「親戚づきあいからPTA活動まで」家事のお値段は“新卒初任給”とほぼ同じ!?
LIMO / 2020年4月7日 19時15分
「親戚づきあいからPTA活動まで」家事のお値段は“新卒初任給”とほぼ同じ!?
~プロに頼むと時給おいくら?~
『日頃の家事労働をお金にするといくらになるの?』
夫婦の家事分担について考えるとき、これはよく出るテーマの一つではないかと思います。
日頃の家事労働を外注したと考えて計算すると、主婦の家事労働は月20万円程度になるという説があります。
実はこの金額は2019年の大卒女子の初任給(20万6,900円)※とほぼ同じ。
これらの家事には『PTA活動』『親戚づきあい』といった用事も含まれます。
加えて、冷蔵庫の在庫管理や、家族の予定調整といった”見えない家事”も、家族の“誰かが”やってくれているわけです。
そこで今回は、「夫婦がお互いに納得のいく家事分担の心得」について考えていきたいと思います。
※「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/dl/02.pdf)」厚生労働省による
自治会やPTAでヘトヘト・・・
Aさんは、夫の強い希望で義実家から車で10分の距離に住んでいます。
古くからある住宅地に隣接した土地を購入したため、その住宅地一帯を含む自治会に加入。
会長などの大きな役職となると、長く住んでいる人たちの中から話し合いで選ばれますが、班長は何年かに一度順番で回ってきます。
今年はAさん宅の番。
町内会費の集金やゴミ捨て場の清掃当番の分担決めなど、ご近所とのやりとりで生じる気疲れは結構なものだそうです。
義家族とのつきあいでグッタリ
さらに、その地域の小学校では、「PTAのお役目は子どもが低学年のうちに済ませたほうがいい」という傾向があるそうです。
Aさんも、上の子が小学生になるのを機会に、ママ友と一緒に委員を引き受ける予定です。
義実家が近く、夫のきょうだいも全員が車で10分圏内に住んでいるということもあり、1~2カ月に1度のペースで親戚の集まりがあります。
地方のためか、男性陣はひたすら飲んで食べて場を盛り上げ、女性は料理と片づけの合間にちょっと食べるというような昔ながらの宴会スタイル。
子どもはいとこたちと遊べるのを楽しみにしているし、Aさん自身も義姉妹たちと良好な関係にあるので、集まりが苦になるわけではないのですが・・・。
義家族と一日一緒に過ごすとそれなりに気も使うわけで、宴会が終わった後はぐったりしてしまうそうです。
「うまいことやっておいて」夫の決まり文句にモヤモヤ
ちなみにAさんのご主人は、自治会もPTAもノータッチ。
さすがに義実家との連絡役ぐらいはやってくれますが、義親と意見が食い違ったときや、自治会の集まりに代理出席を頼んでも、完全に逃げ腰だそうです。
家のことはすべてAさんに丸投げ状態のご主人は、「うまいことやっておいて。俺には仕事がある」が決まり文句。
専業主婦のAさんとしては、夫のその言葉に反論できず、淡々と日々の「タスク」をこなしています。
「でもどこかがおかしい。家のこと、地域のこと、学校のこと・・・私だって家族のために時間をやりくりして働いているのに、収入が伴わなければ評価してもらないの?」
という理不尽な思いを常に心に抱えたまま・・・。
女性目線でみた「家事育児の値段」
自治会、PTA、義実家づきあい・・・。
程度の差はあれ、Aさん夫婦のように、妻/夫だけにこのような「タスク」が集中してしまっている家庭は多いのではないかと思います。
ソニー生命が実施した「女性の活躍に関する意識調査2019(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190424.html#sec3)」では、女性自身が考える「毎日の家事の時給」について次のような結果が出ています。
「毎日の家事や地域社会での貢献を時給換算するといくらになると思うか」
(自由回答。結果は平均値)
未就学児の育児・世話 …1,488円
小学生以上の育児・世話 …1,230円
PTA活動 …1,098円
食事の準備・後片付け …1,097円
親戚づきあい …1,009円
掃除・洗濯 …959円
地域とのつきあい(自治会・町内会など)…890円
「PTA活動が1,098円、親戚づきあいが1,009円」という女性の目線からみた数字、みなさんはどう感じましたか。
その負担は実際に経験して初めて分かることだと思いますが、こうして「お金」として見える化されると、少しイメージしやすくなりそうです。
内閣府が換算した「無償労働のお値段」は?
次に、内閣府が公表している家事の値段についてご紹介しましょう。
これは、内閣府経済社会総合研究所が2019年に公表した「無償労働の貨幣評価(https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/satellite/roudou/contents/pdf/190617_kajikatsudoutou.pdf)」に基づくものです。
評価の方法はいくつかありますが、ここでは代表的な2つについてみてみます。
「機会費用法」(OC法/Opportunity Cost method)
無償労働を行うことによる逸失利益(市場に労働を提供することを見合わせたことによって失う賃金)で評価する方法です。
簡単に言うと、「対象となる家事にかけた時間分、外で働いていたらいくら稼ぐことができたのか」という点から家事の値段を考えるわけです。
ちなみに、内閣府の資料でいうOC法の時間給は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の産業計、男女別・年齢階層別の一人当たり時間給(月間所定内給与額÷月間所定内実労働時間)。
例えば、30~34歳女性であれば1,502円、35~39歳女性であれば1,575円、40~44歳女性であれば1,614円が、内容問わず家事の時給ということになります。
「代替費用法スペシャリストアプローチ」(RC-S法/Replacement Cost method,Specialist approach)
無償労働を、市場で類似サービスの生産に従事している専門職種の賃金で評価する方法です。
なお、専門職種の時間給は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の職種別一人当たりの活動ごとの時間給(月間所定内給与額/月間所定内実労働時間)を採用しています。
RC-S法で考えたとき、PTAや自治会は「ボランティア活動」、親戚づきあいを「家庭雑事」とすれば、それぞれの時給は、1,828円(該当職種:協同組合、医療業などの加重平均)、1,230円(該当職種:用務員)ということになるでしょうか。
思いやりの気持ちは、発想の転換から
Aさんが普段行っている『PTA』『自治会』『親戚づきあい』といった活動は、対価は発生しないものの、家族関係や地域での生活を維持していくためには必要となる部分も多いはずです。
「うまいことやっておいて」と一言で済ませられる夫と、「収入が伴わない労働は評価されないのか」というモヤモヤを抱える妻との間には、大きな意識の差があるといえますよね。
「自分だけが負担を抱えている」とパートナーを責めるのではなく、一度発想を変えてみるのもよいのではないでしょうか。
それぞれのタスクをアウトソーシングしたときにかかる費用を考えてみましょう。
「塾の送り迎えにタクシーを使ったら?」
「毎日夕食に出前を頼んだら?」
どちらもそれなりにお金がかかりますが、それを無償で行うのが「家事」なのですよね。
「自分だからできること」「パートナーだからできること」が見えてくれば、お互いの立場の苦労を察することができるかもしれません。
さいごに
いかがでしたか。
収入を得るための「就労」、家庭での「家事」、地域やPTAなどのコミュニティでの「役割」・・・私たちにはたくさんの「シゴト」があります。
働き方のスタイルに関係なく、夫婦は平等な関係です。「適材適所」でシゴトを分担することで、円満な夫婦関係を築いていきたいものです。
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、私たちの生活はさまざまな場面で制約を受けています。
働き方や家庭の役割も、大きな変化を迫られているこの時期、「家(の)事」について、家族でじっくり話してみるよい機会かもしれませんね。
参考URL
※「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/dl/02.pdf)」厚生労働省
「女性の活躍に関する意識調査2019(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2019/nr_190424.html#sec3)」ソニー生命
「無償労働の貨幣評価(https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/satellite/roudou/contents/pdf/190617_kajikatsudoutou.pdf)」内閣府経済社会総合研究所
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