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貯蓄をみんな平均でいくらしているのか

LIMO / 2020年4月17日 19時10分

貯蓄をみんな平均でいくらしているのか

貯蓄をみんな平均でいくらしているのか

新年度が始まり、多くの企業で新入社員が入社した時期だろう。今年は新型コロナウィルスにより春らしさが一気に失われてしまったが、例年であれば、5月頃には決まって今年の初任給はいくらかという報道が出る。

給与水準は業界や企業規模等により異なるのは多くの方が認識しているはずだが、こと個人の貯蓄の話となると途端に周りが気になるというのだから何とも不思議なものだ。今回は、貯蓄の平均について総務省のデータなどをもとに見ていこう。

意外に多い?!みんなの貯蓄水準

総務省「家計調査」の2018年のデータ(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2018_yoyaku.pdf)によると「二人以上の世帯」の貯蓄現在高は次の通りである。

貯蓄の平均値:1752万円

貯蓄保有世帯の中央値:1036万円

貯蓄ゼロ世帯を含めた中央値:978万円

貯蓄の平均値が1700万円台というのを聞いて、皆さんはどう思うであろうか。

「老後2000万円問題」は昨年大きな話題となったが、その水準にはやや足りないものの、平均で2000万円近くの貯蓄があるということになる。

平均値だけに目を捕らわれるな、盲点とは何か

数値が並ぶと「平均はいくらか?」を気にする人も多い。しかし、実際には平均には盲点があることをお伝えしたい。

「平均」は数値の大きなサンプルがあるとそこに大きく影響を受ける。たとえば、今回のサンプルでいうと極端に巨額な貯蓄をしている人が一人でも入れば、平均値はその値に引っ張られることになる。

また、「0」はサンプル数が多くても平均を算出する上においてはどこまで足しても「0」なのである。

平均値だけではなく中央値にも目を向けたい

実際多くの人が知りたいのは「全体の中でちょうど真ん中の人はどこか?」ということではないだろうか?

仮にこの質問の答えを知りたければ「中央値」を見る必要がある。

中央値というのは、小さい順に並べてちょうど真ん中の値を指す(大きい順でも構わないが)。たとえば、小学校の時に背の順に並んだということを思い出してもらえばよい。50人のクラスで25番目の子の背丈がそのクラスの身長の中央値ということになる。

さて、話をもどそう。

二人以上世帯の貯蓄の中央値は1036万円だ。さらに貯蓄がない世帯(貯蓄ゼロ世帯)を加味すると中央値は978万円となる。

こうしてみると平均の1752万円とはかなり開いているのがお分りであろう。

はたらく世代の貯蓄はいくらか

ここまで見てきたデータは全世代が対象となっている。しかたがって、比較的貯蓄の大きい高齢者層も含まれている。そこで勤労世帯いわゆる現役世代に絞ってみるとどうであろうか。

二人以上の世帯のうち勤労者世帯についてみてみよう。

貯蓄の平均値:1320万円

貯蓄保有世帯の中央値:798万円

貯蓄ゼロ世帯を含めた中央値:741万円

このように平均は1320万円で中央値は798万円となっている。さらに貯蓄がない人を加味すると中央値は741万円となる。

ここまでみてくると、現在子育て中であるとか、老後に向けて資産形成を進めているといういわゆる「はたらく世帯」にとってみれば、798万円や741万円の方が現実味のある数字として受け入れられやすいのではないだろうか。

貯蓄は預貯金だけではない

ここまで貯蓄額を見てきたが、そもそも貯蓄はどのような金融商品を指すのだろうか?

「貯蓄はいくらか?」という質問をすると「貯蓄とはどこまでを指すのか?」と逆に質問をいただくことも少なくない。

貯蓄の定義は人によりかなり曖昧である。そして多くの人が貯蓄は預貯金とイコールと考えている。

まずは、ここまで見てきた総務省の資料をもとに、「二人以上の世帯」の貯蓄の中身を見てみたい。

貯蓄のうち約6割がいわゆる「預貯金」である。また、それに次いで大きいのが「生命保険」で約2割。「有価証券」に至っては13%程度となっている。

こうしてみると日本人は金融商品としてはやはり預貯金を嗜好しており、その比率は貯蓄のうち半分以上を占めている重要な金融商品であるということだ。

また、日本人の金融資産に占める生命保険の比率は少なくないというのも見て取れる。リスクをとって運用する有価証券の比率は生命保険よりも小さいというのもわかる。

貯蓄の目的は一体何が多いのか

「貯蓄はいくら?」というと預貯金額を答える人が多い。一方で「資産運用のご経験は?」と質問をすると投資信託を持っているとか株の経験が有るといった答えも出てくる。

実は預貯金も資産運用の一つである。安定資産として好まれる預貯金だが、わずかながら利子がつくのは皆知っている、つまり立派な資産運用商品なのだ。

それにもかかわらず、「投資はわからないから怖い」と言って多くの人は預貯金を選ぶ。そして預貯金に依存している人に限ってお金が大して増えないと不満を漏らすことも少なくない。親や祖父母など人生の先輩方から若いうちは預金しろ、貯金しろと言われて、実践している人も多いだろう。実際に預貯金している人にその目的をアンケートがある。

リサーチ・アンド・ディベロップメントが行った調査(https://www.rad.co.jp/report_list/20200115/)によると、最新2019年の預貯金の目的は「老後の生活資金」が64.4%、次いで「病気や災害への備え」56.1%と続く。

最近は長寿リスクなどと言われるように老後に対する意識は高まってきているが、「いつ頃までにいくら必要か?」と聞くと多くの人は答えられない。

いつまで働き、リタイアしてその後はどういう人生を送りたいか。

人生100年時代と言われるようになった今、65歳、70歳のリタイアは人生のまだ7合目だ。
平均寿命に引き直しても女性なら90歳程度まで生きる。案外先はまだ長い。どういう老後を送りたいか具体的にイメージしておく必要がありそうだ。

また、2番目に多かった「病気や災害への備え」は万が一なことがあった際への備えというものなのであろう。

万が一とは何なのだろうか。実際に「万が一」が発生したら現在の預貯金額でカバーできるのだろうか。こちらも何となく大丈夫そうという人が多いのではないだろうか。

お金に「色」はないが「目的」を持たせてみる

大事なことはお金に目的を持たせるということだ。

いつ頃までにいくらあると良いか、万が一となった時にはいくら用意できると良いか、具体的なイメージを持つことが大切である。

今から将来のことなんてわからないが、いつになったらわかるのか。

将来を見据えて目的別にお金を分けて考えることをお薦めしたい。

将来の予定なんて変わることも当然あり得る。ただ、その際も一度自分でしっかり考えた結論であれば1つの軸が出来ているはずだ。そしてその軸を基準に以後も継続するのか、それとも修正していくのか具体的になっていく。

貯蓄は誰のためにするのか

貯蓄は誰のためでもなく、自分や大切な人のためにするものだ。周りが気になるのもわかるが、もっと自分ごとと考えて計画的に進めていきたい。

すぐに使えるお金、自分へのご褒美のお金、老後を楽しむためのお金等、「万が一」が発生した時のお金、等々。短期、中長期、長期とお金に目的を持たせよう。

目的が決まれば次は戦略だ。1つ1つ具体的な手段が出てくるはずだ。何となく預貯金していた時よりも将来の絵がずっと鮮明に見えてくるのではないだろうか。

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