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コロナによる「意図せぬ人口増加」コンドーム使用減の新興・貧困国では懸念、日本は?

LIMO / 2020年5月15日 20時0分

コロナによる「意図せぬ人口増加」コンドーム使用減の新興・貧困国では懸念、日本は?

コロナによる「意図せぬ人口増加」コンドーム使用減の新興・貧困国では懸念、日本は?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の勢いが世界規模で拡大しており、なかなか収束の目途が立たない状況にあります。一部の国では外出禁止を解除するなど、徐々に経済活動を取り戻そうとしていますが、解除後に感染者数が再び増加する傾向も多々見られます。

新興国・貧困国での感染爆発と死者数増加が懸念される

なお、筆者がこの原稿を書いている時点では、世界の感染者数は約435万人、死者数が約29万7,000人まで達しました。世界規模で感染が本格化し始めてから3カ月。既にこれだけの数値であることを勘案すると、少なくとも年内はまだまだ増加が続くと見ていいでしょう。

特に、現時点での死者数(約30万人)は、発生源の中国を除くと、欧米諸国の占める割合が非常に大きいのが特徴です。

逆に言うと、COVID-19以前から医療体制が整っていなかったアジア・アフリカ・中南米を中心とした新興国や貧困国の割合はまだ小さいままです。これら地域は人口も多いため、今後、感染爆発が起きるという懸念は拭えません。

また、いまだ決定的なワクチンが開発中であることを考慮すれば、感染後の治療がままならない貧困国での死者数が飛躍的に増えるのは容易に推察できます。

これから“意図せぬ”人口増加問題が起きる?

しかしながら、貧困国での死者数の爆発的な増加が懸念される一方で、逆に人口の大幅増加に警鐘を鳴らす見解も少なくありません。“えっ!COVID-19の影響拡大でなぜ人口が増加するのか?”と疑問を持つ人もいるでしょう。

結論から言うと、これは避妊具(主にコンドーム)や避妊薬(主にピル)の使用減少によるものです。たとえば、インドネシアなど一部の国では、政府高官が“意図的でない”ベビーブームによる人口増加に対して懸念を示しているのです。

実際、インドネシアの国家家族計画・人口庁が家族計画プログラムの参加者の避妊状況を調べた結果、今年の3月は前月に比べ、コンドームやピルの使用がそれぞれ約4割減になったと報じられています。

しかし、なぜCOVID-19が猛威を振るうと、コンドームやピルの使用が減少するのでしょうか? 主な要因を見てみましょう。

外出禁止や自粛でコンドーム等を入手する機会が激減

近所のコンビニやドラッグストアで簡単に買える日本など先進国と違い、多くの新興国や貧困国では販売する店はまだ少なく、しかも家から遠方にあるケースが多いようです。数多く購入した近所の人から必要な時に、その都度購入することも珍しくないといいます。

そのため、今回の外出禁止や自粛により入手する機会が激減したことは明らかです。また、感染のリスクが高いために外出すること自体を恐れていることも十分考えられます。さらに、コンドーム等を販売する店も休業を強いられている可能性が高く、入手困難に拍車をかけていると考えられます。

収入減少でコンドーム等を購入する余裕がない

日本では想像し難いかもしれませんが、新興国や貧困国においては、コンドームは決して安い買い物ではありません。日本での単価は1個当たり50~100円程度と見られますが、これら元々収入の少ない国ではその何十倍もの価値があると考えられます。また、ピルに至ってはさらに高価格となります。

COVID-19で経済活動が停止したことで収入の大幅減少を余儀なくされた人々が、コンドームやピルの利用を控えても不思議ではありません。

コンドームの生産量減少で入手困難になりつつある

先進国から見ればコンドームは単価が安いため、生産拠点は人件費の安い新興国に偏りがちです。しかし、その新興国でもCOVID-19の影響拡大により、生産拠点が次々と一時閉鎖を強いられています。当然、生産量は減少します。

ただ、生産が減った場合、(工場の所有者である)先進諸国へ優先的に配分されるため、一番しわ寄せがくるのが新興国や貧困国です。

新興国や貧困国での人口増加による間接的影響

この他にもいくつか理由が考えられますが、コンドーム等の利用が大幅に減っていることは確かのようです。そして重要なことは、こうした新興国や貧困国においては、コンドームやピルを使用する慣習が完全に定着していないということです。避妊具や避妊薬が普及し始めてまだ10年にも満たない地域や国も珍しくないはずです。

こうした国々では、多くの人々がコンドームを使用しないことに何ら違和感を覚えていないのではないでしょうか。いずれにせよ、避妊具や避妊薬の利用が減少すれば、出生率が大きく上昇することは間違いありません。

新たな命の誕生は、本来なら喜んで祝福するべきだと考えます。しかしながら、こうした地域、とりわけ、貧困国での人口増加は、決して手放しで歓迎できない部分も多くあります。長期的に見れば、日本にも間接的な影響は不可避となるでしょう。

それは、経済援助の範囲に収まるならともかく、非衛生環境による新たな疫病の発生や、内戦など政治事情による膨大な難民問題などが考えられます。このCOVID-19の影響による人口増加懸念は、問題が深刻化する前に何らかの手を打つ必要がありそうです。

夫婦の共有時間増加による出生率上昇の可能性

一方、日本を含めた先進諸国における避妊具や避妊薬の使用状況はどうでしょうか。日本でも一時、コンドームの品薄感が懸念されたものの、マスクやアルコール除菌剤のような入手困難には至りませんでした。現在でも、コンビニやドラッグストアでこれまで通りに購入することができます。

一方、緊急事態宣言で自宅からのリモートワークが半ば強制となったケースも多く、また、外出自粛要請によって在宅時間が大幅増加となりました。それに伴い、夫婦(婚姻前の同居男女を含む)が共有する時間も飛躍的に増えたことは確かです。

夫婦による共有時間の増加が、即刻ベビーブームにつながるとは思いません。しかし、夫婦で共有する時間が増えた中、お互いに話し合って意図的にコンドームを使用しなかったり、あるいは、”なんとなく”使用しなかったりしても不思議ではないと考えられます。

ご存知の通り、日本は人口減少が鮮明になっており、この流れをいかにして食い止めるかは重要な政策課題です。

意図的かそうでないかは別として、厚生労働省が公表する「人口動態統計月報」において、来年2021年1~3月の新生児数などを見れば、この外出自粛期間の動向が判明するかもしれません。まずはそれに注目したいと思います。

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