親のお金を銀行員から守る!〜銀行の「高齢者への金融商品勧誘」の理由と対処法(3)
LIMO / 2020年5月5日 20時25分
![親のお金を銀行員から守る!〜銀行の「高齢者への金融商品勧誘」の理由と対処法(3)](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_16909_0-small.jpg)
親のお金を銀行員から守る!〜銀行の「高齢者への金融商品勧誘」の理由と対処法(3)
「親のお金を銀行員から守る!」をテーマにお話してきた3回シリーズ。最終回となる本稿では、銀行による金融商品の勧誘から高齢の親のお金をどう守っていけば良いか、その対処法についてお話していきたいと思います。
第1回:『親のお金を銀行員から守る!~狙う側の銀行員が内情を明かします(1)(https://limo.media/articles/-/16901)』
第2回:『親のお金を銀行員から守る!~銀行員が語る「銀行にとっての富裕層」とは(2)(https://limo.media/articles/-/16909)』
銀行が「富裕層で高齢者」を勧誘する3つの理由
前回、銀行の考える富裕層とは「金融商品の販売が可能な人」、もっと言えば「うまく勧誘したら、成約できそうな人」だと述べました。今回はまず、銀行が「富裕層で高齢者」を積極的に勧誘する理由を整理していきましょう。
1:高齢者は、あまりお金を使わない
若い世代と比べると、高齢者はあまり無駄遣いをしない人が多いものです。もちろんアクティブに旅行などをする人もいますが、そういった人でも意外に普段の生活は質素だったりします。
あまりお金を使わないからお金が減らず、結果的に資産が貯まったとも言えますが、いずれにせよ高額な金融商品を販売できる見込みがあると言えるでしょう。
2:高齢者だから、もうお金を使い切れない
これは上記にもつながることですが、自分の人生で残された時間を考えると「もうお金を使い切れない」と感じている高齢者も多いものです。また、自分の墓にお金を持っていくよりは、子供や孫に残してやりたいという親心もあるでしょう。
そういった気持ちが金融商品、特に終身年金といった商品を販売する銀行の狙い目(顧客ニーズと言ったほうが無難でしょうか)になります。
3:高齢者は、いつでも会えるし話も聞いてくれる
働き盛りや若年層は銀行員と同じ時間軸で生活しています。銀行員が仕事中なら、そういった人もみんな仕事中で会えるわけがありません。
しかし富裕層で高齢者なら、もう働く必要がないのでいつでも会えますし、高齢者の中には銀行員を信用している人が多くいます。また、寂しさや暇つぶしの気持ちなどから銀行員の話を熱心に聞いてくれるので、銀行員にとって勧誘するにはうってつけの相手なのです。
親のお金を銀行員から守るためには?
それでは、親のお金を銀行員から守るにはどうしたら良いでしょうか。以下は、銀行員として勧誘してきた私の経験から、参考にしていただきたいことばかりです。
まずは、両親だけでは銀行員に会わせないことです。銀行では、高齢者への勧誘は原則子供などの同席を必要としていますが、これもケースバイケースで必須条件ではありません。
たとえば「この金融商品がすごく気に入って、今すぐにでも契約したい。子供が同席するまで待てない!」と希望されれば、高齢者だけでも契約できてしまいます。こういった場合、銀行側は複数人で面談します。
これは複数人によって、より正確に販売当時の状況を記録に残しておくためです(悪く言えば、口裏合わせをして、のちに子供などから苦情があっても対抗するためです)。つまり、あなたの知らないうちに、銀行員があなたの両親にリスクの高い金融商品を販売することもできてしまうのです。
また同様に、仮に銀行から同席を求められたり、電話で契約への同意を求められたりしたら(子供が遠方に住んでいる場合、電話で説明して同意を得ることがあります)、可能な限り同席してください。忙しいから、面倒だからと断わっていたら、それが同意(というより黙認)したと見なされる場合もあるからです。
それでも知らないうちに契約されてしまっていたら
自分の知らないうちに、あるいは良く内容を理解しないまま契約してしまった場合や、説明された内容と異なる契約だったとわかった場合には、契約の内容や程度にもよりますが、契約をなかったことにできる場合があります。いわゆるクーリングオフ制度です。
ただし、商品によって“成約後何日以内”など日数が決まっていたり、そもそもクーリングオフ対象外の商品だったりするケースもありますので注意が必要です。
また勧誘自体が悪質な場合などは、銀行の「お客様相談窓口」などに連絡するのもいいでしょう。銀行などのいわゆる金融機関は、「顧客本位の営業体制」を取るよう金融庁に求められており、苦情や異議申立てはなるべく避けたいので、それなりに話も聞いてもらえると思います。
それでも解決しなければ、「金融ADR制度」に相談することも検討してください。これは公的な相談機関で、顧客と金融機関の紛争解決に向け仲介してくれる制度ですので、公平・中立な専門家の仲介による問題解決が期待できるでしょう。
おわりに
3回にわたり「親のお金を銀行員から守る!」をテーマにお話してきました。ここでお話したことは銀行員としての私の経験からくるものであり真実です。ただ、必ずしもすべての人に当てはまるというわけではないかもしれません。
それでも、みなさんの大切な資産を守るために、私の経験から何か少しでも参考になることがあればと願うばかりです。
【参考】「金融機関との間でトラブルをかかえている利用者の皆様へ(https://www.fsa.go.jp/policy/adr/adr_pamphlet.pdf)」(金融庁)
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