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「苦しいのはむしろ成人後」毒親後遺症を克服するカギとは?

LIMO / 2020年6月20日 12時0分

「苦しいのはむしろ成人後」毒親後遺症を克服するカギとは?

「苦しいのはむしろ成人後」毒親後遺症を克服するカギとは?

~生きづらさと「負の連鎖」の正体~

多くの子どもたちにとって、最も多く関わりを持つ人間は親でしょう。でも、「我が子への愛情は無償である」「親の厳しさは愛情ゆえ」といった固定観念は、ときに負の連鎖を生むことがあります。親子関係を語るうえでフォーカスされることが増えた「毒親」。その存在に縛られてきた大人たちの体験談をもとに、トラウマを克服するヒント、そして、健全な親子の関係について考えていきたいと思います。

毒されやすい「反抗期がない子」

親のいうことをよく聞き、反抗的な態度をとらない子供は、大人には「手がかからない良い子」に見えます。でも彼らの本音は「叱られないために、とりあえず親の言うことをきいておく」というケースが多いようです。子どもの頃から自分の感情をおさえることに慣れてしまうと、心の健全な育ちに深刻な影響が及ぶ可能性があります。

「わが子にとって最善の道を示してあげるのが親の愛情」というつもりで口出しをしても、子どもにとっては単なる抑圧にしか過ぎない可能性も。「親に忠実に従うこと」以外の選択肢がないというやり方が果たして愛情なのか、親の側が早めに気付いてあげる必要があるかもしれません。

このパターンで危ないのは、「毒親」に当てはまっていることに、親子ともに気が付けない場合です。将来、子ども自身が親となったとき、自分の親を見本として、同じことを繰り返す原因にもなりかねません。

「しつけ」という名の虐待

「厳しく育てれば、正しい大人になる」いう考えを持つ親は、その「厳しさ」の質を今一度振り返ってみることが必要かもしれません。殴る・蹴るなどの身体的な暴力はもちろんNGですが、ここでクローズアップしたいのは「言葉の暴力」。親が何気なく発するその一言が、子供にとって生涯忘れられないトラウマを生んでしまう危険性があります。ここからは、毒親の後遺症を抱えるみなさんのエピソードをご紹介していきます。

自己肯定感を下げた、「ダメな子」の烙印

「何か失敗するたびに実父から『お前は本当にデキが悪い人間だ』といわれて育ちました。何がダメなのか理解できぬまま、『そうか、自分はダメな子なんだ』と思うようになり、何かに打ち込んだり挑戦したりすることなく大人になりました。

最近、職場の人間関係や恋愛で行き詰まり、心のバランスを崩しました。カウンセリングで『自己肯定感』の低さを指摘され思い当たる原因を探してみたところ、『デキが悪い』と言われ続けた記憶が蘇ってきて・・・おそらく、あの『ダメの烙印』によるところが大きいのかも」

母の「ロボット」でいたほうがラクだった

「私が何か失敗するにつけ、『ママのいう通りにすれば上手くいったのに!』と怒り出す母でした。自分の意志で行動を起こすと必ず文句を言われるのが苦痛になり、気が付いたら『母の指示待ち人間』に。その根底にあったのは、母への信頼感ではなく「波風立てたくない」という諦めの気持ち。

大人になった今でも、自分で何かを決断したり選択したりする自信が持てないままです。将来結婚・出産することがあっても、パートナーや子どもと上手に関わっていけるのか・・・正直自信がありません」

大人同士であれば、言葉を発する前に一瞬考えるようなセリフも、我が子が相手だと平気で言えてしまう、という人は意外に多いようです。その根底には、「子どもは親の所有物である」という思い込みがあるのかもしれません。

「親の轍を踏みたくない」迷える大人たち

親から押さえ付けられて育った人の中には、自分が親となったときに「適切な子どもへの接し方がわからない」と困惑してしまう経験が多いようです。

「教育虐待」のトラウマ

「私たちきょうだいが母から受けていたのは、今思えば「教育虐待」そのものでした。テストの成績できょうだいの「序列」を決め、常に進学先の偏差値を比較されている状態。子ども心に憂鬱でしたね。でもその結果、私は学業でそれなりの結果を残すことができ、自信を持つことができたのも事実。そして今、我が子に中学受験をさせるべきなのか悩んでいます。もし自分が母と同じようなことをしてしまったらと思うと、二の足を踏んでしまいます」

「普通の子育てって何?」

「門限を1分でも過ぎると夕食抜き、電気の消し忘れや水道の出しっぱなしがバレたら夜中でも延々と叱責される・・・、など、私自身がかなり厳しく育てられました。だから世間でいう『しつけと虐待のボーダーライン』を知らないのです。我が子にはきちんとした生活習慣を身につけさせたいと思っていますが、母が私を育てたやり方って、もしかしたら虐待なのでしょうか?夫に聞いても『普通に接していれば問題ないよ』という返答。私は、その『普通』が分からなくて…」

子ども時代の自分が親から受けていたのは「しつけ」か「虐待」か。当事者でも簡単に判断がつかない問題なのかもしれません。自分自身が子どもを持つまで、この問題に気がつかなかった人、気がついてもあえて目を背けていたという人も多いようです。そもそも「しつけ」の基準自体、各家庭のポリシーによって大きく異なるわけですから。

「負の連鎖」は私が断ち切る!

最後に、毒親のトラウマを乗り越え、負の連鎖を断ち切った人たちの声をご紹介していきましょう。

「みんなちがって、みんないい」

「母はいわゆる過干渉でした。自分の思うように娘をコントロールしていたい、そんな母親でした。一人っ子だった私は、家族の期待と注目を一身に背負っていました。『母を喜ばせなければ』という思いが無意識にあったのでしょう。

今、私は3児の母です。単純に人数の問題ではありませんが『3人全員、それぞれの長所や強みを生かして成長してくれれば、それだけで幸せ』って思ってます。子どもたちと自分は別人格。過度の期待を寄せたり、必要以上にプライベートに立ち入ったりすることは避けています」

「親の顔色をうかがう子ども」にはさせない!

「私は典型的な優等生でした。『親に恥をかかせるな!』と言われて育ったので、先生や親の顔色を見て動くのが得意でした。大人たちからの評価は高かったようですが、そこに私自身の意思はなく、正直「つまらない子供」だったはずです。だから、我が子には『自分の判断で行動してごらん。それで失敗したときは、ママが責任持って解決に協力するよ』と背中を押しています。大人が喜ぶ行動をすることばかりが正解ではないのです。転んだり、他人に怒られたりしながら学ぶことは多いです。「失敗する」という体験を避けてきた自分だからこそ、こんな発想ができるのかもしれません」

さいごに

「毒親」「虐待」という言葉からは、怒鳴る・殴る、といった激しい光景を連想した人が多いかもしれません。しかし、今回お話したような過保護や過干渉は、愛情やしつけとの見分けが非常につきにくいものです。だからこそ「毒」となり得るわけで、さらにその毒性は当事者でもなかなか気付けない、というのが現実。

「毒親後遺症」に苦しむ親の多くは、負の連鎖を断ち切るためのヒントを探しているはずです。その道しるべとなるのは、「目の前の我が子」だけではなく「自分自身の子供時代」に向き合うことではないか、と筆者は考えます。

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