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在宅勤務費用、会社からもらっていますか? 付け焼刃的テレワークの問題点

LIMO / 2020年4月30日 20時20分

在宅勤務費用、会社からもらっていますか? 付け焼刃的テレワークの問題点

在宅勤務費用、会社からもらっていますか? 付け焼刃的テレワークの問題点

筆者の在宅勤務(以下、テレワーク)歴はかれこれ8カ月。昨年の夏あたりから独立して働いています。ですので、コロナと関係なく自発的テレワーカーです。

シェアオフィスも借りることはできますが、最低月2〜3万円の固定費がかかることや通勤時間を考えるとテレワークの方がよっぽど経済的かつ効率的です。家族がブーブー文句を言わないのでかなり助かっているところはありますが。

なし崩しに始まった感のあるコロナ対策でのテレワーク

ただ、このテレワーク、コロナ禍でなし崩し的な対応になっているように感じられて仕方がありません。今はなるべくリモートの方がよいのでしょうが、現業で出勤しなければならない方が多数いらっしゃいますし、何でもかんでもテレワークにできるわけでもありません。

実際、厚生労働省が3月31日から4月1日に行った、第1回の「新型コロナ対策のための全国調査」によれば、新型コロナ感染予防のためにしていることとしてテレワークを挙げたのは5.6%という結果です(下図参照)。

第1回「新型コロナ対策のための全国調査」(厚生労働省、3月31日~4月1日実施)

(/mwimgs/f/0/-/img_f017d84da712a412257bcf7a1c5620e993155.jpg)

拡大する(/mwimgs/f/0/-/img_f017d84da712a412257bcf7a1c5620e993155.jpg)

出所:厚生労働省ウェブサイトを参照


現実として、IT機器や通信設備が整っていない環境ではテレワークは難しいですし、万人が自宅(または会社以外の場所)勤務に向いているわけでもないでしょう。

また、仕事場の確保も問題になります。たとえば都内の場合、自宅内に独立した仕事部屋を持っている方はどのくらいいるのでしょう? ほとんどの方は、家族とスペースを共有しながらのテレワークではないでしょうか。特に共働きの場合、2人がそれぞれの個室を持つというのは現実的にほぼ無理だと思います。お子さんがいればなおさらでしょう。

筆者の場合は前職にその制度があり、緊急時を含む必要な際には自宅で仕事をしていました。もっとも、その際は1〜2日程度の短期で、今回のように終りが見えない長期間にわたることはありませんでした。

テレワークの費用にはどんなものがあり、誰が負担するべき?

そこで考えないといけないことは何なのか。いの一番に、テレワークの費用を誰がどう負担するかです。お金の問題です。

出勤するなという会社命令ですから、自宅で仕事をするのは構わないとしましょう。ただ、自宅で働くといってもタダではありません。なぜなら、下記のような費用が発生するからです(参考:厚生労働省「テレワーク導入ための労務管理等Q&A集(https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category7/02.pdf)」17ページ)。

    情報通信機器費用(パソコン、周辺機器、スマートフォン等)

    通信回線費用(WiFi、電話代)

    文具、備品、宅配便費用等

    水道光熱費

フル・テレワークなら、新規機材導入設定等費用で少なくとも当初30〜40万円、月当たりのランニングコストは2〜3万円といったところでしょうか。仮に大企業で100人をテレワーク対応させるとすれば、導入コストで3〜4千万円、ランニングコスト月200〜300万円程度。年換算すると、ざっと1億円弱くらいでしょうね。

もちろん、通勤させて交通費を支払い、オフィスを提供するコストと比べてどちらが経済的かという議論はあります。しかしながら、テレワーク完全移行ならまだしも、少なくとも当面は二重払いですから、もし会社が全て負担するとしたら、正直かなり痛いのではないでしょうか。

しかし、大事な費用が見落とされています。それは家賃です。自宅所有の社員がスペースの一部を会社の仕事用に拠出しているとすれば、会社は上記の費用に加え当該スペースの賃貸料を払ってしかるべきです。実はこれが一番大きいコストになるはずです。

完全テレワークであればその社員が動く範囲は仕事用(会社用)ですから、会社は職務使用スペースに応じた家賃を負担すべきと考えます。ここは上記の諸費用と同じはずなのですが、不思議なことに厚労省のマニュアルで賃料には一言も触れられてはいません。

筆者は法人形式で仕事を運営していますので、かかる法人は個人である筆者に家賃を払っています。筆者個人から見れば、その法人に対する不動産賃貸ということになりますので、給与と合算して諸経費を確定申告するということになります。

普通の企業と社員の関係も基本的には同じはずで、家賃を含め諸経費はいったん社員個人が立て替えて会社に請求するか、親切な会社だと会社契約で業者さんを差配してくれるかもしれません。

費用立て替え払いの場合は収入にはならないので問題ないのですが、自宅のスペースを会社に賃貸するとなれば個人の不動産所得です。会社は費用(損金)として家賃を社員に払い、個人は収入として認識するものではないでしょうか。

厄介なのは、その社員が自宅を賃借している場合や社宅の場合です。社宅の場合、所有者は会社なので何も言えません。ところが、第三者から賃借している場合、仕事場所を会社に提供していると考えれば又貸しになります。

通常の賃貸住宅の場合、又貸しは禁止です。テレワークの場合、会社がそのスペースを実質的に又借りしているということになると、家賃を社員に払うことが又貸し禁止に抵触してしまいます。しかしこの場合、社員が家賃を全て払い、そこで仕事をさせている会社が一切負担しないというのも納得いかないですね。

テレワークの普及で会社と社員の関係が見直される?

このように、テレワークには解決すべき問題点が多々あります。太っ腹な会社が、つべこべ言うな!と月30万円くらい給料とは別に払ってくれればいいですが、まずそんな会社はないでしょう。ただし、メルカリのように1人当たり6万円の在宅勤務手当を払う例があることは報道されています。

海外勤務だと家賃、教育費、一時帰国費用、その他費用を払ってくれる大手や外資系企業もありますが、なぜかテレワークや国内転勤だと社員側の持ち出しが多いのが実情でしょうね(筆者もそうでした)。

このように、今まで”なあなあ”で来たのが日本企業の会社員スタイル。でも、今回は”なあなあ”では済まなくなるでしょう。対応によっては、社員が愛想を尽かすかもしれません。

それはコロナショックよりも、企業存亡に関わる大きな問題です。請求するべきは請求し、払うべきは払う。それが令和時代の常識になるのではないでしょうか。

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