えたいものです。

【参考】
(※1)Nicola De Pisapia, et.al. “Gender Differences in Directional Brain Responses to Infant Hunger Cries(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3618419/)” Neuroreport (2013 Feb)
(※2)明治安田生命「子育てに関するアンケート調査(https://www.meijiyasuda.co.jp/profile/news/release/2019/pdf/20191015_01.pdf)」(2019年)

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