宝石のレンタルはビジネスとして成り立つのか？ ストック思考で考える

ビジネスの安定成長に欠かせない仕組みである「ストックビジネス」。今回はストックビジネスの基本の一つ、レンタルについて考えます。

宝石のレンタルはストックビジネス化できる？

筆者が携わるストックビジネスアカデミー（SBA）のストックビジネス実践会（http://otaketakahiro.com/jissen）に、会員の方から次のような質問が寄せられました。

それは、「長年宝石にかかわる商売をして、その知識は身についています。そして、独立するなら宝石のレンタル事業はどうかと考えています。宝石のレンタルというのはストックビジネスとして成り立つでしょうか」というものです。

ストックビジネスの4分野

まず、ストックビジネスになり得る4つの分野をおさらいしてみましょう。

貸す（レンタル）

認める

改善する（学習・成長・治癒・改善）

消費・劣化

このように、そもそもレンタルは最もストック化しやすい王道ビジネスなのです。とはいえ、なんでもかんでもレンタルにできるというわけではありません。

レンタルの三原則

レンタル契約になってる商品は、世の中にはこれでもかというほど存在します。ただし、レンタルには基本となる三原則があります。

原則1「物理的合理性」：大きくて簡単には運べない・動かせないなどの物理的理由、および保管コストがかかるなどの理由から、所有するよりレンタルする方が合理的なケース。

原則2「時間的合理性」：利用の頻度が少ないため、所有するよりレンタルする方が合理的なケース。

原則3「経済的合理性」：購入するコストが高い、また所有した場合に自分自身で維持するための費用や維持管理を委託するコストを考えるとレンタルする方が合理的なケース。

この原則を、今回の質問対象である宝石に当てはめてみます。

まず物理的合理性ですが、宝石は小さく、保管場所に困らないので物理的合理性はあまりなさそうです。

時間的合理性はどうでしょう。めったに使わないものかどうかは、利用シーンでかなり答えが違います。たとえば、結婚式やパーティーで使うのなら頻度は少ないので時間的合理性にマッチしますが、普段使いならこれは当てはまりません。

経済的合理性はというと、本物の宝石は高価ですのでこれは当てはまります。

レンタルビジネスのトレンド変化

別の視点から見てみましょう。レンタルには長い歴史がありますが、最近はトレンドが変わってきています。

たとえば、「エニカ（https://anyca.net/）」のような高級車のシェアリング型レンタル、「マイクローゼット（https://www.my-closet.co.jp/）」のようなドレスレンタル、そして「ラクサス（https://laxus.co/）」のようなブランドバックのレンタルもあります。

シェアリング型でコストを下げ、保険をかけることでリスクを下げて提供することも可能です。また、プロのスタイリストがコーディネートする「エアクローゼット（https://www.air-closet.com/）」のように、「誰か」が選んだという付加価値を付ける方法もあるでしょう。

というように、近年レンタルは多様化していて、会員制、リース型、さらにシェアリング型など、昔なら提供する側が資産にして貸すだけという形態から大きく変化してきています。

当然ながらお客様はそうした様々なサービスを選べる立場ですから、最後はユーザー目線で決めることが大事です。

おわりに

最後に、あるいは前提として、最も大切なのはその事業をやる理由です。

たとえば、何らかの事情で在庫をたくさん抱えながら活かしていない人を知っているとか、これまでメーカーの下請けをしていて技術があり人材もいるなど、人それぞれの理由があります。そして、それを活かすからこそビジネスの継続率が高くなるのです。

ストック思考は今回紹介したような客観的な視点を身に付けるのにはとてもいい発想法です。無理に考えてもアイデアが出ないときは出ませんから、普段から自然にストック思考を意識できるようにすることをお勧めします。

ストックビジネスの構築研究を行うストックビジネスアカデミーに興味のある方ははこちら（https://otaketakahiro.com/jissen）を覗いてみてください。