マイクロLEDでFacebookと提携したプレッシーって、どんな会社?
LIMO / 2020年4月8日 20時20分
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マイクロLEDでFacebookと提携したプレッシーって、どんな会社?
ARスマートグラスにマイクロLEDディスプレーを独占供給
世界中で研究開発が活発化しているマイクロLEDディスプレーだが、その1社としてモノリシック型マイクロLEDの事業化を進めているベンチャー企業、プレッシーセミコンダクターズ(英デボン州プリマス)は3月30日、AR(拡張現実)/MR(複合現実)用マイクロLEDディスプレーおよびコンピューティングプラットフォームの開発で、SNS大手の米Facebookと協業すると発表した。
プレッシーは「新しい商業契約に基づき、当社のLED製造事業はFacebookのプロトタイプ支援およびAR/VR(仮想現実)に使用する新技術開発に専念する」と述べており、Facebookが開発するARスマートグラスにマイクロLEDディスプレーを独占供給するとみられる。
アップルも買収を検討していた?
Facebookとの契約についてプレッシーの共同CEO/CTOであるKeith Strickland氏は「Facebookとの新たな商業契約を発表できて嬉しい。当社はマイクロLEDディスプレー開発の最前線に立っており、この合意は当社が近年、大幅に機能を進歩させたことを認めたものだ」と述べた。
Facebookは2014年にヘッドマウントディスプレー(HMD)を開発・販売している米オキュラスVRを20億ドルで買収。16年にはアイルランドのマイクロLEDディスプレーベンチャーInfiniLEDを買収したことも明らかにしており、以前からマイクロLED技術に高い関心を示していた。ARスマートグラスを開発中だともいわれている。
なお、本件に関しては「米アップルもプレッシーの買収を検討していたが、結果的にプレッシーはFacebookを選んだ」と米メディアが報じている。
もともとは照明用LEDを開発
Facebookを選んだプレッシーとは、どんな会社か。
プレッシーは、もともとGaN on Silicon技術(シリコンウエハー上に窒化ガリウムを成膜する技術)をベースにした LEDチップメーカーとして設立され、当初は照明用にLEDチップやLEDパッケージ技術を開発していた。
6インチシリコンウエハー上に独自の成膜技術「MAGIC(Manufactured on GaN IC)」を用いてGaNを成膜し、発光層を形成するプロセスを保有。英国政府がハイテク産業向けに運営する地域成長ファンドから325万ポンドの支援を受け、約100人の雇用を生み出した。LEDの発光層を成膜するMOCVD装置を12年8月に初めてプリマスの本社工場に導入し、13年4月に初の製品出荷にこぎつけた。
だが、近年は開発の方向性をマイクロLEDに変更。その成果が実ったのは18年1月で、GaN on SiliconベースのモノリシックなマイクロLEDディスプレーを18年上期中に市場投入すると発表し、技術プラットフォームプロバイダーになるという新たなビジネス戦略に沿って、GaN on Silicon技術のライセンスプログラムを開始したことも明らかにし、15.5×8.7mmのモノリシックアレイ内にRGB 200万画素を形成することに成功した。
18年には量産体制を順次整備
18年1月に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2018」では、GaN on SiliconベースのモノリシックなマイクロLEDを用いたヘッドアップディスプレー(HUD)を展示した。18年8月には、スマートグラスを開発している米Vuzix(ビュージックス)と提携し、ビュージックスのARスマートグラスにマイクロLED光源を提供ことも明らかにした。
早期の実用化を図るため、18年9月には、シリコンバックプレーン(マイクロLEDでディスプレーを駆動するための回路技術)技術を持つジャスパーディスプレー(JDC、台湾新竹市)と戦略的パートナーシップ契約を締結。同じく18年9月には、MOCVD装置大手のアイクストロンSEから「AIX G5 + C MOCVDシステム」を購入すると発表し、プリマス工場に19年1~3月期に設置した。
さらに18年11月、製造装置メーカーのEVグループ(EVG)とGaN on SiliconモノリシックマイクロLEDを共同開発すると発表したと同時に、EVGのウエハー接合装置「GEMINI」をプリマス工場に導入。GEMINIをマイクロLEDアレイとバックプレーンの貼り合わせに用いて、19年5月には、先に提携した台湾JDCとEVGのGEMINIを使って単色のモノリシックマイクロLEDディスプレーを開発に成功した。
19年はパートナー企業と実用化開発を加速
19年5月には、先述のビュージックスと専用ディスプレーの長期供給契約を結んだと発表し、マイクロLEDディスプレーの実用化が近いことを匂わせた。19年8月には、マイクロLEDのアドバイザリーボードに、エドワード・フランク博士を任命したと発表した。フランク氏はアップルでマッキントッシュのハードウエアシステムエンジニアリング副社長を務めた経験がある。
そして19年9月には、20年からGaN on SiliconマイクロLEDディスプレー開発キットの提供を開始すると発表。19年10月には、独自のGaN on Silicon製造プロセスによって、同一シリコンウエハー上に青色と緑色の発光層を形成することに成功したことも明らかにし、この技術で20年までにフルカラーのモノリシック型マイクロLEDディスプレーを実現するという目標を示した。
さらに、19年10月には、台湾JDIに続き、シリコンバックプレーン技術を持つ米コンパウンド・フォトニクスとも戦略的パートナーシップを締結するとともに、0.26インチでフルHD 1080pのマイクロLEDディスプレーを共同で開発し、サンプル出荷を20年半ばまでに開始する予定だと述べていた。
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