コロナ禍でもデリバリーで好調続く?「ケンタッキー」今後の展開とは
LIMO / 2020年4月13日 19時45分
![コロナ禍でもデリバリーで好調続く?「ケンタッキー」今後の展開とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_16863_0-small.jpg)
コロナ禍でもデリバリーで好調続く?「ケンタッキー」今後の展開とは
「今日のランチはケンタッキー!」のCMでおなじみのケンタッキー・フライド・チキンは、500円から利用できるランチメニューが導入された2018年7月以降、売上を順調に伸ばし続けています。
しかし、今後は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が成長の壁となるかもしれません。4月8日には、東京都などの7都府県の店舗の営業時間を20時までに短縮することを発表しています。コロナ禍がケンタッキーの躍進を止めてしまうのでしょうか。
日本KFCHDの純利益・売上高・業績予想は?
ケンタッキー・フライド・チキンを運営する日本KFCホールディングス(HD)<9873>が、2020年2月12日に発表した『2020年3月期 第3四半期決算』によると、2020年3月期第3四半期(2019年4~12月期)の業績は以下の通りとなりました。
・売上高 608億9,500万円
・営業損益 42億5,500万円の赤字
・親会社株主に帰属する四半期純損益 29億8,800万円の赤字
また、2020年2月12日に発表した「業績予想の修正に関するお知らせ」において、本決算の営業利益の業績予想を「15億円の黒字」から「46億円の黒字」へと大幅に上方修正しました。
さらに、同日には株式保有期間3年以上の投資家を対象に「株主優待制度内容の変更」を決定しました。
日本KFCHDは株主優待として投資家に自社商品券(100株保有で500円分)を配布しているのですが、今回の「株主優待制度内容の変更」にともない、権利確定日2020年3月31日より継続保有期間3年の投資家は通常の2倍の価値の商品券をもらえるようになりました。
お買い得な「ランチメニュー」の導入が売上高に大きく貢献
売上高はうなぎ登りに上昇し株主優待も向上されることが決定し、まさに絶好調のケンタッキー・フライド・チキンですが、きっかけは「ランチメニューの導入」であると言われています。
ケンタッキーでは毎日(土日祝日を含む)10時~16時までランチセットを販売しており、人気のフライドチキンやビスケット、サンドイッチ、ツイスターなどをセットでかなりお得に購入できます。
例えば、通常なら合計900円以上する「フライドチキン・ポテト・ドリンク・ビスケット」が、ランチタイムに販売されている「ランチSセット」なら500円で購入することができます。
一人客やビジネスパーソンの日常使いを押し出すことを目的に導入されたランチメニューですが、導入時は一筋縄ではいきませんでした。
毎年恒例の「クリスマスが今年もやってくる」というCMで、「クリスマスと言えばケンタッキー」というイメージが強い方も多いと思いますが、ランチメニューの導入により「クリスマスなどのイベントの特別感がなくなるのでは」という懸念があったようです。
そのため、ランチメニューの導入も、当初は2018年7月23日~9月5日までの夏季限定の商品としてサービスが開始されました。
しかし、実際にはケンタッキーのランチメニューが導入された2018年7月から2020年2月までの20カ月のうち、各月の前年比を上回ったのは19カ月となっており、ランチメニュー導入をきっかけに売上が上昇しているのは数字にも表れていることが分かります。
懸念されていたクリスマスシーズンも、結果としては2018年および2019年12月は両年ともに前年より売り上げが上昇。ランチメニューも恒久的に実施されるまでに至りました。
株価も一時は3,500円を超えて上昇し、2019年12月には1992年2月以来27年10カ月ぶりの高値圏まで上昇しました。
ケンタッキーに求められていたのは「クリスマスの特別感」ではなく、「日常的に利用できるお手頃感」だったようです。
ランチメニューはデリバリーも可。COVID-19は本当に懸念材料?
ランチメニュー導入により売上高が絶好調となった日本KFCHDですが、2020年以降は「材料出尽くし」が懸念され株価は軟調、2月13日には株価が一時8%下落することもありました。
また、今後は現在市場に混乱を招いている「COVID-19」の影響も危惧されます。
2020年2月の売上は前年比で上昇しましたが、外出自粛が長く続けば外食業界全体が冷え込むことは必至で、ケンタッキーにとっても向かい風になることは間違いないと考えられます。
ただ、日本KFCHDはデリバリーサービスを強化しており、実施店舗は213店舗まで増加しています。
巣ごもり消費に伴いデリバリーサービスを利用する客が増えれば、来店客の減少分を下支えする要素となりそうです。なお、デリバリーでもランチメニューは取り扱われています。
日本KFCHDの決算は2020年5月に発表されますが、COVID-19の壁を打ち破り、業績予想を達成することができるのでしょうか。今後の市場動向から目が離せません。
【参考】
「ケンタッキーが緊急事態宣言の7都府県で夜8時までに営業短縮(https://www.ssnp.co.jp/news/foodservice/2020/04/2020-0408-1646-14.html)」食品産業新聞社ニュースWEB
「2020年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://japan.kfc.co.jp/ir/pdf/ir347.pdf)」
「業績予想の修正に関するお知らせ(http://japan.kfc.co.jp/ir/pdf/ir349.pdf)」
「株主優待制度の一部変更に関するお知らせ(http://japan.kfc.co.jp/ir/pdf/ir350.pdf)」
「日本KFC「500円ランチ」一人客トリ込む(https://r.nikkei.com/article/DGKKZO54678240R20C20A1DTA000?type=my&s=5#JQAUAgAAMjAxOTEyMzEyMzU0Mzc3Mjk2NDQxNzg)」日本経済新聞
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