「生涯現役」の人に聞いた、長く働くための4つのヒント
LIMO / 2020年4月30日 20時0分
「生涯現役」の人に聞いた、長く働くための4つのヒント
昨年7月に厚生労働省が発表した2018年の日本人の平均寿命は、女性が87.32歳、男性が81.25歳で、ともに過去最高を更新しました。こうして平均寿命が延びると、「65歳で定年を迎えるには早い」「経済的なことを考えるとできるだけ働く期間を長くしたい」と思っている人は多いかもしれません。
しかしその一方で「65歳を過ぎても働かなきゃいけないなんて嫌だ」と思う人もいるでしょう。そこで今回は、自分のことを「生涯現役」だと自称する4人に、長くそして楽しく働くためのヒントを聞いてみました。
「趣味を仕事にしちゃいけない」
「趣味を仕事にしちゃいけないな」と言うのは建設業を営むAさん。
「趣味は息抜きをするためのものだから、仕事とは別にしたほうがいい。たまに趣味を仕事にしちゃう人がいるけど、そういうのは続かないんだよ。趣味がないと人間はどうしてもくたびれてしまうから、仕事のほかに趣味があったほうがいい」と笑います。
そんなAさんの趣味はプラモデルの制作。細かいパーツを無心で組み立てているときにリラックスできるのだとか。
「趣味と仕事は一緒にしちゃいけないけど、仕事のことは好きじゃないと続けられない。趣味は趣味で楽しむ、仕事は仕事で楽しむ。仕事が嫌いだと思っていたら生涯現役なんて到底無理。仕事だって、人に褒められたり、思っていた通りに物事が進んだりしたら面白いと思うはず。そういうのを積み上げていけば仕事すること自体が楽しくなるんじゃないかな」と教えてくれました。
たしかに、趣味がないと仕事で行き詰ったときに気持ちの逃げ場がなくなってしまいそうです。仕事を続ける活力を維持するためにも、他のことを忘れて没頭できる趣味を持っておくといいのかもしれません。
「仕事が好奇心を満足させてくれる」
いつまで経っても好奇心を忘れないことが大事だと話すのは、定年を過ぎてもIT企業でバリバリ働くBさん。若い世代以上に知識が豊富で最新のトレンドも把握しているBさんは、勤務先から定年後の再雇用を提案され、継続して働いています。
「こういう業界でやっていくのは簡単じゃないけれど、常に好奇心を忘れないことが大事かなと思う。それがなくなったら仕事なんて少しも面白くなくなってしまう。新しいものを知るのは楽しいし、脳の老化を防ぐと思う」と笑います。
筆者も、360度カメラが世に出始めた頃、Bさんにその仕組みや特徴について実物を手に説明してもらったことがあります。その場にいた誰もが360度カメラを初めて見る中、最年長のBさんがイキイキと説明する姿がとても印象的でした。
「年を取ると新しい物事を知るのが億劫になる人もいるらしいけれど、自分は世の中が変わっていくのを見ているのが楽しい。でも仕事がないとこういうことを知る必要もなくなるだろうし、そうなるとボケてしまいそう。だから仕事っていいなって思うんだよ」と語っていました。
「仕事の垣根を超えた付き合いが楽しい」
士業を営むCさんは、「仕事で知り合った人たちと仲良くするのが長く働き続ける一番の秘訣なのでは」と言います。
「職業柄、仕事とプライベートを分ける必要は感じていない。仲良くなったほうがその人のことがよくわかるし、付き合いも広がっていく。ある社長さんが相談に来て、仲良くなって飲みに行くようになったら同じようなことで困っているほかの社長さんを紹介してくれることもある。そうやって仕事が広がっていく」のだそう。
「別に営業をかけようと思っているわけではなくて、ただなんとなく『いい感じだなこの人』と思うから飲みに行く。そうやって楽しい時間を過ごしているからこそ、一生働いていてもいいかなと思う」と言います。
「出会うきっかけがたまたま仕事を通じてだっただけで、知り合ったらみんな知り合い。仕事の話しかしちゃダメなんて決まりはない。そこの垣根を超えて付き合えたら信頼関係もできるし充実感もある。いろんな人と出会うきっかけになっている仕事を手放す気になんてなれないな」と話していました。
「仕事は生活そのものであり続ける」
最後は農業を営むDさんです。「自分の場合は仕事柄だと思うけど、仕事自体が生活だし、生活自体が仕事。生き物を相手にする仕事だから、こっちも手を抜けないし、手を抜く気もない。手をかければかけるだけいいものができる」と言います。
「仕事と生活を分けて考えると生涯現役なんて大変だなあと思うのかもしれないけれど、自分の場合は生きるのに必要なものは死ぬまで変わらないからやめるつもりはない」と言います。
Dさんは農作物を育てるだけでなく、学校や学童をめぐって子どもたちに命の大事さを教えることも仕事の一つとしています。また、若者に農業に興味を持ってもらおうとさまざまな取り組みを行うプロジェクトのメンバーでもあり、毎日多忙ながらもエネルギッシュに働いているのが印象的でした。
おわりに
今回紹介した4人からは、働くことの楽しさが強く感じられました。仕事を楽しめないと生涯現役を目指すのは無謀かもしれませんが、今のうちから生涯現役を見据えたセカンドライフの働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
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