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コロナ不況、ボーナス「ゼロ」は夏より冬が正念場。今から備えをすべき?

LIMO / 2020年5月2日 8時20分

コロナ不況、ボーナス「ゼロ」は夏より冬が正念場。今から備えをすべき?

コロナ不況、ボーナス「ゼロ」は夏より冬が正念場。今から備えをすべき?

例年、大型連休終了直後の5月上旬は、社会人の多くが“ヤル気なし状態”に陥ります。確かに、楽しかったGW明けに、すぐさま通常通りの仕事のペースに戻すことは至難の業です。これは今も昔も、そして、新入社員もベテラン社員も同じと思われます。

緊急事態宣言延長へ、ボーナスは大丈夫か?

そのGWボケを克服してヤル気を引き起こさせる最大のモチベーションは、やはり夏のボーナスではないでしょうか。GW明けに“あと1カ月ちょっと頑張ればボーナスがもらえる!”というのは、大きなカンフル剤になることは間違いありません。

しかしながら、今年は一連のコロナショックで様相が変わりました。そして、GWが幻となり、緊急事態宣言延長の方針が明らかにされた今、多くの人が“夏のボーナスは大丈夫だろうか? 本当に貰えるのだろうか?”と心配しているのではないでしょうか。

実際、夏季賞与を当てにして様々な計画を練っていた人が多いはずです。いや、それどころか、既に住宅ローン等において、夏季賞与による多額の返済が組まれている人も少なくないと察します。

そこで、筆者が予想する結論を先に言うと、以下の3点です。

夏季賞与の支給自体は実施されるが、大幅減少(前回比で▲30%~▲50%減)は不可避

冬季賞与は非常に厳しく、支給なし(ゼロ)の可能性が十分あり得る

今から可能な限り、冬のボーナス「ゼロ」に備えた生活水準の見直しに着手すべし

ポイントは、心配すべきは夏のボーナスではなく、冬のボーナスということです。なお、ボーナス支給が年2回(夏季、冬季)の会社を前提とします。

最近はボーナス支給が年1回の会社も珍しくなくなりましたが、この場合は支給時期によって状況が少し異なってきますので割愛しています。ご了承願います。

リーマンショック時にボーナスは支給されたのか?

さて、今年の夏季賞与と冬季賞与のことを予測する前に、リーマンショックによる経済危機を振り返ってみましょう。

今回のコロナショックとリーマンショックは、その発生原因や影響範囲等で大きな違いがあります。それでも、世界的な経済危機であること、企業業績が瞬時に悪化したこと、多くの人が収入激減を余儀なくされたこと、先行きが見え難かったこと等において、数多くの類似点を見出せます。単純比較はできませんが、当時を振り返る価値は十分ありましょう。

現在35歳未満の方々は、2008年9月に発生した世界的な金融危機「リーマンショック」による経済的影響を、少なくとも直接的には受けていないと思われます。また、当時は若手社員だった方々も(現在は40歳前後)、さほど深刻な影響はなかったかもしれません。

しかし、当時の中堅クラス以上の社員には、それまでの生活水準を大幅に切り下げる必要に迫られた人が続出しました。

筆者が記憶する限りで恐縮ですが、ボーナスを含めた収入等に関してリーマンショック後に起きた主な事象はザックリ以下の通りでした。

2008年12月の冬季賞与は大幅減少ながら、一部の業種を除く大多数の企業で支給実施。

2009年6月の夏季賞与は支給見送り、つまり、ボーナス「ゼロ」が続出。支給されても“すずめの涙”程度。

住宅ローンを始め、ボーナス時の返済に困窮する人が急増。一部、会社側による低利融資等が実施されたが、それでも払えない人が後を絶たず。

2009年4月から管理職(非組合員)の基本給カットに踏み切る企業が相次ぐ。

家計の減収により、学費の高い私立校から公立校へ“転入”する小中高生が増加。大学生は授業料を払えず退学せざるを得ないケースも頻発(主に私立大学)。

“派遣切り”や“雇い止め”と称される非正規社員の削減が横行。契約打ち切りで会社の寮を追い出された人々が公園等で野宿するケースが多発。

リーマンショックを知らない方々、とりわけ、アベノミクス始動後の好景気の印象が強い方々からすると、“本当にこんなことがあったのか?”と疑念を持っても不思議ではないと思います。

しかし、実際にこれらの事象、いや、これ以上に悲惨な事象が日本全国で起きていました。現在40歳代後半以上の方々は鮮明に覚えているはずですし、自らの身に降りかかった人も少なくないでしょう。今回、これと同じような悲劇が再発する可能性があります。

一般的な賞与支給の仕組みとは

リーマンショック時で注目したいのは、発生後間もない12月の冬季ボーナスは、大幅減少ながら支給されたにもかかわらず、6月の夏季ボーナスは「ゼロ」、またはそれに近い水準が続出したことです。

一般的な賞与支給の仕組みを見てみます。賞与支給が年2回の企業の場合、その多くは12月~5月(あるいは11月~4月)の評価対象で6月支給、6月~11月(あるいは5月~10月)の評価対象で12月支給というパターンになっています(一部例外あり)。

リーマンショック時の場合、企業業績が急速に悪化し始めたのが10月以降でしたから、12月支給のボーナスに与えた影響は、金融や不動産など一部業種を除くと、まだ甚大ではありませんでした。それゆえ、冬のボーナスは大幅減少ながらも支給されたケースが大多数だったのです。

しかし、次の賞与、つまり、夏のボーナスは業績悪化が支給対象期間へフルに影響したため、その結果として、ほとんど「ゼロ」に近い人が続出したわけです。

冬のボーナス「ゼロ」も現実味を帯び始めた

その経験を踏まえて今回のコロナショック(実質的には3月後半から本格化)を見ると、夏季賞与よりも冬季賞与が受ける影響の方が、はるかに甚大と考えられます。

“ボーナスがまったく出ないんじゃないだろうか”という心配は、夏季賞与ではなく、冬季賞与で現実になると考えたほうがよさそうです。もちろん、今後のコロナショックの行方次第ですが、緊急事態宣言の延長・長期化の可能性が高まった今、冬のボーナス「ゼロ」が現実味を帯び始めたことは間違いありません。

また、最初からコロナショックの影響を大きく受けたインバウンド関連業種(旅行、ホテル、輸送等)は、いきなり夏季賞与が「ゼロ」もあり得ると予測できます。

こう書くと、皆さんの中に“私の会社の貸借対照表には「賞与引当金」が計上されているから大丈夫だ”と、努めて希望的に考える人がいるかもしれません。しかし、3月末の貸借対照表に計上されている賞与引当金は(注:現時点では2020年3月末の財務諸表は未発表が多い)、その全額が6月に支給される夏季賞与分です。

詳しい説明は省略しますが、賞与引当金は損金不算入のため、3月末に冬季賞与分の引当金を積むことはまずあり得ないと言えましょう。

今から生活水準切り下げを真剣に検討すべき

仮に、6月の夏季賞与が思ったほど減少しなかったとしても、12月の冬季賞与への期待は禁物です。決して大げさな話ではなく、「ゼロ」またはそれに近い“スズメの涙”であることを覚悟しておく必要があります。そのためには、

新規のローン購入を控える(特に、住宅やクルマなど高級消費耐久財)

既に組んであるローンは返済計画の見直しを行う(特に、ボーナス時の返済)

外食費や遊興費の大幅削減

固定費を中心とした生活費の聖域なき切り詰め

等への取り組みを真剣に検討することをお勧めします。特に、まだ十分な貯蓄額がないであろう若手社員は、新規ローンは極力避けるべきと考えます。さらに、管理職の方々はリーマンショック時と同様の基本給カットを強いられる可能性も否めません。

外出自粛要請が出ている今年のGWは、今後の生活水準についてじっくり考える時間を持つことが重要と考えます。筆者の心配が杞憂に終わることを願っています。

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