学校でしないお金の教育、休校時のお手伝いと駄菓子屋で子供が学んだこと
LIMO / 2020年6月26日 10時0分
![学校でしないお金の教育、休校時のお手伝いと駄菓子屋で子供が学んだこと](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/toushin1/toushin1_17941_0-small.jpg)
学校でしないお金の教育、休校時のお手伝いと駄菓子屋で子供が学んだこと
キャッシュレス決済が身近なものとなっています。QRコードをかざして支払いを済ませたり、カードを提示して買い物をする様子を見て育つ子供にとって、現金の存在は「支払いシステムの1つ」なのかもしれません。
一方、生活していくうえで欠かせないマネーリテラシー、すなわち「お金の知識を得て、うまく活用する力」を、学校で学ぶ機会はほとんどありません。つまり、現状では家庭でなんとかしなければならないのです。親の子供時代よりも複雑になっている子供の金銭感覚の養い方について考えます。
小学生の7割以上がお小遣いをもらっている
金融広報中央委員会が5年に一度行っている「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」によると、7割強の小学生がお小遣いをもらっていると答えています(調査対象:全国の小学生から高校生5万人超)。
毎月もらっている児童の平均金額は低学年では1004円、中学年で864円、高学年になると1085円です。時々もらっている児童の平均金額は低学年が1004円、中学年は924円、そして高学年では1246円という結果でした。
また、どういったシチュエーションで貰えるかという問いには、低学年の半数が「お手伝いをしたときにもらう」と答えています。この数値は学年が上がるほど小さくなりますが、高学年でも40%がお手伝いをしてお小遣いをもらうと答えており、家庭で「お手伝いをすると対価を貰える」ことを学んでいることがうかがえます。
しかし、子供が実際に労働の対価としてお金を稼ぐ仕組みを体験するには、高校生以上になってアルバイトをし始めるまで待たなければいけません。そのため、できることなら家庭でお駄賃制を取り入れたいと思っていた筆者でしたが、ズルズルと手をつけずに後回しにしてきました。
その状況が一変したのは新型コロナウイルスによる休校期間です。
仕事内容によりお駄賃の金額を設定
3カ月に及ぶ休校期間は外出自粛ということもあり、家で過ごすことがほとんどでした。3人の子供がいる状況で家事を行うのは、普段と勝手が違います。洗濯物を干し、お風呂掃除をし、布団を敷いている間も子供たちの騒ぐ声が毎日BGMになっていました。
そんなある日、「自分一人だけ家事に奮闘しているのがばからしい」と思ったのです。この気持ちを打ち消すにはどうすればいいか。5秒後に出た答えが「お駄賃を出して子供たちを巻き込もう」というものでした。
早速子供たちを呼んで提案すると、全員賛成し大喜び。その姿を見た筆者が、もっと早く導入しておけばよかったと後悔したのは言うまでもありません。
お手伝いは「洗濯、お風呂掃除、布団敷き」の3種類に決め、それぞれの金額も話し合いをして決定。子供たちで料金表を作成し、リビングの壁に貼るなどやる気満々です。
どうなることかと見守っていると、親の心配をよそに子供たちは嫌がりもせず1カ月、2カ月が過ぎてすっかり定着しました。「労働の対価としてお金を貰う」という考えが身についたようなのです。
駄菓子屋での失敗経験を活かして金銭感覚が向上
今まで、駄菓子屋さんに行く時には1人1人大まかな金額設定を決めて購入していました。しかし、毎回のように「これも買いたい・・・」とせがまれていたのです。
しかし、買いたいとせがまれたものを親がその都度払っていると「お金は無限にある」と子供は勘違いしてしまいます。これでは適切な金銭感覚とは言えず、成長してから子供が苦労する心配があります。そしてなにより、欲しいものに対して我慢する忍耐力が育たちません。
実際、緊急事態宣言解除後に近所の駄菓子屋も再開したのを聞きつけて、お駄賃制を導入以降初めて駄菓子屋に行ったとき、長子は手持ちのお金を使い果たした挙句、筆者から30円借金しました。小学6年生になるというのに、手持ちのお金をやり繰りせず「欲しいものは闇雲に買う」という衝動的な行動をしたのです。
一方、下の2人は自制し、次に来たときのことを考えて50円程度残していました。その様子を目の当たりにした筆者は、何とも言えない気持ちになりました。
借金をすると、その分お手伝いのただ働きも多くなります。それ以降、長子は駄菓子屋に行く前はいくつかシュミレーションをし、必ず数十円は残るよう計算しています。
成長すると交友範囲も広がり臨時のお小遣いも増える
筆者が長く付き合っているママ友には高校生の娘さんがいます。中学校に入ると部活仲間と大会の打ち上げをしたり、先輩の引退試合後にランチ会やカラオケ大会を開くなど、臨時のお小遣いをせがまれることが増えたと嘆きます。
「今は新型コロナウイルスで大勢で食事をする機会はないけど、通常に戻るとまた出費が増えそうで怖い。早く大学生になって外食や交際費はアルバイトして自分で払って欲しい」と苦笑いを浮かべていたのが印象的でした。
その話を聞いて、中学、高校と成長していけば交友範囲や行動範囲が広がり、お駄賃ではカバーしきれない出費が出てくることを改めて考えさせられました。
こうした交際費は親が負担することが多くなりますが、やはりその都度「無駄遣いはしない」と伝えるべきでしょう。
子供が「仲間外れになるのでは」と不安になり、何でも参加していると家計にも影響が出てきます。
家の懐事情を説明し、お金を使うべきことは何かを親子で話し合うことも、マネーリテラシーを育てるきっかけになるのではないでしょうか。
現金の存在感が薄れている今、お金の教育はより重要に
キャッシュレス決済が市民権を得た今、子供の頃から小銭などで金銭感覚を鍛えることはとても大切です。お手伝いをしてお駄賃をもらい、それを駄菓子屋などで使うことは親が思う以上に子供にとって楽しいことのようです。家庭で楽しくマネーリテラシーを高めていきたいですね。
【参考資料】「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kodomo_chosa/2015/)」(金融広報中央委員会)
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