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「老後2000万円問題」からもう1年。老後不安の乗り越え方

LIMO / 2020年5月6日 19時10分

「老後2000万円問題」からもう1年。老後不安の乗り越え方

「老後2000万円問題」からもう1年。老後不安の乗り越え方

新型コロナウイルス感染拡大によりすっかり我々の生活は一変してしまった。いまは目先のことで頭がいっぱいの方も多いかと思う。その一方で、昨年の今頃世間は何の話題で騒いでいたか覚えている方はどれだけいるだろうか。

そう「老後2000万円問題」である。昨年6月のことであるので、もうすぐ1年といえる。当時は国内中で相当に騒いだのだが、果たしてあの問題に対して自分の考えを持っている人はどれだけいるであろうか。

今回は老後2000万円問題をあらためて振り返り、何をどうすればよいかを考えたい。

老後2000万円問題の前提を振り返る 

そもそも「老後2000万円問題」はなんであったか、あらためて振り返ってみよう。

金融庁ワーキング・グループの報告書に出てきた高齢夫婦世帯をモデルケースに老後の必要な生活資金を試算したものであった。

高齢夫婦とはサラリーマン65歳以上のご主人と専業主婦60歳以上の妻のみの無職世帯である。

その世帯の収支をみてみよう。収入は20万9198円でその多くは社会保障給付金、つまり年金が占める。

一方、支出は26万3718円。その中で最も占めているのは食費で6万4444円、他に光熱・水道費等が続く。

これらをネットすると、毎月の収支は約5.5万円の赤字となっている。

これを年間に直すと約66万円となり、仮に老後が30年間と捉えると66万円×30年なので2000万円弱が足りないということになる。これが2,000万円の算出根拠である。

4人に1人が95歳まで生きる

2000万円問題の話をすると、私は長生きしないと自身たっぷりに話す方も少なくない。

しかし、残念ながらこの報告書には老後30年間の根拠があるのだ。

60歳の人が何歳まで生きるかを試算したところ、2015年推計のデータでは95歳まで生きる人と考えられる割合が25.3%、100歳まで生きると考えられる人が8.8%となっている。つまり4人に1人が95歳まで生きると試算されている。

平均寿命を見てみても伸び続けている。今後もこの傾向は続くと見られており、日本がさらに長寿大国となる見込みだ。

仮に定年が65歳という企業が今後も続いたと仮定したら、あと30年以上生きることを覚悟しなければいけない。

老後2000万円では足りないワケとは

老後生活が意外と長そうであることはご理解いただけたと思うが、2000万円問題の根拠となる老後生活における支出を見てみよう。

支出一覧

食費:64,444円
非消費支出:28,240円
交通・通信費:27,576円
教育娯楽:25,077円
光熱・水道:19,267円
保険医療:15,512円
住居費:13,656円
家具・家事用品:9,405円
被覆及び履物:6,497円

この中で住居費が13,656円となっている点は注意したい。家賃が13,656円の家などあるだろうか。これには実は持ち家比率が関係している。

年齢層が上がるにつれて持ち家の人が多いのである。日本人は不動産を保有したがる傾向があり、多くの方が家を購入してきた。

これが顕著にわかるのが持ち家比率である。年齢が上がるにつれ持ち家比率が上がる。

60歳以上の世帯で、実に8割近い世帯が持家派となっている。

しかし、年齢層が下がるにつれた比率は下がってくる。同じ世代でも年々持ち家比率が下がってきているのがわかる。

若いうちは家をまだ買えないという見方も出来るかもしれないが、最近は家を持たないという考え方をする人も増えてきているということも言える。

重要なのは、「持ち家、賃貸のどちらが良いか」ということではなく、今後ご自身の住まいを賃貸で行くという考えの場合には、そもそも住居費が約1万4000円で足りるわけはない。したがって、その分を足さないと上記支出のシミュレーションがおかしくなる。

ゆとりある生活にはいくら必要か

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年)」では、「ゆとりある老後生活費」に関するアンケートがる。ゆとりある老後を送るためにはいくらくらい必要かヒアリングしたアンケートである。

同アンケートによると、毎月平均36万円程度ないと老後にゆとりある生活を送ることはできないようだ。

また、注目点は、40万以上必要といっている人の比率も少なくない。全体の3割地価ウイル。大都市圏ともなれば物価の違いもあるので40万以上とか50万以上はかかるということもあり得る。

まずは今のご自身のライフスタイルを振り返り、今の支出と老後2000万円問題のモデルケースとのギャップを見てみよう。

どこに差があるのか、また、減らすことは可能な内容か、減らせる金額かなどを考慮する必要がある。

また、ゆとりある老後生活費のアンケートとも比較し、自分はいまのライフスタイルのまま行くとどこのゾーンになるのかを確認してみることをおすすめする。

そうすると、公的年金以外に今後自分はいくら用意しておく必要があるのかが見えてくるだろう。

次にその金額は預貯金で貯めていけばカバーできる水準か否か。

預貯金を貯めていくだけで難しそうであるならば他の手を考える必要がある。

まとめにかえて

多くの人が将来の生活のことは心配だとは言う。でも何が不安かとわかっている人は少ない。何となく湧き上がる不安がさらに大きな不安を呼ぶ。大事なことは不安の原因「WHY」は何なのかを考えること。

また、お金ならいくら必要なのか。それをまずは把握することが肝心だ。そしてその課題を解消するためにはどういう手段が取りうるのか。焦らず1つ1つステップを踏んで課題を潰していこう。きっと不安は小さくなってくるはずだ。

新型コロナウイルスが続いた場合、これまでは当たり前だと思っていた生活は元には戻らないかもしれない。

このような時代だからこそ、自分の生き方を個人個人が考えていかなければいけないそんな時代に私達は突入したのかもしれない。

参考資料

金融庁「金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 の公表について」(https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html)
生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年)」(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho.pdf)

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