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「腐らないで!」流産のあと、看護師にかけられた“ひと言”が頭から離れない

LIMO / 2020年5月9日 10時0分

「腐らないで!」流産のあと、看護師にかけられた“ひと言”が頭から離れない

「腐らないで!」流産のあと、看護師にかけられた“ひと言”が頭から離れない

妊娠初期の流産は、誰にでも起こり得ること。しかし初めての妊娠や順調な妊娠・出産しか経験のない女性にとって、「流産」による精神的ダメージは計り知れません。マイナス思考に陥り、物事をネガティブにしか捉えられなくなることもあるでしょう。

そんなとき…周囲からの励ましの言葉も、真っすぐな心で受け取ることができなくなっているかもしれません。あるひと言によって、長い間苦しんだ筆者のエピソードをご紹介します。

「流産」は多くの女性が経験する疾患のひとつ

日本産科婦人科学会の公式ホームページ(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4)によると、流産は医療機関で確認された妊娠の約15%で起こり、「多くの女性が経験する疾患」であると記載されています。この事実は、産科に関わる医療従事者、過去に流産経験のある女性やその夫などにとっては当然の知識なのかもしれません。

しかし初めて妊娠した女性や、順調な妊娠・出産しか経験のない女性とって流産は身近なものではなく、一部の妊婦さんだけ起こる特別なものという感覚で捉えている場合も。まさに、筆者自身はそのような考えを持っていました。実際に、流産を経験するまでは…。

流産によって不幸のどん底に

筆者は約5年前、切迫流産、切迫早産による入院などを経て、第1子を出産しました。営業の仕事をしながらの妊娠生活だったため、身体的・精神的にもかなり負担がかかっているという自覚はありました。

しかし、そんな困難な状況だったにもかかわらず、長男は健康体で生まれて来てくれました。この第1子の誕生によって、「母体が無理をしても、赤ちゃんはちゃんと生まれてきてくれるんだ! 子どもの生命力はそんなにヤワじゃないよねなんて、妊娠・出産を甘く考えるようになってしまったのかもしれません

長男誕生から約1年半後、第2子の妊娠が判明しました。2人目の子どもを望んでいたため夫婦で大喜び! 徐々にひどくなるつわりに耐えながら、長男の育児や家事などに追われる日々でしたが、第2子に会えることを楽しみに、日々奔走していたように思います。

そして妊娠9週、産婦人科で無事に胎児の心拍が確認され、次回から始まる妊婦健診のために役所へ母子手帳を受け取りに行きました。2冊の母子手帳を並べ、「私もついに2児の母になるんだ!」と気合いを入れたのですが…“そのとき”は突然にやってきました。

夜中、自宅で突然の大量出血! 産婦人科に電話で相談し、指示されたように安静にしていましたが、その1時間後に赤ちゃんがお腹の外に出て来てしまったのです。

初めての流産でした。

ついこの前まで、パクパク元気に心臓を動かしていたのに…なぜ? どうして? 私がいけなかったんだ…。と、亡くなった赤ちゃんを目の前に、母子手帳を握りしめながら泣きました。幸せな未来しか描いていなかった筆者にとって、赤ちゃんを失ったショックは大きく、動揺を隠しきれません。

奇しくも流産した日は、初めての妊婦健診に行く前日でした。

看護師さんに言われた“ひと言”がフラッシュバック

産婦人科の受付で診察券を見せると、「妊婦健診ですね。検尿をお願いします」と。気力を振り絞り、昨夜流産したことを伝えました。そして診察の結果、残念ながら流産は確定。

先生から、何か体調に変化があったらすぐに相談するよう言われ、診察室を出ようとした次の瞬間…そばにいた看護師さんから声をかけられたのです。

満面の笑みを浮かべて「腐らないで!」と。

当時の筆者は、看護師さんの笑顔の意味も、「腐らないで」という言葉の意味も、投げかけられたタイミングの意味もまったく理解できず、頭を縦に振りうつむいて立ち去るのが精一杯…。

それからというもの、事あるごとに看護師さんから言われた「腐らないで!」のひと言が頭の中を駆け巡るようになったのです。日々考えているうちに「あの看護師さんにとって、私は腐っているように見えたんだ」「腐った人間だったから、赤ちゃんは死んでしまったんだ」と考えるようになり、自分を否定し苦しみました。

ショックを受けている人への声かけは慎重に!

今思い返せば、きっとあの看護師さんは、「流産は、多くの女性が経験するもの。また妊娠のチャンスは来るから元気出して!」というような想いで声をかけてくれたのだとわかります。看護師さんが筆者を励まそうとしてくれていたと思えるようになった頃、やっと流産のショックからも立ち直れた気がしました。

マイナス思考に陥っている人には、“短いひと言”がまったく意図しない悪い方向に捉えられてしまう可能性があります。良かれと思ってかけた言葉が、相手を長く苦しめてしまうこともあるでしょう。そのため、大きなショックを受けた人を励ましたいなら、相手の気持ちや苦しみをよく聞き、なるべくわかりやすく、丁寧に声をかけてあげるのがよいのではないでしょうか。

流産経験から学んだ、ひと言の重み

言葉は、人の心に大きな影響を与えることがあります。特に大きなショックを受けている人にとってポジティブに考えることは難しく、良かれと思ったことが逆効果というケースも…。

しかし相手の立場に立ち、わかりやすく、丁寧な声かけをすることによって、励ましたり、勇気づけたりすることができる力も言葉にはあります。ひと言の重みを意識し相手を傷つけないコミュニケーションを心掛けよう、と感じることにもつながった出来事でした。

【参考】流産・切迫流産(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=4)(公益社団法人 日本産科婦人科学会(http://www.jsog.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=1))

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