みんなが投資を始めてる!? 激増中のネット証券口座開設、果たして長続きするのか…
LIMO / 2020年5月30日 20時0分
みんなが投資を始めてる!? 激増中のネット証券口座開設、果たして長続きするのか…
SBI証券と楽天証券の合計口座数は野村證券の2倍にも
コロナ禍にも関わらず、株式市場は反発に転じています。日経平均株価は直近最安値(3月16日)の1万6,553円から2割程度上昇し、ニューヨークダウも1万8,592ドルから3割以上上昇しています。株価の推移だけ見れば、いい感じの反落と反発くらいにしか見えません。
実際、日経平均株価の直近最高値からの執筆時点(5月26日)までの下落率は約11%、2018年後半の米中貿易戦争勃発時の下落率は約19%ですから、下落幅はむしろマイルドです。株価はピークの半分程度になると思っていましたが、今のところなぜか“堅調”です。
その流れに乗ったのかもしれませんが、一部ネット証券では個人投資家の新規口座開設数が激増したと発表しています。業界トップのSBI証券および楽天証券の口座数は、3月末でそれぞれ542万、410万となっています。
対面証券会社トップの野村證券の口座数が532万ですから、口座数だけを見ればネット証券大手2社だけで同社の2倍弱の規模となります。金融商品は今やインターネット取引が常識ですから、ネット証券優位の傾向に歯止めはかからないでしょう。
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用するにしても、証券口座を開設しておかないとお話になりません。コロナショックは、株価が下がったところで買えば儲けられるチャンスかも?ということで、投資初心者の背中を押したのだと思います。
口座の半数前後が不稼働という現実も
さて、株式投資にせよ投資信託にせよ、そもそも投資は元本保証ではありません。儲かるかどうかはやってみないと分からないところや、投資方法も千差万別なのが投資です。ビギナーズラックでその後も投資を続ける人もいれば、最初から大損してもう懲りたとやめてしまう人もいるでしょう。
たらればで恐縮ですが、3月に口座開設して3月末のタイミングで日経平均株価連動投資信託を買っていれば、今の時点で13%くらい儲かっていることになります(5月26日時点)。100万円投資したら13万円の儲けです。悪くないですね。もちろん、そのタイミングで売れればですが。
継続して儲けられればそれに越したことはありませんが、そうなかなか上手く行かないのが投資。したがって、証券口座を開設して一銭もお金を入れない人もいれば、何回か投資して結局その口座を利用しない人もたくさんいます。証券口座は何社にでもタダで開設することができますからね。
図表1はマネックス証券(マネックス)の証券口座数およびその稼働口座数の推移です。同社データによると、ここ5年間の口座数は年率4%程度の純増です。証券会社によってばらつきはあると思いますが、業界全体で口座数は増えているのが見て取れます。
一方、稼働率(各月末時点で預かり資産、または過去1年間に取引があった口座の割合)は61.2%から57.1%へと、わずかに減っています。ここ5年でもピークが6割程度ということは、4割は非稼働、つまり口座開設はしたものの結局残高ゼロか取引をしていないかのいずれかです。
ちなみに、不稼動口座は証券会社にとって管理コストだけがかかるやっかいな口座なのです。
この稼働率、他社(カブドットコム証券)で50%程度のところもありますから、実際に口座を開設して取引をされる個人投資家は、口座開設者の半分強なのです。
そうなると、今回のコロナショックで証券取引を始めようと思った方々も、長い目で見れば半減していくのでしょうね。取引をしない理由はさまざまですが、結局、何十年と長期間投資を続けられる方は口座開設者のうち多くて2〜3割程度かなと推察します。
日本証券業協会のデータによると、個人全体の証券口座数は2019年12月末で2,443万口座、5年前の2014年12月末で2,261万口座です。この5年間で口座数は1年当たり36万口座増えていますが、増加率としては年間1.5%程度となります(言い換えれば、お客さんの数が年間1.5%しか純増していない)。
稼働口座の増減率は具体的なデータがなく、数字で説明できないのがもどかしいのですが、口座数の増え方から見ても、長期的な稼働投資家数はすぐには増えないと考えられます。
どの証券会社に口座を開けばいいのか?
じゃあ、これから始める人はどうすればいいのということです。私の経験からすれば、投資は少額からスタートして、自動積立するしかありません。何千万円の大口で自動積立できるわけではないので、NISAやiDeCo、一般口座で細かく積み立てていくのが結局長続きすると思います。
もちろんいずれも結果的に儲かればいいのですが、投資は少額でもプラスリターンで終わればよしとしましょう。
ということで、どの証券会社に口座を開くかは、やはりコスト、商品数、ホームページの操作性、システムの安全性などを総合的に判断すべきです。
もっとも、ホームページや取引システムを改善し拡充するのは時代の要請とはいえ、毎年証券会社にかなりのコストがかかります。それに対応できるのは、やはり資本力のある大手のみ。結局、銀行と同じく寡占化が進んでいくような気がします。
個人投資家としては、長期的な投資であればあるほど、どの証券会社のプラットフォームを使えばベストなのかを問われる時代でもありすね。
牛丼屋さんではありませんが、筆者は「うまい、やすい、はやい」を証券会社選びの選択基準としています。その心は、うまい=商品数・種類が多岐、やすい=取引手数料が安い、はやい=システムのレスポンスやアクセスが速い、です。
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