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「自分を批判するWebサイトを作られた!どうしたらいい?」齋藤弁護士のお悩み相談シリーズ

LIMO / 2020年4月18日 18時45分

「自分を批判するWebサイトを作られた!どうしたらいい?」齋藤弁護士のお悩み相談シリーズ

「自分を批判するWebサイトを作られた!どうしたらいい?」齋藤弁護士のお悩み相談シリーズ

今回は、自分が運営しているWebサイトに対する「誹謗中傷Webサイト」を作成され、繰り返し新しい記事を公開され続けて悩んでいる方のご相談です。

殺害を予告する、などの決定的な表現はないものの、検索エンジンでWebサイト名を検索すると、この誹謗中傷サイトも表示されるようになってしまったようです。

相談概要

私の友人(以下Aさん)の話です。

Aさんは西日本のとある市で、地元密着型のWebメディアの運営を行なっています。運営開始から数年が経ち、現在では市民の3分の1近くのユーザーが閲覧する規模にまで成長しました。

しかし数年前から、Aさんを誹謗中傷するためのWebサイトが開設され、これまでに20件以上の記事が更新されています。

相談したいことは、このWebサイトで記載されていることが「法律に触れるかどうか」、ということです。

というのも、AさんのWebメディアをインターネットで検索すると、この誹謗中傷サイトのWebページが検索で引っかかってしまい、AさんのWebメディアを検索した人に悪い印象を与えてしまう可能性があるためです。

「殺す」「潰れろ」などの決定的な言葉は書かれていないのですが、どのような表現が法に触れるのか、Aさんでは判断できないとのことです。

また、将来的に犯人に目星がついた際には、「誹謗中傷している記事を削除してください」と言えるだけの正当な権利を持ち合わせているのかどうかが気になっています。「犯人らしき人と話をする際に気をつけること」などはありますか?

ご回答よろしくお願いします。

誹謗中傷Webサイトの表現とは?

Aさんが、これは誹謗中傷ではないかと思った表現は以下のようなものです。

・ポジティブさを感じられない
・肩で風を切るような態度の大きさに、みんな嫌気が差しているのが現状ではないでしょうか
・実際に、〇〇(Aさんが運営するお店)と同じ通りに店を構える人からAさんの愛想の悪さを指摘する声を聞く
・Aさんの意識高い系学生のノリが避けられている
・Aさんは読書家であり、ビジネス本を愛読している。しかし、ビジネスの基本「PDCAサイクル」の計画の部分がいつも甘すぎる
・「うまいこと弁を弄するのが苦手」なのは、ビジネス上で非常に弱点かと思う(Aさんに対して)
・コソコソしたような後味の悪さを残す印象(Aさんに対して)
・Aさんが更新する記事では、Aさんの「誘導尋問的質問」に嫌悪感を抱いている人も少なくないと聞く
・夏期にクーラーなしでの営業はどうなのか。現在調査中です
(Aさんが運営するゲストハウスについて言及。エビデンスもなく、Aさんの営業妨害に繋がるような文言を記載)

齋藤先生による回答「不法行為責任が成立する余地あり」

Q1.これらの表現は法に触れるのでしょうか?また、抵触するとしたらどのような法律でしょうか?

記事で名指しの状態になされたものである以上、不法行為責任が成立する余地はあるとみています。誹謗中傷の主なものは、刑事罰を科す場合には名誉棄損罪、執拗に営業に対して妨害をするような行為は威力業務妨害罪、嘘の情報を流して営業をかく乱させる行為は偽計業務妨害罪が成立しえます。

本件では、Aさんを名指しで、見る人がみるなら人物を特定できる形で記載されているものですから、内容次第で不法行為は成立しえます。そこで内容を拝見すると

・肩で風を切るような態度の大きさに、みんな嫌気が差しているのが現状ではないでしょうか。
・実際に、〇〇(Aさんが運営するお店)と同じ通りに店を構える人からAさんの愛想の悪さを指摘する声を聞く

など、さも事実かのように個人の評価を加えているのが気になります。先方側の反論としては、表現の自由の一環であると主張するでしょうが、

・Aさんは読書家であり、ビジネス本を愛読している。しかし、ビジネスの基本「PDCAサイクル」の計画の部分がいつも甘すぎる
・「うまいこと弁を弄するのが苦手」なのは、ビジネスをやっていく上で非常に弱点かと思う
・コソコソしたような後味の悪さを残す印象

などの記載は、わざわざインターネット上で悪評を記載する必要性に乏しいものですし、Aさんの周辺周囲にいる人間によるものといわざるをえません。

・Aさんが更新する記事では、Aさんの「誘導尋問的質問」に嫌悪感を抱いている人も少なくないと聞く
・夏期にクーラーなしでの営業はどうなのか。現在調査中です

などの記載は、実際に他人からの評価を聞いたうえでのものであれば、その根拠があってしかるべきところ、その記載もありません。これらを総合的に判断すると、不法行為が成立する余地は十分あるでしょう。

不法行為が成立すると、削除請求や慰謝料請求の余地が生じてきます。

Aさんが運営するゲストハウスに、実際の損害が生じていることが立証できるのであれば、慰謝料以外の損害賠償請求も視野に入ります。地元密着型のWebメディア運営を行い数年が経ち、現在では市民の3分の1近くのユーザーが閲覧する規模に成長している状況からすると、せっかく成長中なのに足を引っ張られたような気持ちになっているでしょう。

Q2.犯人に目星が付いた場合、話をする際に気をつけることはありますか?

できれば直接話をする際にも、相手方に断ったうえで録音を取る、直接の対面は回避したうえでチャットツールなどで話をするほうが建設的ではないでしょうか。どうすることもできない状況に至ってから面談でも遅くはないと思います。

Q3.今後はどのような法的ステップを踏むことが望ましいでしょうか?

裁判手続を取る場合には、発信者情報開示請求というものが考えられます。これを行う場合、誰がどのような書き込みをしたのか、書き込みをした人物を特定するにとどまります。

名誉権の回復、名誉感情やプライバシー、営業権や業務遂行権の侵害を主張する場合には、これより先の交渉を、弁護士に相談するなどの検討が必要になります。悪質だと思いますので、あきらめないでください。表現の自由は決して、あなたの人格を傷つける目的で認められている権利ではないのです。

※LIMO(リーモ)では引き続きお悩みを募集中です。詳しくはこちら(https://limo.media/articles/-/16523)
(ご応募は、TwitterのLIMOアカウント(https://twitter.com/limo_media)のDMでも受け付けています)

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