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医療保障には人による違いや差がある、健康保険証をみればわかる

LIMO / 2020年4月30日 21時0分

医療保障には人による違いや差がある、健康保険証をみればわかる

医療保障には人による違いや差がある、健康保険証をみればわかる

日本人にとって身近な健康保険制度。健康保険証があれば、国内においてどこで病気になっても、いつでも安心して医療を受けることができます。新型コロナウイルス感染拡大により、国民の健康に大きな影を落としていますが、何かあれば医療が受けられるという環境は本当にありがたいものです。

みんなが持っている保険証ですが、実は持っている保険証によって場合によっては負担する医療費が変わってくるのを御存じでしょうか。保険証によって人による違いが生じるの?と思った方は要チェックです。

そもそも健康保険制度について

日本国民なら1枚持っているはずの健康保険証。健康保険証を見てみると、自分がどの組合に属しているか、表面に記載があります。

国民健康保険や企業独自の健康保険組合、協会けんぽ、共済組合など、日本人はこれらのいずれかの公的医療保険に加入しています。

国民皆保険制度のもと、お互い費用を出し合って、この制度を支えているのです。保険医療を受けられるのは、実は当たり前のことでありません。

例えば、米国では公的医療保険の適用が限定的で、日本のように国民が等しく医療を受けることができません。日本では医療保険制度があるので、一部の負担だけを背負っていますが、米国ではこの大きな費用負担を全て背負うことになります。民間の医療保険に入る人もいますが、多額の保険料を毎月支払うことになるため、民間の医療保険にすら入れない無保険の人が多く存在するのです。貧富の差が激しい米国では、受けられる医療にも格差が生じているのです。

日本の高額療養費制度とは?

日本の医療制度で優れている点のひとつに「高額療養費制度」があります。長期で入院された方のこんな話を聞いたことがありませんか。「お金がかかるかと思ったけど、思いのほか安くて済んだ」とか。

実はこれは、日本には高額療養費制度があるからなのです。下記は高額療養費制度による自己負担限度額をまとめたものです。

70歳未満の自己負担限度額(月)

所得区分が標準報酬月額83万円以上の方
252,600円+(医療費―842,000円)×1%

所得区分が標準報酬月額53万~79万円の方
167,400円+(医療費―558,000円)×1%

所得区分が標準報酬月額28万~50万円の方
80,100円+(医療費―267,000円)×1%

所得区分が標準報酬月額26万円以下の方
57,600円

上記には入院時の食事代や差額ベッド代は対象にはならないものの、ひと月(歴月)の自己負担が一定の額を超えた場合、その超えた分が高額療養費として払い戻しされる金額を示しています。

例えば、所得区分で標準報酬月額が28万~50万円の方で計算してみましょう。標準報酬額がそのレンジの方で医療費が100万円かかった場合を計算してみます。ちなみに日本人の平均年収は約440万円です。

医療費が100万円かかった場合

自己負担額:30万円・・・A
80,100円+(100万円―267,000円)×1%=87,430円・・・自己負担限度額
A-自己負担限度額=212,570円・・・高額療養費

つまり自分の負担は87,430円で済み、残りの約21万円は高額療養費として健康保険から支払われることになります。

長引く治療や入院があったとしても、医療費負担が軽く済んでいるのは、この「高額療養費制度」があるからに他なりません。

驚くべき付加給付制度とは

前項にて高額療養費制度のメリットを説明しましたが、健康保険には、さらに驚くべきポイントがあります。「付加給付」という制度を御存じでしょうか。

付加給付の実施は各健保組合の任意です。実施していない組合がありますので、給付の有無について、御存じ無い方は各組合の制度をチェックした方がよいでしょう。組合によって付加給付の内容は様々です。

たとえば、ここでは花王健康保険組合の場合を計算してみました。

花王健康保険組合の場合

付加給付額:自己負担限度額―20,000円

前項の「高額療養費」の計算で算出した自己負担額を用いて説明します。
付加給付額:87,430円―20,000円≒67,000円(1,000円未満の端数は切り捨て)
87,430-67,000円=20,430円・・・最終的な自己負担額

どうでしょうか。最終的に支払う金額は20,430円となりました。医療費は100万円かかっているので、3割負担であれば、窓口では本来は30万円支払うはずです。

しかし、高額療養費制度により、その額がおおよそ8万円程度になるのは、前項でも説明したとおりです。花王健保組合の場合ですと、加入者は、付加給付のおかげで、約2万円で医療を受けられることになりました。

ここに隠れた医療格差があるともいえます。前述しましたが、協会けんぽや国保には付加給付はありません。

一方、共済には一部負担金払戻金という名目で存在しており、付加給付と同じように機能しています。

つまり付加給付金や一部負担金払戻金は、共済や企業の健保組合に加入している人のみが恩恵を受けることのできる仕組みなのです。高額な医療費の負担を、たった数万にまで軽くすることができる、この驚くべき制度は、付加給付の無い人にとってみれば、何とも羨ましい制度と言えますね。

まとめにかえて

今回は高額療養費制度と付加給付についてまとめてみました。これらの制度を知ることによって、自分の加入している民間の医療保険などを見直すことができます。日額1万円の医療保険に入るため、多額の保険料を払っているとしたら、本末転倒です。差額ベッド代等、健康保険でまかえない費用は対象にはなりませんが、基本的には数万円の自己負担で済むからです。自分に万が一のことが起こった場合、公的な制度からいくら給付金がでるのか、この機会に調べておいた方がよさそうです。

参考資料

「健康保険の基礎知識」けんぽれん(https://www.kenporen.com/health-insurance/basic/01.shtml)

「ヘルスケア通信⑧米国の医療保険制度」三菱UFJ国際投信

「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」国税庁

「短期給付の種類」地方職員共済組合(https://www.chikyosai.or.jp/division/short/scene/index.html)

「医療費負担の軽減」日本私立学校振興・共済事業団/私学共済事業(https://www.shigakukyosai.jp/kyufu/sick/sick_03.html)

「医療費が高額になったとき」花王健康保険組合(https://www.kaokenpo.or.jp/member/benefit/expensive_a.html)

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