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営業自粛したいけれど…全国各地から聞こえる「保護猫カフェ」の深刻な叫び

LIMO / 2020年5月2日 20時20分

営業自粛したいけれど…全国各地から聞こえる「保護猫カフェ」の深刻な叫び

営業自粛したいけれど…全国各地から聞こえる「保護猫カフェ」の深刻な叫び

明日の生活が見えない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、そうした苦しみを抱えている方は多いものですが、そんな中でも自分以外の命を守り続けたいと願い、奮闘しているのが保護猫カフェ。

しかし、「猫と触れ合う」という、体験を提供している保護猫カフェは飲食店のようにテイクアウトサービスで現状を乗り切ることができず、様々な葛藤を抱えながらお店を営業しています。自粛したいけれど、できない…。今回は、そんな複雑な胸の内を伺いました。

「営業自粛できない」保護猫カフェの叫び

取材時、コロナに対する対応は各都道府県によって違いが見られていました。例えば、愛知県は県からの緊急事態宣言のみが出ており、営業状況は各店舗の判断にゆだねられることに。国からの営業自粛要請が出ていないからこそ、オーナーさんたちはお客さんの安全を守ることと猫の命を紡ぐことを天秤にかけ、苦しい判断を下さねばなりません。

愛知県内にある保護猫カフェY店も、そのひとつ。お店ではコロナの発生前、平日の売り上げは3~4万円、土日祝は10~14万円の売り上げがありました。しかし、コロナの影響が深刻化し始めた3月下旬頃から客数が大幅に減り、現在は平日1~2万円、土日祝で3~4万円の売り上げに。それでも営業し続けているのは、猫たちのお世話代を少しでも賄うためです。「保証もあてにならないので不安です。うちでは食費や治療費、猫砂などの消耗品費に月30万前後かかっていて、現在は貯蓄を切り崩している状態。このままだと、耐えれて半年です。」

店内での感染を防ぐため、お店ではマスクの着用を義務化するなどの配慮を行っていますが、営業を自粛したいのが本音だと語ります。「今、来てくださっている方々はほとんどが常連様。感染のリスクがあるにも関わらず、売り上げを心配して来てくださっている。お客様を守るためにも本当は営業を自粛したい。でも、売り上げがなければ今いる猫たちを助け続けることができません。」

事態が収束するまでは、なんとか耐えたい。そう語る言葉の裏には、どうしたらいいのか分からないという当事者ならではの深い苦悩が見え、心が苦しくなりました。

自分が倒れた時のことを考えて従業員を自宅待機させるオーナー

そうした苦しみを感じているのは、京都市内にある保護猫カフェZ店も同じでした。こちらは固定のスタッフ猫がいるタイプの保護猫カフェですが、売り上げの減少に頭を悩ませています。「2月の中旬から売り上げがこれまでの50%ほどになり、下旬には25%に。3月になると10%になってしまって…。」

例年なら、桜が見ごろな今の時期は土日で50~70人がお店に足を運んでくれていましたが、現在では土日でもお客さんは2~4人。それでも営業し続けるのは、やはり猫たちの命を紡ぐためだと言います。「ご飯や猫砂は月10万円。病院代は健診だけなら月平均1万ほどですが、病気や入院、検査となると50~70万円ほどかかります。あと、当店では健康を維持するため、1年中エアコンで室温調節しているので光熱費が月に3~4万円。猫たちの居場所を確保し続けるという意味では、家賃も支払い続けることも重要です。」

Z店のように、猫を大切に気遣う保護猫カフェほど出費が大きいため、苦しい思いをしているのが現状。オーナーさんはこの先、休業した時のことも考え、現在はたったひとりで毎日お店を営業し続けています。「休業しても、朝晩の猫たちのお世話は必要です。その人材を確保しておかないといけないので、私が倒れたら変わってもらえるよう、いま従業員たちには自宅待機をお願いしています。」

営業終了時間を2時間早める。2方向から十分な換気をする。次亜塩素酸を使用した噴霧器を稼働する。ドアノブや手すり、椅子などを定期的に消毒する。こうした対策をしていますが、不安が消えることはありません。

「大切なお客様を感染のリスクにさらしてしまうのが苦しいです。そして、今、もしも猫が病気になってしまったらどうしようって考えます。でも、ヒヤヒヤしながらも病気の時用に蓄えていたお金を切り崩しながら経営を維持している状況…。私たちのような小さな猫カフェでは寄付金の窓口を作っても拡散力が足りず、どうしていいのか分かりません。頭をひねりながらできる限りのことはしているけれど、力不足と限界を感じています。」そう訴えるオーナーさんの叫びには、切実なものがあります。

今、自分にできる「助け」

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延する前、日本は「猫ブーム」という言葉も聞き飽きるほど、猫という動物をあらゆるメディアで取り上げていました。保護猫文化も根付き始め、殺処分ゼロへの光も少し見え始めていたように思います。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が蔓延したことによって、再び動物の命が軽視され、見過ごされる社会になっていくような気がして筆者は危機感を抱いています。

もちろん、自分の命や生活を最優先することは大切です。けれど、ブームを生み出した私たちは、「かわいい」ともてはやした小さな命を守る方法も考えていかなければならないのではないでしょうか。

そのためにはまず、全国各地で飛び交う保護猫カフェの悲痛な叫びを知り、自分にできることを考えてみることが大切です。それは物資支援かもしれないし、情報の拡散かもしれないけれど、自分にできることで支援の輪を広げていけば、救われる命やお店は増えていくはず。

誰もが苦境に立たされている今、自分自身のことでいっぱいになってしまう中でも、少しでも動物や、困っている人に目を向けられる気持ちをもっていきたいです。

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