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「人との距離は2m」でも癒される! 笑顔を広げるニュージーランドのビジネス

LIMO / 2020年5月15日 19時0分

「人との距離は2m」でも癒される! 笑顔を広げるニュージーランドのビジネス

「人との距離は2m」でも癒される! 笑顔を広げるニュージーランドのビジネス

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を防ぐため、ニュージーランドでは4月末までの約5週間、自主隔離をはじめ、飲食店や企業、学校の閉鎖など、厳しい規制が行われていました。今、それは少し緩やかになっています。

飲食店もテイクアウトできるものの販売のみですが、営業を再開しています(5月10日現在)。しかし「ソーシャルディスタンス」と、「コンタクトレスサービス」の実践は必須です。

要するにお店のスタッフとお客さんの間には2メートルの距離をとらなくてはなりません。支払いや品物の手渡しを両者の間で直接行えないのです。

なかなか難しい条件ですが、守らないわけにはいきません。収益をあげられるかどうかはもちろん、お店の存続問題にも関わるからです。お店側はどんな風にお客さんとやりとりしているのでしょうか。

コーヒーを運んでくれるのは?

ニュージーランドでは支払いにデビットカードを使用することが浸透しています。なので、現金を渡し、おつりを受け取るということを避けるのはそう難しいことではありません。

しかし、商品自体をお店のスタッフから受け取るのに2メートルの距離を取るのは、投げてもらうわけにもいかないので簡単ではありません。そこで登場したのが、ニュージーランド人持前の創意工夫を凝らしたユニークなアイデアです。

たとえば、北島の町、パーマストンノースにあるカフェ、「サイクリスタ・エスプレッソ・バー・アンド・ロースタリー」では、コーヒーはミニチュアの列車に載せられ、バリスタの手元からお客さんのところまでやって来ます。

列車が、コーヒーカップが入った貨車を引いてやってくる姿はなかなかかわいいもの。大人にも子どもにも大好評というのも、うなずけます。

サイクリスタ・エスプレッソ・バー・アンド・ロースタリーのコーヒーは黄色い貨車に載せられてやって来る。貨車は屋根部分をはずすなどして、こぼれずに運べるように工夫したそう。


列車はドイツのレーマン社のもので、オーナーのスティーブさんのお父さんのものです。戸棚の上に30年ほども置いてあったそうですから、年代物です。

お客さんにカフェでコーヒーを飲んでもらうということは、カフェ側にしてみれば「体験」を提供しているのと同じだとスティーブさんは言います。

まだ規制があり、カフェで座ってゆっくり飲んでもらうことはできないけれど、ミニチュア列車でおいしいコーヒーを運ぶことで、お客さんに面白い「体験」を楽しんでもらえます。

飲食店が閉鎖されていた5週間弱、人々はカフェのコーヒーを飲むことができませんでした。規制が緩み、カフェからテイクアウトでコーヒーが飲めるというだけで、皆大感激。

さらにそれをミニチュア列車が運んでくれたらどうでしょうか。自主隔離や先が見えないことでストレスを抱えがちな人々にも思わず笑みがこぼれます。

「猫ドア」から「魚」?

ところ変わって南島のグレイマウス。テイクアウトの定番、フィッシュ・アンド・チップス(魚のフライとフライドポテト)のお店、パーキーズでも、意外なものがソーシャルディスタンスとコンタクトレスサービスを実現するのに役立っています。

それは何と「猫ドア」です。オーナーのレイさんは、規制でお店の中に入って来られないお客さんに、ただフィッシュ・アンド・チップスを「渡す」だけではもの足りないと、猫ドアを使うことを考えつきました。

お客さんは電話などで注文し、受け取るためにお店にやって来ます。その時、猫ドアからひょっこり出てくるのは猫ではありません。アツアツで香ばしい香りのフィッシュ・アンド・チップスなのです。

この猫ドアはお店の脇にある通用口の窓部分に取り付けられています。そのため、レイさんは雨が降ったらお客さんが濡れてしまうと、さらに猫ドアの外側には傘をすえつけました。お客さんが並ぶことを考えて、2mごとに地面に印もつけてあります。

レイさんのこのアイデアにドッキリしたり、思いやりにほっこりしたり。パーキーズでお客さんがテイクアウトできるのは、揚げたてのフィッシュ・アンド・チップスだけではありません。「猫ドア」から「魚」が出てきたというエピソードも一緒に家に持って帰ります。

ネットサービスで医療関係者に感謝

新型コロナウイルス感染の可能性があるにも関わらず、患者の回復に尽力する医療従事者には頭が上がりません。感謝の気持ちと応援を表す「ブルーライトアップ」運動は、世界各地で行われています。

ライトアップで気持ちを表し、応援するのもとてもいいことです。ですが、実際医師や看護師にとてもお世話になった経験があるラウルさんは、奥さんのアリカさんと何か実際に役立つものをと考えました。

そこで立ち上げたのが、「サンキュー ヘルスケア(Thank You Healthcare(https://thankyouhealthcare.co.nz/))」というウェブサイト。インターネットならコンタクトレスを実現できます。

対象は、医師や看護師だけでなく、緊急サービスに携わる人、老人ホームやホスピス関係者、獣医など。このウェブサイトで紹介されているお店に身分証明書を持って訪れるだけで、商品やサービスの割り引きなどの特典が得られるようになっているのです。

サンキュー ヘルスケアに参加し、特典を提供しているお店は100社以上にも上っています。宿泊施設、飲食店、幼児教育施設、アクティビティ催行会社、マッサージ師、エステ、不動産、カーディーラーなど、業種もさまざまです。

サンキュー ヘルスケアを通して恩恵を被るのは医療従事者だけではなく、実は特典を提供する参加店舗も同じです。

現段階では、お店の多くが一時閉店を余儀なくされていますが、規制緩和がもう一歩進めば、営業を再開できます。なので、医療従事者が特典を利用して、お店に足を運んでくれることでお店の利益になり、経済の活発化につながるというわけなのです。

首相会見でも紹介される一般人のアイデア

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、新型コロナウイルスに関する記者会見をほぼ毎日行っています。深刻な内容がほとんどを占める中で、首相は何回も時間を割いて、こんな風に逆境にもめげずに知恵を絞ってがんばる一般人たちを紹介し、応援しています。この時ばかりは、会見場の雰囲気がほっとなごむのは言うまでもありません。

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