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あの日、父や母は他人になりました。毒親育ちが経験した「親への愛が冷めた瞬間」

LIMO / 2020年4月12日 20時15分

あの日、父や母は他人になりました。毒親育ちが経験した「親への愛が冷めた瞬間」

あの日、父や母は他人になりました。毒親育ちが経験した「親への愛が冷めた瞬間」

連日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する新情報が報道されるたび、両親などを心配する人は多いはず。しかし、毒親育ちの人の中にはこうした状況でも両親を心配できず、そんな自分に嫌気がさしている方もいるよう。愛知県に住む、林ゆり子さん(33)も、そのひとり。彼女は高校生の頃に生まれた傷が今もなお癒えず、苦しんでいます。

罵声と過干渉で居場所がなくなった

過干渉な母親とアルコール依存症の父親のもとで育ったゆり子さんは、幼稚園の頃から「いい子でいないといけない」というプレッシャーを感じていたそう。「父は潔癖症で洗面所に髪の毛1本落ちていただけで、何時間も罵声を浴びせられました。」父親は電気の消し忘れのような小さなミスも決して許さず、棚の上に置いていた雑貨の位置が少し違っているだけでも説教したそう。「家では常に緊張していました。何かミスしてないかな、今日は怒られないかなってドキドキしっぱなし。」

父親がいつも真っ先に怒りの矛先を向けるのは、母親。そのため、いつしか母親は父が怒らないようにゆり子さんの行動を過剰に干渉し、コントロールし始めました。門限は高校生になっても18時。少しでも過ぎると父親の機嫌が悪くなるため、母親から「なにやってるの」「早く帰ってきなさい」というメールと電話の嵐。「私を心配してるんじゃなくて、父に自分が怒られたくなくて送ってくるのが分かったから、何も心に響かなかった。」

高校生といえば、友達と遊びたい盛り。家が安心できる場所でなかったため、ゆり子さんは余計に門限を守らなくなりました。そんな態度を見かねた母親はある日、自室で友達と電話をしていたゆり子さんの携帯電話を取り上げ、「うちの子が最近おかしいのは、あなたのせい。もう誘わないでほしい」と言ったそう。あの子と関わると、親が出てきてめんどくさい。そんな噂が広まり、ゆり子さんは次第に孤立していきました。

唯一の居場所「日記帳」を盗み見されて

逃げ場を失ったゆり子さんは、異性に救いを求めるように。「彼氏なら、友人のように簡単には離れていかないかもしれないって思ったし、心の隙間も満たしてくれるような気がしました。」

しかし、彼氏ができたことを感じとった母親はより、ゆり子さんを干渉。「週末に外出しようとすると、母から誰とどこで会うのか聞かれる。初めは正直に彼氏だと言っていましたが、『どうせろくでもない男でしょう』とか『遊ばれてるだけ』と言われるので、友達と会うんだと誤魔化すようになりました。」

ゆり子さんの嘘は母親の目に怪しく映り、帰宅後は厳しく詰問されたことも多かったそう。「誰とどこで何をして、どんなものを食べたのか聞かれる。母親が少しでも違和感を覚える内容だと携帯電話を見られるので、帰り道ではいつも嘘に聞こえない嘘を考えていました。」

しかし、嘘は思わぬ形でバレてしまいます。それは、ある夏の日のこと。学校から帰宅したゆり子さんは両親に呼ばれ、リビングへ。すると、テーブルの上には自分の日記帳が。学校へ行っている間に母親は勝手に日記を見て彼氏がいることを突き止め、これまでの嘘を責めたてました。

どこへ行っても親の目が光っている。そう感じたゆり子さんは週末の昼間に出かけることが怖くなり、引きこもりがちに。これ以上、親と揉めたくないと思い、彼氏とも別れました。「日記は唯一、私が素直な気持ちを吐き出せる場所でした。親の悪口も書いてあったので、それも見られて怒られた。頑張って家の外に居場所を作ろうとしても、この人たちに奪われて、自分たちに都合のいい生き方を押しつけられてしまうんだと思いました。」

夜遊びの代償は父親からの「暴力」

孤独や寂しさを埋めたい。親の目を気にせずに思いっきり遊んでみたい。そう思ったゆり子さんはいつしか、ネット上で知り合った人と夜遊びをするように。昼間に遊ぼうとすると門限や両親の目が気になるけれど、2人とも寝ている夜ならなら…と考えたのです。「今から思えば、私は一度も危ないことに巻き込まれなかったので運が良かった。

怖いとも思ったけど、それ以上に家から逃れたかった。初めて親を気にせずに思いっきり遊べた数時間は、本当に嬉しかった。」ゆり子さんは、怒りのこもった電話やメールが一切ない「普通の遊び時間」にこれ以上ない幸せを感じ、夜遊びに出かける頻度が多くなりました。

そんな生活を続けて2ヶ月が経ったある日、夕食後にいきなり両親から「一緒にコンビニに行かない?」と誘われ、ゆり子さんは車へ。しかし、連れて行かれたのは近所にある人気のない本屋の駐車場。そこで父親はゆり子さんの顔を殴りました。「『こっそり夜出てただろ』って言われ、2発殴られました。家には祖父母がいたので親子の恥を感づかれないよう、外に連れ出したんだと思います。顔より、心が痛かった。この人は私の想いに耳も傾けず、暴力で思い通りにしようとするんだなって幻滅しました。」

暴力に傷付いたゆり子さんは、近くで自分たちを見ている母親に「痛いよ、助けて」と救いを求めました。しかし、母親は「自分でまいた種だから仕方ない。子どもを殴らないといけないお父さんの手も痛いんだよ。反省しなさい」と言い放ったそう。

その瞬間、ゆり子さんの中で両親への愛が消えました。「大人になった今でも、あの日のことを思い出すと涙が止まらない。親の目から見れば私にも悪いところはあったと思うけど、私の気持ちには一切目を向けないで突き放されたことで、両親が信じられなくなりました。」

大人になるまで育ててくれたという事実と、心を傷つけられたという事実。その間で悩まざるを得ない時、元こどもはどんな視点で親を見つめればいいのでしょうか。

親は大切にすべきだと聞く。でも、大切にできない理由もある。そんな気持ちで揺れ動くゆり子さんには親ではなく、“自分を守れる答え”に辿りついてほしくなります。

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