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中国、経済停滞からの脱却はどこまで進んでいるのか <HSBC投信レポート>

LIMO / 2020年4月11日 20時0分

中国、経済停滞からの脱却はどこまで進んでいるのか <HSBC投信レポート>

中国、経済停滞からの脱却はどこまで進んでいるのか <HSBC投信レポート>

新型コロナウイルスの影響による1~2月に起きた経済活動の急激な落ち込みを経て、現在、投資家は中国経済の正常化に向かうペースに注目している。ここ数週間、当局は封じ込めと都市封鎖政策を徐々に緩和し、工場の再稼働に向けた業務再開の動きを強化している。新型コロナウイルス発生の震源地とされる武漢の都市封鎖は4月8日に解除された。

経済活動は徐々に再開へ

公式の月次経済指標よりも即時性があり経済活動の分析に適した指標がいくつか存在する。そうした指標全体からは、2月中旬以降、特に工業生産、建設、不動産販売において、経済活動が徐々に回復しつつあることが示されている。

例えば、主要電力会社の日次石炭消費量は増加が加速しており、鉄道で運搬された石炭量は2018年の水準に匹敵する。現在は鉄鋼炉も稼働をはじめ、大気質指数の全国的な単純平均も通常水準に近くなっている。

工業情報化部(MIIT)によれば、湖北省以外の大規模、中規模企業の95%以上が3月中旬までに操業を再開し、製造業が盛んな主要省では既に100%近くに達している。

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中小企業の経済活動再開率ははるかに低い状況にあるが、それでも3月初旬の50%程度から3月25日現在では70%程度まで回復している。上海のようないくつかの主要都市では、再開率は既に90%を超えている。

しかしながら、部品調達問題、労働力不足、需要低迷により、一部の企業は通常の稼働率を大幅に下回っている。レストランや宿泊施設などのサービス部門では、事業再開率がはるかに低いことにも注意が必要である。

ほとんどの経済指標は未だ通常の水準をかなり下回っている(特に航空会社等の旅客数と消費者の支出額)。 3月21日に終わる週で見ると、30の主要都市での日次平均不動産販売(延床面積)は、急ピッチで回復しているものの、前年比ではなお45%低い水準にある。

輸送面では、多くの輸送手段を合わせた国内旅客の流れや(6つの主要都市の)地下鉄旅客数は依然として落ち込んでおり、前年の水準をはるかに下回る。航空旅客数について言えば、参照した週の国際線の座席利用率は、前年比で30%以上減少している(国内線は20%以上の減少)。

とはいえ、交通渋滞/遅延指数は過去数週間にわたって上昇傾向にあり、首都圏の主要都市ではほぼ正常化し、過去の水準を回復している。交通運輸部の発表では、中国の地方からの労働者の約80%が3月19日時点で復職し、さらに地方労働者のほぼ全員が4月上旬には復職すると予想されている。

さらに、卸売り食品価格は、物流の改善により、一時の高騰した水準からは下落している。また、2月16日の週以降、週次自動車販売は低水準から徐々に回復を見せている。中国汽車工業協会(CADA)の統計によると、3月17日までに、ディーラーレベルでショールーム訪問客数及び自動車販売高は通常水準のそれぞれ61%、57%まで回復している。

一方、映画興行収入は2月以降停滞したままで、回復の兆しはほとんど見られない。全体として、GDPの54%を占めるサービス業界は製造業界よりも大きな打撃を受け、正常化に時間がかかると見られる。

回復の兆しが見られるが、マクロ経済状況は依然として厳しい

中国の政策当局は、新型コロナウイルスに起因するパンデミックに対して、金融システムの安定確保を目的とした金融緩和策、そして短期的および緊急のターゲットを絞った財政政策および信用政策を採ってきた。今後は、供給側の混乱が徐々に緩和される中で、需要を押し上げるための、より多くの政策支援が期待される。

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全体として、封じ込め措置の緩和とマクロ政策対応の強化、そして迅速な業務再開により、3月は前月と比べ、経済活動の回復が見られる。ただし、経済成長はおそらく3月中も抑制され、1-3月期のマイナス成長は避けられないだろう。

4-6月期に経済成長が正常化し、また下半期に景気が一段と回復しても、1-3月期の大きなマイナス成長を埋め合わせることはできないかもしれない。加えて、今後、世界経済がリセッションに陥る可能性が高まっていることから、2020年通年の経済成長率は、2019年の6.2%から大幅に低下すると予想される。

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