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コロナ疲れを癒すテディベア。子どもも大人も笑顔になる「クマ狩り」って何?

LIMO / 2020年4月17日 20時35分

コロナ疲れを癒すテディベア。子どもも大人も笑顔になる「クマ狩り」って何?

コロナ疲れを癒すテディベア。子どもも大人も笑顔になる「クマ狩り」って何?

ニュージーランドでは首相も参加

ニュージーランドでも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は大きく、感染者を極力増やさないことを目指し、政府の指示で世帯ごとの自己隔離が3月末から始まりました。

日常の買い物や散歩程度しか許されていない外出ですが、散歩のついでに楽しめると人々に人気なのが、「クマ狩り」です。「クマ狩り」って一体どんなことをするのでしょう。

先が見えず、窮屈な自己隔離

3月26日からロックダウンが始まり、世帯ごとの自己隔離が徹底しているニュージーランドでは、学校が休校しているので子どもたちは自宅学習、大人もいくつかの例外を除いては在宅勤務をしています。図書館などの施設も閉まり、公園の遊び場も立入禁止です。

世帯単位のため、一緒に住む家族といつも通りの生活を送るのは問題ありませんが、世帯を超えた親戚や友達などと集まることはできません。他者との距離は常に2メートルとる必要があります。期間は一応4週間となっていますが、延びる可能性もあり、皆、先が見えない中、家で窮屈な毎日を送っています。

外出はというと、食料品や医薬品といった必需品を買い求める時と、気分転換と軽い運動を兼ねた散歩をする時だけに限られています。また、散歩の範囲は「近所」のみと決められています。

散歩に出られるのはいいけれど、毎度近所だけというのは、あまり面白味がありません。そこで登場したのが、散歩しながらできる「クマ狩り」なのです。

テディベアを「クマ」に見立てて

皆が楽しんでいる「クマ狩り」は、英国の人気絵本、『We're Going on a Bear Hunt』(マイケル・ローゼン再話)をもとにしています。日本では、『きょうはみんなでくクマがりだ(https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8D%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%AF%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A7%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%81%8C%E3%82%8A%E3%81%A0-%E5%85%90%E7%AB%A5%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E3%83%BB%E7%B5%B5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%83%A8%E5%B1%8B-%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%B3/dp/456600287X)』というタイトルで邦訳が出ています(山口文生訳)。

ストーリーは、家族でクマを見つけに出かけるというもの。読むというより、節をつけて軽く歌う感じでお話が進むところが人気の秘密です。

中でも「We’re going on a bear hunt. We’re going to catch a big one. What a beautiful day! We’re not scared! (きょうはみんなでクマがりだ つかまえるのはでかいやつ そらはすっかりはれてるし こわくなんかあるもんか)」という部分は覚えやすく、皆が親しみを持っている個所です。

自己隔離という前代未聞の事態は誰にとってもストレスです。大人も子どもも関係ありません。そんな時期だからこそ、少しでも胸が躍るような経験をしてほしいと、ロンドンで「テディベア探し」を「クマ狩り」に見立て、それを広めるためにフェイスブックページが立ち上げられました。

そして海を越え、瞬く間にニュージーランドの隅々にまで広まったというわけです。

さぁ、「クマ狩り」に出発!

実際、いつもの散歩道を歩いていると、こっちの家の窓際にテディベア、あっちの家にもテディベア……。フェイスブックを通じて主宰者に参加を知らせた人が、道行く人々に楽しんでもらうために、自宅の通り沿いの窓際にテディベアを飾っているのです。

親子で散歩していると、子どもたちはどんどん先に小走りで行ってしまいます。「クマ狩り」に夢中というわけです。

「あっ見つけた! ママ、早く早く」。わざわざ戻ってきて母親を引っ張っていきます。親はのんびり歩くこともできません。「これで…16、17…18匹目だよ!」と誇らしげな子どもに、自己隔離の憂うつも思わず吹き飛びます。

家に帰れば、お留守番をしていたおばあちゃんに、「今日は全部で21匹のクマを見つけたんだ」と報告します。

「ピンクとか、青とか、いろんな色のがいるんだよ。ドレスを着ているのもいるし、カウボーイの格好をしてるのもいる。ちっちゃな赤ちゃんグマが、窓のところにズラーッと並んで、こっちを見てるお家もあるの。僕が一番好きだったのは真っ白な大きいのなんだ。明日もう一度そこまで行こうと思うんだけど、おばあちゃんも来ない? 見せてあげる!」と、もう明日の「クマ狩り」の予定まで立てています。

中にはテディベア以外にほかの動物のぬいぐるみや、お人形を飾る人もいて、各々個性的です。お茶会や遊び場でのシーンを再現している凝り性の人もいます。

実はこの「クマ狩り」には、ニュージーランドの首相も参加しています。ジャシンダ・アーダーン首相は、新型コロナウイルスと戦う国の長でありながら、1歳9か月の娘、ニーヴちゃんのお母さんでもあります。

アーダーン首相は新型コロナウイルスに関する会見を毎日開き、国民に最新情報を提供しています。もちろん会見内容はいつも深刻なものです。

しかし4月上旬の会見で「クマ狩り」の話が出ると、破顔一笑。「ウェリントンの私の家でもテディを飾っています。見に来てね」と国民に呼びかけました。どうやら「クマ狩り」は首相のお墨付きも得たようです。

おわりに

最近では、フェイスブックとは関係なく、多くの家々の窓辺にテディべアがちょこんと座って、散歩で通りかかる人を待っています。テディベアを飾る側も散歩をする側も、皆、この「クマ狩り」が、コミュニティの絆になっていると考えています。

世帯ごととはいえ、自己隔離しなくてはならない状況は、人々にとって大きなストレス。そんなときに他人と直接触れ合わなくても人と人の結びつきを強める「クマ狩り」は、ニュージーランドの町のあちらこちらで、みんなの心を癒してくれています。

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