「東大卒なのに低収入」に甘んじる人の3つの共通点
LIMO / 2020年4月10日 18時45分
「東大卒なのに低収入」に甘んじる人の3つの共通点
筆者は様々なビジネスを手掛けていますが、その中で「東京大学出身者」の経営者やフリーランスと出会います。彼/彼女らの中には、年収1億円を超えている人がいる一方、300万円前後で時折、アルバイトのような単発の仕事をして生活費を稼ぎながら自分の事業の芽を育てる人もいて、「稼ぐ力」に大きな差を感じます。
学歴の世界では圧倒的な存在感を放つ「東大卒」。しかし、ビジネスの世界においては必ずしも、全員が勝ち組になっているわけではないのです。今回は「稼げない東大卒」に接して感じた共通点をお話しします。
東大卒の平均年収はたしかに高いが…
最高学府・東大卒と言えば、誰もがその名を知っているエリート集団。OpenWorkの「働きがい研究所」(※)が行った調査「出身大学別年収ランキング(https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_61)」によると、東大出身者の30歳時年収は810.9万円となっています。想定年齢が30歳と若いですが、想定年収は800万円以上です。また、30位と240万円ほどの差がついていることからも、「勝ち組」というイメージを持っている人が多くいるものと考えます。
(※)対象:OpenWorkへ登録があった年収および出身大学データのうち、50件以上のデータがあった大学100校、1万8,651人。期間:2018年3月~2019年7月。大学院は除外し、各大学出身者の年収と年齢の分布から30歳時想定年収を算出している。
しかし、東大卒を神格化する人たちからすると、「もっとブッちぎって高収入と思っていた…」という印象を持つ方もいるかもしれません。ここでの平均30歳時年収は626.45万円となっていますが、東大卒だからといって、平均年収の4倍も5倍も稼いでいるわけではないのです。
稼げない東大卒たち
筆者が実際にビジネスやプライベートでお世話になったことのある東大卒の方たち。その中でも意外なほど稼ぐことに苦戦する人たちがいます。内1名ご紹介します。
彼はフリーランスをやっています。地元のトップ校を卒業して東大へ進学。大手企業を退社して、自分でビジネスを立ち上げています。推定年収は300万円前後、単発の仕事をネットでこなしながら事業を育てることに挑戦していますが、彼のビジネスの成果物から芽が出ずに苦労している様子が見て取れました。
誰もが知る大手企業で若くして主任の立場にいたことから、サラリーマン時代はおそらく、平均より高い収入を得ていたものと推測します。しかし、自分の実力一本勝負の自営ビジネスの世界ではかなり苦戦してしまっているようです。
その他にも、東大大学院卒の生物系ポスドクをやっている方や、同じく会社を経営する方、ジャーナリストの方などもいて、意外なほどビジネスで苦戦する東大卒の人たちを見てきました。
稼げない3つの理由とは?
一口に「稼ぐ」といってもビジネスの世界は、様々な要素で成り立っています。どれだけ先進的な技術や優れた頭脳を持っていても、お金を出してくれる顧客が存在しなければビジネスにはなりません。
また、優れた商品・サービスでもお客さんの心をつかめなければ買ってもらえません。そして、ニッチ過ぎて市場規模が小さければ、どれだけ素晴らしく、顧客に支持される商品を提供しても、すぐに天井が見えてしまい稼げないのです。
その点について言えば、上述のフリーランスの東大卒のビジネス諸条件は問題ありません。競合には著名な高額所得者プレーヤーが何人もいますから、市場規模も申し分なく、「売れる商品サービス」を提供でき、顧客に支持されるなら経済的に成功できる条件は整っています。…が、その世界で苦労しているので問題はビジネス環境ではなく、当人のやり方にありそうです。
さて、稼げない東大卒の方と接して感じた「共通点」があります。それは次の3要素です。
・コミュニケーション力の欠如
・顧客への共感力がない
・素直じゃない
1つずつ取り上げます。
コミュニケーション力の欠如
彼/彼女らと話をしていて一様に感じるのは、「快適なコミュニケーションが難しい」という点です。
こちらの話を聞いていない。
聞いたことに回答しない。
自分の言いたい話を延々と続ける。
このような具合です。コミュニケーションとは言葉のキャッチボール、これは日本という文化圏に限定した話ではなく、グローバル規模での原理原則です。ビジネスというのは、人と人との価値交換の行為ですから、相手の話を傾注し、求めるものを提供する姿勢が不可欠、そこへいくと一方的なコミュニケーションになってしまうのは、この原則が成り立たないことになります。
話し方から、絶対なる自信が感じられましたが、ビジネスの価値は顧客が決めるのですから「語るより、顧客の内なる声を聞く力」こそがビジネスでは問われるのではないでしょうか。
顧客への共感力がない
彼/彼女らと話をしていて感じるのは、自分の世界観というフィルターを通して視野狭窄に陥っているということです。
「自分はこの分野の第一人者で、この商品には絶対なる自信がある。他社に負ける気がしない」と言われて見せられた商品ですが、内容が難しすぎ、課題の解決を求めるクライアントの悩みを解消できるとは思えませんでした。
そもそも、顧客とは自身の問題を解決してくれる相手を探しており、その対価として料金を支払うのです。そのため、商品提供者は自分が良いと思うものではなく、顧客目線で考えて顧客が良いと思うものを提供出来なければ、需要のないものをセールスすることになります。
顧客はどんな人で、何に悩み、どうすれば問題を解決できるのか?それが見えないのでは、売れるものは作れないと感じてしまいます。
素直じゃない
「素直さは最大の知性」という言葉をアインシュタインが残しています。
自分で稼いでいく自営ビジネスの世界では、素直であることが絶対的に必要です。素直さというのは「変化への対応力」のことではないでしょうか。時代やビジネス環境の変化にいち早く対応できる人がすなわち、資本主義社会においてのサバイバル能力の高さに直結しますから、素直に相手の意見や自身の状況を受け入れ、時にはプライドを捨てて前へ進む心の柔軟さが必要となるのです。
しかし、彼/彼女らの共通点に「非常にプライドが高く、素直でない」という点が感じられました。「自分はできる」と強く思うあまり、「間違っているのは周囲。自分の提供する商品の良さを理解できていない顧客を教育する必要がある」といい、「顧客に良さが伝わるよう、自身のアプローチを変える」という発想はないように感じました。
「自分ならできる」という自己肯定感を持つことは何事に挑戦する上でも必要な要素です。しかし、人間は誰しも欠点や苦手な分野があるものです。ネガティブなフィードバックにも傾聴し、必要な変化を受け入れなければ改善がありません。改善がなければ、変化に対応できませんから、結果として生き残ることもできないのです。
起業して稼いでいくビジネスは、学歴ではなく実力一本で勝負する世界です。高学歴に足をすくわれる東大生がいる一方で、資本主義社会で求められる本質を素早く見抜き、大きく成功する東大生もいます。その差を分けるのは、「コミュニケーション」という人と人との関係をつなぐやや原始的に感じる要素なのかもしれません。
【参考】
「出身大学別年収ランキング(https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_61)」OpenWork
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