退職後の4人に聞いた「お金」や「家庭」について後悔していること
LIMO / 2020年4月20日 8時0分
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退職後の4人に聞いた「お金」や「家庭」について後悔していること
生きていると「あのとき、ああしておけばよかった」と後悔することがあります。たとえば、社会人になってから「学生のうちにもっと勉強しておけばよかった」とか、40代になってから「もう少し若いうちに転職しておくべきだった」と思ったりするものです。
しかし、できれば後悔はしたくないもの。そこで今回は、既に退職をした65歳以上の4人に「若い頃にやっておけばよかった」ということを聞いてみました。若い世代の方は参考にしてみてください。
後に残らないものにお金を使ってしまった
印刷会社で最後のキャリアを終えたAさんは、今になって自分のお金の使い方を後悔していると言います。
「若い頃は結構遊んでいて、バブルのいい時期も経験した。あのときは貯めるなんて一切考えなかった。今みたいにテレビや新聞で『老後のために貯える』なんて話題が出る時代じゃなかったし、使ってナンボみたいなところがあった」のだそう。
「でも、バブルはいつか終わると言われていたし、いい時代が長く続かないのも薄々わかっていた。なのに、なんであの時期に貯めることをしなかったのかと後悔している。その頃に使ったお金がどこに消えたかなんて覚えていないし、後に残る何かに投資しておけばよかった」と語ります。
どういうものに投資しておけばよかったと思うのかAさんに聞いてみたところ、「投資といっても、別に株や投資信託とかじゃない。家族のために使ったり、ローンをもっと早く返したり、老後のために貯蓄したり、キャリアアップのために何かの学校に行ったり、そういうことに使ったほうが有意義だったと思う」と教えてくれました。
体を酷使しすぎてガタが来てしまった
建設会社を経営していたBさんは、もっと健康に気を使えばよかったと後悔しているようです。
「若い頃は高卒で入社した建設会社でとにかく技術を学ぼうと必死に働いた。夜も昼もないくらい働いて、徹夜での作業明けにまた別の現場に入るなんてこともしょっちゅうあった。健康に気を付けろなんて言われても『年寄りみたいなこと言うな』と思うだけだった」のだそう。
「その頃は体力もあったから大したダメージも感じなかったけれど、最近、同世代の連中と話すと自分だけ一回りくらい年上のような気がする。体にも人一倍ガタが来ているし、なんだか脳に老いが来ているような気がしてならない。医療費もバカにならないから、大きい病気になったら蓄えがパーになってしまう」と話します。
今、20代に戻れるならどういう生活をするかと聞くと、「きちんと7時間くらいは寝るようにしなきゃいけないな。睡眠が大事っていうのは40代くらいにようやく気が付いた。でも若い頃に失ったものはもう取り戻せない」とため息をつきます。
「それと、ちゃんとした食生活、運動習慣。この年になってから運動を始めたのではもう何もかも追いつけないし、『激しい運動はやめなさい』と医者に言われてしまう。若い頃だったら推奨されていたことが禁じられるようになるのはツライものがある」と答えてくれました。
「体が思い通りに動かないまま20年も30年も生きていられないよ」と言うBさん。若いと体力も気力もありますし、睡眠時間を極限まで削って何かに夢中になるということもあると思います。しかし、トータルの人生を充実したものにするためには休息も欠かせないようです。
先立った妻は幸せだったのかと自問した
自身で不動産会社を興したCさんは、家族のためにもっと多くの時間を使えばよかったと後悔しているようです。
「若い頃はほとんど家に帰らず、仕事ばかりしていた。子どもが3人いたけれど、男ばかりで女房は本当に大変だったと思う。子どもと話をするようになったのは、大人と同じように会話ができるようになった小学校高学年か中学生くらい。気付いたら大きくなっててさ、あっという間だしタイムスリップしたみたいな気持ちになったのを覚えている」と振り返ります。
「4年前に女房が死んだとき『コイツはオレと一緒になって幸せだったのかな』と思ったし、もっと何かしてやれることがあったんじゃないかと後悔した」と寂しげなCさん。
「息子3人はほとんど家に寄り付かないし、2人はもう結婚して家庭を持っているけれど孫の顔もほとんど見せに来ない。そりゃそうだよな、子どもの頃に自分のことを構ってくれなかった親父に孫の世話ができるなんて誰も思わない。もっと家族を大事にしていればよかったと思うよ」と語ってくれました。
リタイア後、一人で過ごす時間を持て余している
最後は、教師として勤め上げて引退したDさんです。今は奥さんと2人で暮らしていますが、若い頃に一生付き合える友達を作っておけばよかったと後悔しているようです。
「知らない間に妻は友達をたくさん作っていたようで、自分との2人暮らしが窮屈なのかしょっちゅう友達と遊びに出かける。最近は家に1人でいることが多くて、どうにも退屈している。自分が教師をしていたくせに、自分の子どもの世話は妻に任せっぱなしで、2人の子どもの面倒を見ながら同じ教師として働いていた妻には本当に頭が上がらない」のだそう。
「でも、自分でも呆れることに、それに気付いたのもつい最近。家事や育児は妻がやるのが当然だと思っていたし、『仕事は別にやめてもいいぞ』と言っていたけど、妻は『社会とのつながりをなくしたくない』と言ってやめなかった。妻は決して言わなかったけれど、きっと私の収入に対する不安もあったんだろう」と話します。
「それに、若い頃はちょっとひねくれていて、友達なんていらないと思っていたし、何かと1人で行動したがるタイプだった。群れて行動するやつらを心の中で軽蔑していたし、1人じゃ何もできないんだなと見下していた」と振り返るDさん。
「でもそうじゃなかった、彼らはコミュニケーションを取って仲間とうまくやっていくという能力を持っている。私とは比べ物にならないくらい高い能力が必要とされるものだ。1人でいるのは誰にでもできる。このまま誰とも話さない状態が続くようなら、社会的には死んだのと同じだよな」と語ってくれました。
おわりに
4人の話を聞いていると、「お金は使うもの」「子どもの面倒は妻が見るもの」そして「群れる人間はレベルが低い」というような思い込みが、後悔のタネになっているように思います。
人間が思い込みから脱け出すのは簡単なことではありませんが、今、無意識のうちに思い込んでいること、そしてその思い込みからやっていることが将来後悔を生むかもしれません。一度自分自身の考え方のクセを見直してみてもいいかもしれませんね。
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