インバウンド消滅後の大阪。黒門市場には懐かしい光景が広がっていた
LIMO / 2020年6月6日 8時0分
![インバウンド消滅後の大阪。黒門市場には懐かしい光景が広がっていた](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_17600_0-small.png)
インバウンド消滅後の大阪。黒門市場には懐かしい光景が広がっていた
生鮮品を中心とした食料品店が軒を連ねる黒門市場。「大阪の台所」と呼ばれ、地元の市場として愛されてきましたが、近年は外国人旅行者が殺到する観光地に様変わりしていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大でインバウンドは壊滅的な状況。外国人旅行者が消えた黒門市場では、観光地化する以前の姿が蘇りつつありました。
インバウンド景気が一気に冷え込んだ大阪
ここ数年の大阪経済を支えていたのはインバウンド消費です。平日でも大混雑の心斎橋筋商店街、昭和の労働者の街が外国人向けホテル街になった西成など、難波を中心に外国人旅行者で賑わっていました。
しかし、コロナ禍で外国人旅行者は大阪から姿を消し、インバウンド消費は一気にしぼむことに。
南海難波駅直結で外国人旅行者が殺到していた高島屋大阪店の4月売上高は、対前年同月比▲84.8%減。また高島屋全体の4月の免税売上はなんと▲99.1%減(5月は14日までの数字で▲99.9%減)という大打撃です。
そんなインバウンド消費に売上げの多くを頼っていた大阪の中でも、筆者が先行きを注目している場所があります。それが黒門市場です。
黒門市場と聞くと、古くからの関西人には”フグ専門の鮮魚店が多い商店街”というイメージがあります。しかし黒門市場はここ数年で姿を大きく変え、”外国人旅行者向けの魚市場がある観光地”に変貌していました。
黒門市場は難波駅から徒歩約10分、海辺の漁港というわけではありません。そんな商店街が、浜焼きのような魚介類の焼き物をはじめ、テッサそして生牡蠣などを店頭販売し、さらに専用の飲食スペースまで別途設けていたほどの状態だったのです。
インバウンドに振り切った街ーー外国人旅行者が行き交い、従来とは全く異なる黒門市場を筆者が最初に見た時の印象です。
インバウンド消滅後の黒門市場を歩いてみた
緊急事態宣言が解除になった5月下旬の平日の午後、久しぶりに黒門市場を訪れてみました。
大阪メトロ日本橋駅を降りてすぐの場所にある黒門市場の筋を入ると、以前は真っ直ぐ歩けないほどの雑踏だった商店街は普通に歩くことができ、自転車がスイスイ走っている場所もあります。
予想通り外国人旅行者の姿はほとんどなく(ただしゼロではない)、賑わいを見せていた買い食いできる店も閑古鳥が鳴いています。
30分ほど黒門市場を端から端まで歩いてみると、外国人旅行者に特化していたと思われる店は休業が多い様子。一方で昔ながらの鮮魚店の多くは、そのまま営業していました。
懐かしい姿を見せていた黒門市場
今回、黒門市場を訪れて感じたのは、昔に戻ったようだということ。インバウンド景気以前の黒門市場と比べると、人の数は減少している印象はあるものの、人通りが絶えているわけではありません。
料理店の職人が鮮魚店で買い物をしていたり、隣近所の店員さんたちが集まって談笑している姿など、昔ながらの黒門市場の光景がそこにはありました。
高齢化が進む中、黒門市場もインバウンド景気前の状態に100%戻ることは難しいかもしれません。それでも、鮮魚店の多さという特色を持つ、大阪を代表する商店街として続いていくのではないかと感じました。
おわりに
関西圏では、京都の錦市場と並んで外国人旅行者に人気の「食の観光スポット」になっていた黒門市場。しかし元からの観光地ではなかったために、インバウンド需要が剥落しても以前の鮮魚店中心の商店街として、今後も根強く一定の存在感を発揮するのではないでしょうか。
アフターコロナやウィズコロナの社会がどう変わっていくのか、まだ誰にも想像できません。一時期は大阪のインバウンド消費の象徴ともいわれた黒門市場が今後どのような姿を見せることになるのか、その行方に注目したいと思います。
【参考資料】2020年4月度 高島屋営業報告
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