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「無関心」は差別?低所得層マイノリティの「隠された現実」

LIMO / 2020年6月25日 18時0分

「無関心」は差別?低所得層マイノリティの「隠された現実」

「無関心」は差別?低所得層マイノリティの「隠された現実」

最近、アメリカを中心に差別問題が話題に上げられています。差別には様々な種類や形態があり、多くの人が何かしらの差別や不公平な扱いを受け悔しい思いをしたことがあるのではないでしょうか。アメリカ在住の筆者自身も人種による差別や嫌がらせを受けたことは何度もあります。

今回は筆者の経験から気が付いた意外な差別のカタチについて考えてみたいと思います。

人種差別被害は黒人だけではないが...

欧米のような人種、民族、宗教が混在するところでは、人種差別は黒人だけの問題ではありません。他の人種や民族だって差別を受けています。マイノリティ同士の差別もあり、黒人が他の人種を差別することもあります。また「人種差別主義者だ」と大げさに騒ぎ、白人を陥れようとする黒人もいます。

マスキュリニティ(男らしいたくましさ)を重視する黒人男性同士では、ゲイに対する差別もあります。これは映画『Moonlight』(ムーンライト)を是非見て考えて頂きたいと思います。

当たり前ですが、色々な黒人がいます。高学歴のエリートやビジネスに成功した富裕層の黒人も大勢います。「積極的格差是正措置」で白人より優遇され出世している黒人もいます。

それでも、社会のシステムによる黒人差別の犠牲となり貧困から抜け出せずにいる黒人の割合はまだまだとても高いです。また、社会的な地位を得た黒人でさえ何の違反もしていなのに車を止められるなどの差別が容認されていたり、ちょっとした誤解でさえ命取りになってしまうのが黒人の現状です。

「セントラルパークカレン」の本性

5月末に始まった黒人差別抗議デモには、世界中で多くの一般人、有名人、そして企業も賛同しました。しかし差別問題を利用し好感度を上げようとする差別主義者の化けの皮が剥がれる、という事態も起こりました。

ある女優が黒人差別反対とSNSに投稿したとたん、今まで散々黒人女優をイジメてきた事実が明かされ謝罪したものの、自分ではいつどのように差別やイジメをしたかわからないといいます。

また、5月25日にニューヨークのセントラルパークで、金融機関で役職につく白人女性が「犬をつなぐように」というサインを無視して散歩していたところ、野鳥観察をしていた黒人男性に「犬をつないで下さい」と注意されました。このことに激怒して、「黒人男性におどされている」と「黒人男性」を強調して警察に通報しました。

その黒人男性はその一部始終をビデオにとりSNSに投稿したところ、許しがたい人種差別だと非難が殺到し、その白人女性は会社を解雇されたそうです。

実はこの女性はオバマ前大統領のサポーターで、今まで「民主党派(リベラル)」として差別反対を散々アピールしてきたというのです。

彼女のような高学歴で専門的な仕事に付き、自称「リベラル」といって平等とか公平とかを叫びながらも、実は特権意識が強く、いざというときはそれを利用して相手を差別し、自分の自尊心や地位を守る白人女性が多いことは筆者もアメリカ生活の中で気が付いたことです。

その後、このような偽善的な白人女性を#CentralParkKaren(セントラルパークカレン)と呼び、話題に取り上げられるようになりました。

「黒人の友人がいるから..」が問題を無関心に

筆者も含め、多くの人がよく「私は黒人の友人がいる(だから、私は差別主義者ではない)」といいます。確かに、最近は人種が混合したグループをよく見かけます。

でもよく考えると、人種は違っていても、大体、社会階層が同じ者同士のグループになっています。近所に住んだり同じ学校だったり、同じ職業、会社だということは同じ社会階層にいることで付き合えるのではないでしょうか。

筆者が所属する「低所得層対象の小学校学習支援団体」がお手伝いする小学生は、90%が黒人です。この子達の多くは白人の友人はいないといいます。接点がありません。親にまともに面倒を見てもらえない子。親から叩かれる子。学校でしかまともな栄養のある食事がとれない子。この子達の家庭環境は理解出来ないほど複雑です。

もちろん、たちの悪い子もいますし、勉強なんて意味がないという捻くれた子もいます。筆者をアジア人とバカにする子もいます。正直、「どうにでもなれ」と大人げなく突き放してしまうこともあります。多くの恵まれた人々は、こういう子ども達がいるのは見聞したことがあるけれど、接点がないからどれだけ悲惨な環境かを知りません。

社会をコントロールするエリート層や企業は、差別社会を意図的に維持することで利得を得ているので、このような子供たちにバンドエイド的な支援をすることでごまかし、「本当の問題」には取り組みません。分断の壁をつくり、接点がない人々からは見えないようにしているのです。

筆者自身、中間層以上の黒人や他のマイノリティと友人でいることで、「マイノリティと共存は当たり前」と一部だけを見て偉そうなことをいっていました。

しかしこの子達と出会ったことで、「差別の深さ」と「いかに自分が無知だった」か気づきました。全然共存なんてしていません。ただ、自分の知らないその他大勢の低所得層のマイノリティの問題に「無関心」の偽善者でしかなかったのです。

今回の黒人差別抗議デモによって、すべての人が黒人差別だけではなく、互いにあらゆる差別への理解を深めようとする気持ちが強まったようです。その気持ちが一時的ではなく、いつまでも続くことを願います。

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