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インデックス投信も万能でない!データに見る、つみたて投資の残念な結果

LIMO / 2020年4月20日 19時30分

インデックス投信も万能でない!データに見る、つみたて投資の残念な結果

インデックス投信も万能でない!データに見る、つみたて投資の残念な結果

インデックスファンド(インデックス投信)は買付手数料が無料(ノーロード)であったり、運用に伴う費用である信託報酬がアクティブファンドと比べて割安です。また長期での資産形成を目標とする個人投資家にとって、iDeCo(イデコ)やつみたてNISAといった税メリットのある制度の中でもインデックスファンドの品ぞろえが多く、最近ではなじみのある金融商品となっています。

投資信託の中では、ある種「インデックファンド」がメジャー化する一方で、「インデックスファンドなら何でもよく、毎月買っていればOK」といった考え方をしている人もいます。結論から言えば、投資先の資産を間違えるとインデックスファンドを毎月つみたて投資をしているだけでは長期の資産形成にはなりません。今回はその点についてデータをもとに実証分析させていただきます。

TOPIXを毎月購入したケースを考える

日本株式を代表する株価指数といえばTOPIX(東証株価指数)があります。他には日経平均株価もあります。ただ、より幅広い銘柄で構成されているという観点からプロ投資家は日本株価全体を基準とする際にはTOPIXを使用します。

では、毎月月末にTOPIXを決められた額購入するとして、つみたて投資の結果がどうだったかを見てみましょう。2020年4月に関しては、2020年4月17日の1442.54を使用しました。

TOPIXを長期で毎月つみたて投資した結果とは

2000年の5月から2020年4月まで(2020年4月は4月16日に購入したとする)月末にTOPIXを定額(1万円でも2万円でも構いません)購入したとして計算。購入手数料はかからない、信託報酬はかからないという前提です。

以下、何年からの何年間の運用:含み益率、CAGR(年平均成長率)、として表記。
また、マイナスは▲表記。

2000年から20年間の運用:+23%、1.1%
2001年から19年間の運用:+25%、1.2%
2002年から18年間の運用:+24%、1.2%
2003年から17年間の運用:+22%、1.2%
2004年から16年間の運用:+21%、1.2%
2005年から15年間の運用:+20%、1.2%
2006年から14年間の運用:+22%、1.4%
2007年から13年間の運用:+24%、1.7%
2008年から12年間の運用:+27%、2.0%
2009年から11年間の運用:+24%、2.0%
2010年から10年間の運用:+21%、1.9%
2011年から9年間の運用:+16%、1.7%
2012年から8年間の運用:+8%、1.0%
2013年から7年間の運用:▲2%、▲0.2%
2014年から6年間の運用:▲5%、▲0.9%
2015年から5年間の運用:▲8%、▲1.6%
2016年から4年間の運用:▲9%、▲2.2%
2017年から3年間の運用:▲12%、▲4.2%
2018年から2年間の運用:▲10%、▲5.4%
2019年から1年間の運用:▲8%、▲7.8%

ここまででわかることを言うと、TOPIXを毎月つみたて投資をしてプラスのリターンが出ているのは、8年以上を投資している場合です。

しかし、仮に20年間に渡って、毎月つみたて投資をしても、超過収益は23%に過ぎず、その年間平均リターンも1.1%に過ぎません。日本は長らくデフレであったことを考えれば、「プラスだけいいじゃない」というようなコメントもあるかもしれませんが、「株式のリスクをとってこのリターンかと落胆する方も多いかと思います。

日本株インデックスファンドの不都合な真実

また、2013年以降につみたて投資を始めたケースでは、いずれのケースでもマイナスのリターンとなっています。

「時間分散したのになぜ」という声も聞こえてきそうですが、これがTOPIXを毎月つみたて投資した実績です。

2012年末からアベノミクスとして株式市場も元気を取り戻した感はありますが、個人投資家が2013年から毎月つみたて投資をしていて、現在がハッピーかというと厳しい状況といわざるをえません。

この原因は一つには、日本株式が「循環株」といわれるように、上がったり下がったりを繰り返すだけで、継続的に成長しない資産だからともいえます。つまり、つみたて投資をする対象の選択を間違えたともいえます。

インデックスファンドにも運用費用が掛かる

また、先ほど見てきたケースでは信託報酬を考慮していません。ですので、実際のパフォーマンスは先の例よりも下回るということは付け加えておきます。

信託報酬は「マイナスの複利」です。毎日毎日、皆さんの資産から差し引かれることになり、信託報酬が安いのが良いのは当然です。

現在、日本株のインデックスファンドの信託報酬は非常に安くなり、10ベーシス台(0.1%台)のファンドも多く、投資家にとっては非常に運用しやすい環境となっています。

しかし、一見安くみえる信託報酬も長期間になると無視もできなくなります。ここまで見てきたように、10年程度の運用期間では十分という結果が出ないのですから、薄い信託報酬も10年以上の期間でどうなるのかという想像も必要です。

ちなみに、インデックスファンドは、インデックスのパフォーマンスを目指す運用をしています。したがって、信託報酬分は必ずパフォーマンスで負けることになります。インデックスファンドに投資をすることは、アクティブファンドが陥るように大きく負けてしまうことはないですが、より確実な負けに運用費用を支払っているということになります。

インデックスファンドの難しさは、どの資産を選ぶかに尽きる

ここまでいうと、「日本株のインデックスファンドを選択したから失敗しただけではないか」というような指摘もあるでしょう。インデックスファンドで成功している方は「米国株式」や「世界株式」を選択したことで成功しているのではないでしょうか。つみたて投資をする資産の選択に成功し、また運用期間も十分に取れているというケースでしょう。

もっとも、今後も「米国株式」が勝ち組であるかどうかを残念ながら証明はできません。先進国でありながら長期間に成長し続けてきた実績は評価できます。

しかし、コロナ時代にどうなるかは、現状では誰にもわからないでしょう。米国の新型コロナウイルス感染症の対応に苦慮している状況を見るにつけ、不安が残ります。米国株式が投資対象としてよかったというのはあくまでも「バックミラーを見て」という評価をしておく方がよいでしょう。

もっとも、米国のような先進国で長期的に今後も成長する国を見出すことは非常に難しいので、将来振り返ってみたらやはり米国株インデックスファンドが一番パフォーマンスが良かったということはあり得ます。

このように、インデックスファンドで成功するには、資産選択の目利きと辛抱強さ(もしくは忘れる力)も合わせて必要ということが分かります。

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