専業主婦は【パラサイト】ではない…コロナ不況を支える妻のリスクヘッジ
LIMO / 2020年5月20日 20時10分
![専業主婦は【パラサイト】ではない…コロナ不況を支える妻のリスクヘッジ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_17385_0-small.jpg)
専業主婦は【パラサイト】ではない…コロナ不況を支える妻のリスクヘッジ
2020年、第92回アカデミー賞にてポン・ジュノ監督「パラサイト 半地下の家族」がアジア映画史上初、作品賞を含む4冠を達成しました。『パラサイト=寄生虫』という、衝撃的なタイトルに注目が集まるなか、専業主婦を『パラサイト』と揶揄する言葉もあるようです。なぜ、専業主婦の風当たりはこんなにも厳しいのでしょうか?そこをひも解くとともに、専業主婦の実情をご紹介します。
『パラサイトワイフ』という名の冷評
安倍政権が推し進める女性の社会進出。内閣府発表の「平成29年度男女共同参画社会の形成の状況及び平成30年度男女共同参画社会の形成の促進施策(http://http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/gaiyou/pdf/h30_gaiyou.pdf)」では、平成29年に1,188万世帯がフルタイムやパートなどで働いています。共働きが主流となってきているなか、専業主婦への印象も変わりつつあります。昭和55年では共働き614万世帯に対し、無業の妻がいる世帯は1,114万世帯と多く、専業主婦へのイメージも悪くありませんでした。
しかし、共働き世帯が多くなった昨今、働きに出ない専業主婦を「夫の寄生虫」という意味の『パラサイトワイフ』と表現することもあるそうです。夫の収入で生活をする、という状況が労働者目線からすると悪い印象を抱くようでした。
専業主婦は本当に暇なのか
一見、仕事をせずにずっと家にいるイメージの専業主婦。兼業主婦や会社勤めの夫から「普段は何してる?」と思われがちですが、実際はどうなのでしょうか。専業主婦の意見を伺いました。
「子どもがいないのに、仕事もしていない私のような人を『パラサイトワイフ』というんですよね。たしかに子育てもしていない、税金も納めていない私は社会のお荷物なのでは…と落ち込んだこともありました。でも、そのかわり家庭を守るために努力はしています。」
そういう都内在住の専業主婦Aさんは健康面を気にして、食事のバランスは注意しているのだとか。さらに家の中を快適にするために、掃除や洗濯もできるかぎりがんばっているそうです。
「節約のために、格安のスーパーははしごして回ります。そして旬の食材を取り入れて、季節を感じながらバランスのとれた献立になるようにしています。掃除は毎日していますし、布団のシーツもこまめに交換しています。夫が快適に過ごせるように日々努力しているので、みなさんが思っているより忙しいですよ。」
「暇じゃない?」と思われがちな専業主婦ですが、『パラサイトワイフ』という言葉に苦しみつつも、家庭のために努力を惜しまないようでした。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)での対策も行なっているようです。
「マスクは手づくりしたので、在庫は問題ありません。掃除は小まめにしていますし、その都度、気になるところは除菌しています。買い物は混む時間帯を避け、満員電車に乗ることもないので感染リスクは少ないと思います。これは家にいることができる専業主婦の強みですね。」
いつも家にいてのんびり過ごしている…というわけではなく、状況に応じて行動しているようでした。また、専業主婦のなかには「働きに行きたいのに働けない」という人もいるといいます。
働きたくても働けない専業ママ
厚生労働省が令和元年9月6日に公表した「『保育所等関連状況取りまとめ(平成31年4月1日)』を公表します(https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000544879.pdf)」内で、平成31年4月1日時点での待機児童数を16,772人と発表しました。そのうち、低年齢児(0~2歳児)の待機割合は87.9%も占めるといいます。待機児童の多い地域に住むBさんも2歳の子どもを抱え、専業主婦をしているそうです。
「本当は子どもを預け、社会復帰をしたいと思っています。ですが就職先の決まっていない状態では保育園に受かりません。だからといって、保育園が決まっていない状態で面接に行っても落とされてしまい…この悪循環で、専業主婦を続けています。」
また、子どもが小さいと「急に仕事を休むのでは」と面接時に敬遠されてしまうこともあるといいます。専業ママのなかには「働きたくても働けない」というジレンマがあるようです。
家庭を支える妻の存在意義
選択して専業を選ぶ人と、やむを得ず専業を選ぶ人がいるようです。そして、専業主婦だからといって家事以外は何もしない、というわけでもありません。
令和2年4月7日、総理大臣官邸で第27回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策(http://https://corona.go.jp/news/pdf/keizaitaisaku_0407.pdf)」についてのなかで「緊急事態宣言」を発出しました。これにより休業に追い込まれた事業も多く、収入減になることは避けられないでしょう。
専業主婦のAさんは、状況に応じてすぐさま支援制度などを確認しているといいます。給付金に関することや携帯電話の支払い期限の延長など、必要な情報を夫とも共有しているそうです。「専業主婦だからといって世間知らずではない」とAさんはいいます。情報をすぐ確認できる立場にあることは、緊急時には強みになるといえるでしょう。
専業主婦は暇なのでは?という意見はありますが、けっして専業主婦は「パラサイト」ではなく、家庭を支える大事な役割を担っているのです。
【参照】
内閣府「平成29年度男女共同参画社会の形成の状況及び平成30年度男女共同参画社会の形成の促進施策(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/gaiyou/pdf/h30_gaiyou.pdf)」
内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策(https://corona.go.jp/news/pdf/keizaitaisaku_0407.pdf)」
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