コロナショックの経験から学ぶ、お金を“殺さない“ために決めておきたい投資のルール
LIMO / 2020年6月5日 19時15分
コロナショックの経験から学ぶ、お金を“殺さない“ために決めておきたい投資のルール
「損切り、うまくできてますか?」
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大をうけ、私たちの生活や行動様式は大きく変化しました。企業活動の自粛、一斉休校で混乱する教育現場、マスクの品切れなど、想定外の事態に不安や混乱の連続。
株式市場も、いわゆる「コロナショック」に見舞われました。2020年6月現在、相場はやや落ち着きを取り戻しつつありますが、先の見通しは極めて不透明。そんな今だからこそ、賢いお金の生かし方について考えていきたいもの。
緊急事態宣言が全国で解除され、世の中は“コロナ後”に向けて動き出しています。そんな今「投資で失敗しやすい人の行動パターン」を整理しながら、お金を生かすためのヒントについて考えていきます。
みんなの「金融資産を選ぶ基準と保有意向」
まず、金融広報中央委員会が2019年に行った「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/)」の結果をみてみましょう。(調査対象:世帯主が20歳以上で、2人以上の世帯 8000世帯)
金融資産の選択の際に最も重視していること(※)
安全性…41.9%(前回41.8%)
流動性…22.9%(前回25.8%)
収益性…19.0%(前回17.6%)
※各項目の割合は、以下の回答をした人の割合の合計。
安全性:「元本が保証されている」「取扱金融機関が信用できて安全だから」
流動性:「少額でも預け入れや引き出しが自由にできるから」「現金に換えやすいから」
収益性:「利回りがよいから」「将来値上がりが期待できるから」
元本割れを起こす可能性があるが収益性の高い金融商品の保有についての意向
そうした商品についても積極的に保有しようと思っている…2.2%(前回2.5%)
そうした商品についても一部は保有しようと思っている…17.4%(前回15.6%)
そうした商品を保有しようとは全く思わない…78.9%(前回80.5%)
「そうした商品についても一部は保有しようと思っている」に着目すると、2016年15.3%、2017年15.4%、2018年15.6%、2019年17.4%と微増を続けています。資産を増やす手段として「投資」も検討している人も増えているのではないでしょうか。
「投資で失敗しやすい人」2つの典型例
ここで、投資で損をしやすい人によくみられる行動パターンを2つご紹介します。
「マイルール」が定まっていない
「保有資産の一部だけ」とはいえ、あらかじめルールを決めずに漠然と投資を行うことはおすすめできません。これは、株、投資信託、FX、いずれの商品の場合でも同じです。
「前日比〇%下落したら損切りする」といった具体的なトレードに関するものもあれば、「〇万円以内で投資する」「2つ以上の地域と3つ以上の商品に分散投資する」といった資金管理やポートフォリオに関するルールもあります。これらのルールを定めず感覚でトレードを続けてもなかなか経験値が上がらず、同じ間違いを繰り返すことになります。特に投資ビギナーは、“損切りのルール”だけでもしっかり決めておくことをおすすめします。
価格が下落していても、「少し様子を見れていれば、また値が持ち直すのでは?」という期待感から、手つかずのままになっているケースがよくみられます。含み損を確定するのは勇気がいりますが、損切りをして戻ってきたお金を、他で活用するという発想を持つことをおすすめします。損が出ている金融商品をダラダラ持ち続け、“塩漬け”にすることは、お金を生かす機会を自ら放棄しているともいえます。
「ハイリスク・ハイリターン」の儲けバナシに乗る
相場の世界では「リスクを取らないと勝つこともない」といわれます。大きく賭けないと大きく儲からない、ということです。このような言葉を口にするプロのトレーダーや機関投資家、ファンドマネージャーなどの予想や相場感、ましてや「1年で3倍になる△□投資法!」のようなギャンブル性の高いうたい文句に乗っかってはいけません。短期間で大金を失うことにつながりかねないからです。
そこで重要となるのが、現実的な目標設定です。そのためには、「1年で○倍」などを目指したり、信用取引(※)を前提にしたりするような大きなリスクを強いられる投資は避けたほうがよいでしょう。
(※)信用取引:証券会社に一定以上の担保を預け、証券会社から売買に必要な現金や株式を借りて行う取引のこと。(松井証券ホームページ(https://www.matsui.co.jp/service/margin/study/qa/qa_01.html)参考)
相場が急落したら、どうすればよいのか
先述のとおり、COVID-19の感染拡大は、株式市場にも大きな影響を与えました。「コロナショック」とも呼ばれる、3月中旬の株価の急落時には、生きた心地がしなかった、という人も多いのではないでしょうか。実はこのような“非常事態“でも、損失の拡大をおさえるためにできる対策はあるのです。
株取引を行っている人は、資金のポートフォリオを見直し、必要に応じて現金化しておくことも考えましょう。業種によっては、今年の夏は賃金やボーナスがカットされることも予想されます。家賃やローンを支払うのに貯蓄を切り崩す必要があるかもしれません。この夏の家計を予想しながら、投資金額が適切かどうか確認をしておきましょう。
個人型確定拠出年金(iDeCo)(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/)やつみたてNISA(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/index.html)を利用している人は、商品内容の見直しの検討をおすすめします。相場の見通しが不透明だと考えている場合は、iDeCoであれば元本確保型の商品にスイッチする、つみたてNISAであればより安定性の高い商品に乗り換える、といった対応を考えてもよいでしょう。
退職金を守る!
定年退職を迎えたばかりの人は、銀行や証券会社のセールスマンから「退職金を増やしませんか」と営業を受けることがあるかと思います。高い分配金が売りの金融商品などは、確かに魅力的に見えるかもしれません。とはいえ、手数料体系やリスクなどの情報を理解していないまま、老後の資金を任せるのは禁物です。「話がうますぎる」と感じたら、なにかあるのではと警戒したほうがよいでしょう。老後の資金を守り抜くためにも、投資話には慎重に接しておきたいものです。
まとめ
相場の見通しが不透明なときこそ、資産運用には細心の注意をもって臨みたいところです。「これまで高くて買えなかったけれど、ここまで下がったら買おう」「今後は成長が期待でき、株価が上がるかもしれない」という銘柄をリサーチし、値動きをみていくこともよいでしょう。実際に買うかどうかは別として、資産形成に対する意識が上向きになるかもしれませんね。
【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。
【参考】
「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)令和元年調査結果(https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/futari/2019/)」金融広報中央委員会
「信用取引とはどのような取引ですか?(https://www.matsui.co.jp/service/margin/study/qa/qa_01.html)」 松井証券
「iDeCoってなに?(https://www.ideco-koushiki.jp/guide/)」(iDeCo) iDeCo公式サイト
「つみたてNISA(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/index.html)」金融庁
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