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世界経済回復の3つのシナリオと投資戦略:前例のない環境下でいかに投資すべきか <HSBC投信レポート>

LIMO / 2020年6月6日 20時45分

世界経済回復の3つのシナリオと投資戦略:前例のない環境下でいかに投資すべきか <HSBC投信レポート>

世界経済回復の3つのシナリオと投資戦略:前例のない環境下でいかに投資すべきか <HSBC投信レポート>

新型コロナウイルスの感染拡大の封じ込めと急速に冷え込む世界景気

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染拡大)がきっかけとなり、世界経済は、少なくとも過去100年間に経験したことのない「突然の停止状態」に陥った。

各国政府による感染拡大抑制に向けた対策(経済、社会活動の制限)により、経済面では最初に供給量が急減し、次いで、失業の拡大や先行き不透明感から景況感が悪化する中で需要が大きく冷え込んだ。こうして、世界経済は深刻な景気後退に陥っている。

今後の世界経済の展開では、「新型感染症の封じ込め策が経済へ与える打撃」と「マクロ経済支援(安定化)策による景気の下支え効果」との間のせめぎ合いとなるだろう。新型感染症の封じ込め策の内容は、新型ウイルスの感染拡大状況と、その封じ込めの見通し(つまり、パンデミックがどの程度広がり、治療薬やワクチンがどれだけ早急に開発できるか)により、大きく左右される。

「封じ込め策」と「マクロ経済支援策」のそれぞれが経済に与える影響を判断するのは非常に困難である。我々は海図のない海洋を進んでいるといえる。実際、各国政府は現代の経済システムの中で、現状行われているような厳格な「ロックダウン」(都市封鎖や外出禁止措置)を導入したことがなく、また、これまでに打ち出された景気支援のためのマクロ経済政策のいくつかも過去に例をみないものである。

シナリオの設定

HSBC投信では、今後見込まれる世界経済の方向性について、3つのシナリオ ・・・景気の下振れシナリオ、メイン(中立)シナリオ、景気の上振れシナリオ・・・ を設定した(図表1)。

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HSBC投信のこれら3つシナリオで共通しているのは、経済活動に対する当初の衝撃は非常に大きく、経済に対してある程度の長期的な打撃、または傷痕を残すということである。最近の経済データもこの予想を支持している。

たとえば、米国では雇用者数は4月中に約2,000万人減少し、ユーロ圏の小売売上高は3月に前月比で11%減少した。また、欧州の新車登録台数は、3月に前年同月比で55%を超える落ち込みとなった。英国では、イングランド銀行が「4-6月期のGDPは2019年の最終四半期の水準を30%下回る可能性がある」と示唆している。

HSBC投信が描くメイン(中立)シナリオは、コンセンサス予想(市場予想)よりも大幅に弱気な内容になっている。これは、感染拡大の封じ込め策から脱却する道筋について、コンセンサス予想が当社予想よりもはるかに楽観的な前提を置いているためであると考えられる。

HSBC投信は、この先予想される消費者行動や企業行動には、下振れリスクがあると考える。たとえば、最近の調査によれば、人々は新型ウイルスに感染することを心配しており、この先の消費行動も慎重になる可能性が高い(図表2、図表3)。さらに、新型コロナウイルス封じ込め策の実施期間が予想より長引き、景況が一段と悪化するリスクがあると当社では考えている。

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一方、「中国経済は、今後数四半期にかけて、他の国/地域を大幅にアウトパフォームする」というコンセンサス予想は妥当とみられる。これは、中国は新型コロナウイルス拡大の抑制に成功したとみられ、他国に先駆け経済活動を再開しつつあるためだ。経済活動の回復は、大気汚染度指数が通常の水準に近づいていること(図表4)、また企業の購買担当者指数(PMI)が力強く回復していること(図表5)に反映されている。

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今後の投資について、いかに考えるべきか

今後の展望(シナリオ)を描くに際し、経済状況の不透明性が高いことは否めない。新型コロナウイルスの再度の感染拡大懸念が残るなかで経済活動を再開することの難しさや、景気支援策が景気回復が求められる段階で期待されているほどの効果を発揮しないリスクがある。

景気の先行きに関するコンセンサス予想が一段と下方修正される余地があることから、HSBC投信のグローバル・マルチアセット・ポートフォリオではリスク資産に対して短期的・戦術的には慎重なスタンスをとる。

しかし、これまでの各国の政策支援によって、経済が極めて深刻な状況に至るリスクは抑えられている。このため、長期的な戦略的視点で投資を行う投資家は、バリュエーションが魅力的な資産クラスに投資することにより、その恩恵を受けることが可能と考える。

長期的な投資戦略の一環としてグローバル株式をオーバーウェイトとすることは妥当と見ている。HSBC投信が推計するグローバル株式のバリュエーションは今年に入って大きく改善しており、加えて各国当局の大規模な政策支援の実施により、経済が恐慌などの深刻な事態に陥る確率は低下した。従って、今後、株式市場が値を下げる場面は、株式へ投資する好機になるとHSBC投信では考えている。特にディフェンシブセクターの魅力が高い。

先進国(DM)国債については、利回りが非常に低く良好な投資収益が期待できないため、HSBC投信はアンダーウェイトのスタンスをとる。なお、ポートフォリオの分散の観点からも、これらの資産が充分に分散機能を果たすかどうかは不透明である。

現在、世界の主要国の経済支援策に、中央銀行による巨額の社債の購入が含まれている。これがHSBC投信が投資適格社債に対して中立的スタンスをとる1つの理由である(注:6月に投資適格社債に対する投資スタンスをオーバーウェイトに引き上げた)。よりリスクの高いハイ・イールド社債も、中央銀行の資産購入策の支援を受けていることに加えて、バリュエーションが非常に魅力的であることから、当社ではオーバーウェイトを維持する。

最後に、新興国(EM)資産の一部については、新興国では依然新型コロナウイルス感染拡大のリスクが高いこと、相対バリュエーションがあまり魅力的でないことから、強気のスタンスをとらない。特にアジア以外の新興国については、医療システムが十分に整備されているとはいえないこと、コモディティ価格が下落していることなどから、新型感染症の急拡大に際して危機対応能力が限られているとHSBC投信では考えている。

一方、アジアの新興国市場は、中国経済の回復から恩恵を受ける余地が大きく、また他の地域の新興国市場に比べて、グローバル投資家のセンチメントが悪化した場合の悪影響を受けにくいということも注目点である。

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