外出自粛中にシニアを狙う。巧妙な詐欺メール「ラテラルフィッシング」とは
LIMO / 2020年4月16日 10時15分
![外出自粛中にシニアを狙う。巧妙な詐欺メール「ラテラルフィッシング」とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_16933_0-small.jpg)
外出自粛中にシニアを狙う。巧妙な詐欺メール「ラテラルフィッシング」とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大防止のため、7都府県に緊急事態宣言がだされ、先の見えない状況に不安になっている人も多いのではないでしょうか。そんな中、独立行政法人「国民生活センター(http://www.kokusen.go.jp/index.html)」には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を口実にした消費者トラブルが多数報告されているといいます。
新型コロナを口実にした消費者トラブルの一例
2月ぐらいから、次のような相談が目立ちはじめているとのことで、国民生活センターでは、正確な情報に基づいて、冷静に対応するように呼び掛けています。国民センター「新型コロナウイルスを口実にした消費者トラブル・速報(http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coronavirus.html)」からトラブルの事例をみていきましょう。
【事例1】
市の新型コロナウイルス対策室を名乗り、個人情報を聞き出す不審な電話を受けた。
【事例2】
携帯電話会社名で、新型コロナウイルス関係の助成金を配布するとのメールが届いた。
【事例3】
自宅の固定電話に「新型コロナウイルスの検査が無料で受けられる。マイナンバーが必要。これから自宅に行く」という電話があった。
【事例4】
信用金庫の職員を名乗る電話があり、新型コロナウイルスの関係で必要と口座番号と暗証番号を聞かれた。
【事例5】
息子を名乗り「会社の上司に借りたお金を返して」と電話があり、上司から「新型コロナウイルスで困っているのですぐにお金を返してほしい」と頼まれ、現金を手渡した。
シニアの64%が息子・娘が思うよりもスマフォの扱い方に自信アリ
前述の消費者トラブルの一例は、ほとんどが自宅の固定電話にかかってきたものとのことですが、なかには事例2のように、スマートフォンに連絡がくるものもあります。
ではここで、2020年2月に、株式会社NTTドコモがスマートフォンを所有する60~79歳の男女300名を対象に実施した、「シニアの「ネットトラブル」のリスクを調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000031650.html)」の調査結果をみてみましょう。
・息子・娘が想像しているよりも、スマホを活用していると思う…64%
・現在使用している(定期的に閲覧または投稿している)SNSやメッセージアプリがある
…66%
意外に多くのシニアが、SNS機能を積極的に活用し、「自分はスマートフォンを使いこなせている」と感じているということがわかります。
「ラテラルフィッシング」と呼ばれる巧妙な詐欺メール
また、前述の調査では、近年手口がだんだんと悪質化している『ネット詐欺』についても質問をしたところ、以下のような結果になったそうです。
・フィッシングメールを受け取ったことがある…25%
・フィッシングSMSを受け取ったことがある…21%
・利用した覚えのないサイト・サービスからの請求を受けたことがある…15%
注)「フィッシングメール」や「フィッシングSMS」
銀行・カード会社・オンラインサービス・芸能人などの名を騙ったメールやショートメール
とくに最近では、「ラテラルフィッシングメール」と呼ばれる巧妙な詐欺メールも登場してきました。「ラテラルフィッシング」とは、企業などの組織になんらかの攻撃をして、組織のメールアドレスを不正に使用できるようにすること」を意味しています。つまり、企業の正規のドメイン名を使って、詐欺メールが送られてくるわけです。
以前まではドメイン名を見て「これは怪しい」と判断できましたが、正規のドメイン名で届くラテラルフィッシングメールには通用しません。そのため、詐欺だと気が付かずに対応してしまうケースが増えているのです。
そのほか、「寄付を誘ったメールが届いたので、記載されたURLを開いたら無関係のサイトに飛んだ」「利用しているアプリの運営から、『問題が発生したので下記のURLから登録情報を入力して』という詐欺メールが届いた」というケースも。実際に利用しているサイトやアプリからメールが届いてしまうと、つい信用してしまう人もいるということなのかもしれません。
スマートフォン使用による詐欺トラブルを避けるには?
ではここで、スマ―トフォン使用による詐欺トラブルを防ぐポイントについてみてみましょう。
・宛先部分に自分以外のメールアドレスが含まれていないかをチェックする
・怪しいメールに記載されているURLや添付ファイルは開かない
・募金など善意を利用する詐欺にも注意する
つまり、少しでも違和感があるメールを受け取ったら、『中身は開かずに削除する』といった意識が大切ということなのかもしれませんね。
ただ、ここで注意したいのは、スマートフォンを利用しているからといって、必ずしも「詐欺に遭いやすくなる」という訳ではないという点です。現に、シニアを狙った振り込め詐欺の電話が、スマートフォンにかかってくるケースは少ないといわれているからです。
なぜかというと、振り込め詐欺等に利用されているのは、ネットなどで取引される「シニアの電話の番号リスト」なのですが、そこに記載されている多くの番号は固定電話のものであるためです。そのため、固定電話を解約してスマートフォンを利用している人は、振り込め詐欺に巻き込まれる可能性が低い傾向があるともいわれています。
まとめ
シニア世代の方は「スマートフォンをうまく活用している」と感じている人が多い現状だからこそ、このような詐欺には十分気を付けたほうがよいともいえます。また、冒頭で紹介した国民生活センターに寄せられた事例の報告は、30代~50代となりますので、シニア世代だけが気をつけなくてはいけないというわけではありません。
とはいえ、「人と人との接触を避ける」ことが求められている今、スマートフォンは大切なコミュニケーションツール。安全に使うためにも、「私はスマートフォンを使いこなしているから大丈夫」「自分は騙されない」といった思い込みは控え、常に一定の危機感をもちながらスマートフォンと付き合っていくことをおすすめします。
【参考】
独立行政法人「国民生活センター(http://www.kokusen.go.jp/index.html)」新型コロナウイルスを口実にした消費者トラブル・速報(http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coronavirus.html)」
株式会社NTTドコモ「シニアの「ネットトラブル」のリスクを調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000031650.html)」
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