【私立高校授業料実質無償化】気になる内容と所得制限「年収590万円の壁」
LIMO / 2020年6月1日 19時15分

【私立高校授業料実質無償化】気になる内容と所得制限「年収590万円の壁」
緊急事態宣言から長期の臨時休校が続き、「9月入学・新学期案」が検討されていることを承知の人も多いでしょう。学習の遅れの解消や世界の基準に合わせることでグローバル化につながるなど、メリットが語られるなか、入試や就職の際のズレをどうフォローするか議論されています。
しかし、2020年4月から改定された制度のことはご存じでしょうか。すでに導入されている高等学校等就学支援金制度が制度改定で、私立高校も手厚く保障されることとなりました。文部科学省が発表した「私立高校授業料実質無償化(https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf)」とは一体何なのでしょうか。申請を忘れないためにも、しっかりチェックしておきましょう。
高等学校等就学支援金制度とは
まず「高等学校等就学支援金制度」から説明します。『支援金』といわれるとお金が給付される印象ですが、こちらは家庭が払うべき授業料を国が負担する、という制度となるので支援金は都道府県を通じて学校に交付されることになります。
支給には所得制限がついているためよく確認をしましょう(モデル世帯として両親のどちらかが働き、高校生1人、中学生1人がいる設定)。
【令和2年6月支給分まで】
・道府県民税所得割額 + 市町村民税所得割合算額 50万7,000円未満
【令和2年7月支給分以降】
・市町村民税の課税標準額 × 6%-市町村民税の調整控除額で計算される算定基準額30万4,200円 未満
年収約910万円未満の世帯が該当するようになっています。また支給限度額に差があるため、確認が必要です。
【支給限度額】
・公立高等学校(全日制):9,900円/月(支給期間 36月)
・公立高等学校(定時制):2,700円/月(支給期間 48月)
・公立高等学校(通信制): 520円/月(支給期間 48月)
・国立高等学校:9,600円/月(支給期間 36月)
・国立中等教育学校の後期課程:9,600円/月(支給期間 36月)
・国立/公立特別支援学校の高等部 : 400円/月(支給期間 36月)
支給限度額までを在学中の学校へ支給されます。そこで授業料に差額が発生した場合のみ、生徒の支払義務が生じます。上記に該当しない場合は「支給期間 ・ 支給限度額一覧(令和2年4月以降)(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/__icsFiles/afieldfile/2020/04/22/20200422_mxt_kouhou02_100014428_3.pdf)」にてご確認ください。
2020年4月より私立高校も対象
これまで私立にも17万8200円~29万7000円を上限に支援金はありました。ですが授業料が高額のため、支給金額だけでは補うことができず、差額分を支払う必要があったのです。それが、2020年4月より支援金額が引き上げられたことによって実質無償がかなえられたのです。
【支給限度額】
・私立高等学校:9,900円/月+加算額
支給限度額は公立と同じ9,900円/月ですが、私立は世帯年収によって加算額もプラスされることになり、年収約590万円未満までは上限39万6,000円/年の支援金が支給され、実質無償となります。
いつどこへ申請すればいい?
とても便利な「高等学校等就学支援金制度」ですが、申請しなければ支援を受けられません。新入生は入学時(4月)に学校から案内があります。必要な書類を揃えて学校へ提出しましょう。
しかし入学後収入に変動があり、受給対象となることもあるのでは。その場合、在校生であっても途中から「高等学校等就学支援金制度」を申請可能です。収入状況を届け出る7月頃にも学校から案内があるため、忘れずにそこで申請しましょう。
高校実質無償化と奨学金に期待
「無償化」とうたっていますが、高校生活すべてが賄われるわけではありません。授業料以外の経費は支払う義務があります。授業料以外の費用も負担に感じる生徒には、他の支援があるので必ずチェックするようにしましょう。
【高校生等奨学給付金】
「高等学校等就学支援金制度(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1344089.htm)」では補いきれなかった教科書費や教材費、修学旅行費からPTA会費に至るまで、学校生活に欠かせない経費を支えてくれます。「高校生等奨学給付金のお問合せ先一覧(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/detail/1353842.htm)」を確認して各都道府県に問い合わせてみましょう。
また自治体によって、独自の支援があるところも。自治体のHPを調べてみるのもおすすめします。どの自治体も申請しなければ支援は受けられないため、事前に調べることが重要になります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって経済が大きく影響をうけているなか、在学中の生徒、また受験生も不安を抱えていることでしょう。世間では、コロナショックから中退を考えている学生を救済しようとする学校側の支援もあるようです。
2020年4月から改定された「高等学校等就学支援金制度」も、「学びたい」という気持ちがある子どもたちに寄り添えるような制度であってほしいですね。
【参照】
文部科学省「私立高校授業料の実質無償化(https://www.mext.go.jp/content/20200117-mxt_shuugaku01-1418201_1.pdf)」「高等学校等就学支援金制度(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)」「高校生等奨学給付金(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1344089.htm)」
「支給期間 ・ 支給限度額一覧(令和2年4月以降)(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/__icsFiles/afieldfile/2020/04/22/20200422_mxt_kouhou02_100014428_3.pdf)」
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