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私が会社を辞めた日。女性3人の退職理由からみる「テレワークのあり方」

LIMO / 2020年3月31日 19時45分

 私が会社を辞めた日。女性3人の退職理由からみる「テレワークのあり方」

私が会社を辞めた日。女性3人の退職理由からみる「テレワークのあり方」

甚大な被害を巻き起こしている新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)。各地に感染が広がるなか、政府から発表された「テレワークの積極的な活用」要請によって、在宅勤務が採用された企業も少なくないといいます。

総務省による「平成29年通信利用動向調査(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html)」ではテレワークの導入率は13.9%で、この数も今後増加傾向にあることが推測されます。いま注目されるテレワークですが、勤務先がテレワークを導入していないこともあるでしょう。今回は女性3名の退職理由からひも解く、テレワークのあり方を考えていきます。

子育てと仕事の両立が無理だった 

子どもが1歳半のときに職場復帰を果たしたYさん。運よく職場近くの保育所が決まって、順調に社会復帰ができると思っていたそうです。

しかし、子育てと仕事の両立は思った以上に大変だったといいます。1歳半の子どもは体も弱く、頻繁に熱を出すので会社を休まざるを得なかったそうです。夫と分担できたらいいのですが、夫は昇進がかかった大事な時期だったようで、結果、すべてYさんの負担になったのだとか。

「保育園からの呼び出しで早退、朝から熱があれば有休。毎回突然に休むので、同僚には迷惑ばかりかけていました。

当然ながら重要な業務は任されることはなく、夫の出世とは反比例して窓際業務に……。それでも、私の急な休みによって残業させられる人がいる、と思うと仕事は続けられないと判断しました。」Yさんは職場復帰して約1年で依願退職したのだそうです。

全国満20歳~49歳男女10,054人を対象に、内閣府が平成22年3月に発表した「平成21年度 インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者意向調査(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_riyousha/html/2_4_7.html)」によると、「期待する職場における仕事と生活の両立支援制度」の1位「フレックス制度」(40.3%)に次いで「在宅勤務・テレワーク」(29.5%)が2位となりました。

「会社にテレワーク制度があれば、まだ続けていたと思います。」Yさんがいうように、子どもの体調を考慮しやすいテレワークは、子育て世代の大きな強みになるのかもしれません。

一流企業に入社したけれど…子どもが欲しかった

新卒で一流企業に就職したNさんは、同僚のなかでも一番の出世頭だったといいます。しっかりとキャリアを積んだNさんの転機は、39歳のときに結婚をしたことでした。

「子どものことを考えました。年齢的にも焦りがありましたし…。でも、妊娠・出産となると、私のキャリアが無駄になるのではないか、と葛藤しました。」

育休を最小限にし、在宅勤務から職場復帰を考えたNさん。しかし、勤務先はテレワーク制度が導入されていたものの、管理職の利用者はゼロ。書類の確認や部下への指示、管理職会議に参加できないなど、一流企業でも問題が山積みだったそうです。

アベノミクスの3本の矢のひとつともいわれた「女性の活躍」。内閣府男女共同参画局が発表した「『2020年30%』の目標の実現に向けて(http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/pdf/2020_30_all.pdf)」では、2020年までに指導的地位の女性は少なくとも30%程度まで上げることを目標に掲げていました。しかし女性の躍進には大きな壁があるようです。

「仕事か、子どもか」を迫られたNさんは、結局「子ども」を選択したのだとか。キャリアを捨て、家庭に入ったNさんは今でも「管理職でもテレワーク制度を利用できるように改革すればよかった」と後悔しているそうです。

同僚からの嫌がらせに耐えられなかった 

Sさんの退職理由は、自身の教育係からの嫌がらせだったそうです。業務の流れを最後まで教えてくれない、質問をしても無視、みんなの前での叱責と、執拗に繰り返される嫌がらせに、Sさんは耐えられずに半年で辞めてしまったといいます。

厚生労働省の発表した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000165752.pdf)」の(平成28年度報告書)によると、従業員から相談窓口への相談理由は、「パワハラ」が32.4%と最も多く、どの企業も対策が必要なようです。Sさんの場合は新人だったこともあり、周りに味方がおらず、依願退職以外の道はなかったのだそう。そんなSさんも、「テレワーク制度がもっと普及していれば、辞めなかったかもしれない」といいます。

「苦手な同僚と顔を合わせないで、自分のペースが確保できるのはいいですね。メールやチャットなら、オープンにやり取りできますし。『いった・いっていない』ということもないでしょう。それに、通勤時間がかからないのもポイントですね。テレワークは合理的だと感じます。」

テレワークになったからといって、苦手な同僚との関係が切れることはありませんが、付き合い方に余裕が生まれそうですね。

テレワークが「女性躍進」のカギになるのか

安倍政権が掲げているアベノミクスでは、女性の活躍に期待しています。しかし、女性は出産や子育て、または介護など負担も大きく、家庭を空けることができない人も多いでしょう。能力はあるのに非労働者であるという、わが国にとっても不利な状況にテレワークが一役買うのかもしれません。

フレックスやテレワークが本人の環境によって選択できれば、女性だけに限らず日本全体の労働の底上げにつながるかもしれませんね。

【参考】
総務省「平成29年通信利用動向調査(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd144310.html)」
内閣府「平成21年度 インターネット等による少子化施策の点検・評価のための利用者意向調査(https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/cyousa21/net_riyousha/html/2_4_7.html)」 内閣府男女共同参画局「『2020年30%』の目標の実現に向けて(http://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/2020_30/pdf/2020_30_all.pdf)」
厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000165752.pdf)」(平成28年度報告書)

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