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ママ友のLINEで繰り広げられている「地域の感染者を特定したがる人たち」

LIMO / 2020年4月29日 20時45分

ママ友のLINEで繰り広げられている「地域の感染者を特定したがる人たち」

ママ友のLINEで繰り広げられている「地域の感染者を特定したがる人たち」

残念ながらまだまだ収束する気配を見せてくれない新型コロナウィルス感染症(COVID-19)。日本各地にその感染は広まっており、すでに多くの人にとって身近な存在になってきました。

現在では都市部を中心に日々多くの感染者が報告されていますが、3月のまだ各自治体に感染者が出始めた頃。小学生のお子さんを持つTさんの元に「うちの自治体にも感染者がでたらしい」という情報が飛び込んできました。その日、Tさんのスマホは夜遅くまでLINEトークでいっぱいになったといいます。

自治体名に反応した友人たち

その日、Tさんは子供の世話をしながら夕ご飯の支度を忙しく行っていました。するとLINEの受信音が立て続けになったそう。「珍しいな」と思いスマートフォンを取りに行くと「これってTさんの街だよね?」という遠方の友人、「でた!ついに市内!」という近所に住むママ友、「Tちゃん、コロナはあなたではない?」という地元に住む叔母からの連絡が約5分の間に連絡が入っていました。

どうやらTさんの住む自治体に感染者の報告があったことがニュースになり、しかもその感染者に10歳以下のお子さんが含まれていたというのです。

ニュースサイトで情報を確認したTさん。すると今度は「うちの小学校じゃなかったね!今近くの学校に通っているママ友に確認中!」というメッセージが小学校のママ友グループラインに入りました。すでに学校は休校期間中だったため、同じ学校だったとしても感染の可能性は低いのではないかと思ったTさんでしたが、学校は休校中なもののお子さんの習い事は継続中。もし同じ習い事の子だったら?と不安がよぎったそうです。

ママ友LINEの情報収集力

初めてのことに動揺しつつも、子供たちに普段通りの食事を与えながらトークを見守っていたというTさん。すると、20分もしないうちに「〇小に通う子だって!」と連絡が入りました。地図で確認すると、Tさんのお子さんの習い事の位置とは距離があったため「我が子が濃厚接触者である可能性は低いのでは」と感じたそう。その後、感染したお子さんと同じ小学校に通う友人から情報を得たママ友からさまざまな情報が入り、翌日には年齢や入院している病院、保護者のパート先までLINEグループに情報が入ってきたそうです。

「こんな短時間にこれだけの情報が集まるんだと正直驚きました。ですが、それはそのご家族を差別する目的というより『最近ここに行った可能性ある人もいるだろうから情報共有!』という気持ちが含まれているものでした。自分と似た年のお子さんを抱え、似たような場所でパートする方が感染した。今までより一気に新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が身近なものに感じられた瞬間でした」Tさんはそう語ってくれました。

陰湿なママ友LINEと言われ

翌日。テレビで報道を知った両方の親からも心配して電話がかかってくるなど、自治体名がでた影響の大きさを肌で感じていると、Tさんの元に市外に住む友人からLINEメッセージが届きました。

「SNSで見たよ。昨夜市内のママ友たちが寄ってたかって犯人捜ししたんでしょう?いじめの温床じゃない?関わる人選んだ方がいいよ」

一瞬意味がわからなかったというTさん。どうやらその友人の話ではネット上で「感染した子供の学校を聞きだし、個人を特定しその子と付きわせないために母親たちが躍起になって探偵のようなことをしている」ことになっているというのです。自分の知っているママ友LINEとあまりに違う状況に、Tさんは驚きと怒りがわいたといいます。

「私自身、かなり生活を制限しながら暮らしていました。ですが、唯一続けていた娘の習い事。もし自分の家族が無症状感染者の可能性があるとしたら、ご近所などへの影響もありますし、さらに子供の体調などに注意して暮らさなければという意識で情報を追い求めていました。それは私だけの気持ちでなく、トークに参加していたママたちもおそらく同じ。

『お子さん症状軽いといいね』『同居のおばあちゃんって書いてあったけど大丈夫かな』そんな思いやりの会話すらあったものが『何年何組の〇〇って子らしいよ』『こわーい。うちの子に近づくなっていわなくちゃ』といったものに書き換えられ、勝手に『ママ友LINEはイジメの温床』のようなイメージを植え付けられる。その方がよっぽど陰湿なことではないのでしょうか」

自分の知る人たちの人格が歪められ、存在しないイジメがあるかのように広がっていくSNS。その怖さを改めて感じたそうです。

まとめ

今まで経験したことのない事態に多くの人たちが不安になり、その結果情報の共有化を求める人が増えているようです。今回登場したママたちも「決して自分たちはいじめをするつもりはない」と思っていても、得た情報を良心的に利用する人ばかりではないということを想像し、もっと自覚するべきでした。

「歪んだ形で伝えられる」経験をしたママたち。自分たちのやり取りを客観的に見た際、周囲がどのような反応になるのか。このママたちのエピソードのように「自分だけは違う」と結論を出さずに、さまざまな立場の人の気持ちを考え、自分の行動が誰かを追い詰めることに繋がらないか、勘違いの波紋を呼ばないか、今一度立ち止まり考え、思いやりのある行動をとっていけるように心がけていくべきではないでしょうか。

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