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10代で年金保険料を支払っている人は、どれくらいいる?

LIMO / 2020年6月27日 18時45分

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10代で年金保険料を支払っている人は、どれくらいいる?

年金の免除・猶予と滞納のはなし

日本に住む人は、「ハタチ」になると全員が国民年金に加入し、同時に、年金保険料を納付する義務を負います。しかしまだ10代でも、年金保険料を納めなくてはいけないケースがあるというのは、ご存知でしょうか?

今回は、「10代と年金」について、考えてみたいと思います。

10代で年金保険料を支払っている人は、どれくらいいる?

はじめに、年金の概要をおさらいしておきましょう。

日本の公的年金は2階建て構造です。日本に住む20歳以上60歳未満の人は全員が1階部分にあたる国民年金に加入しています。会社員や公務員はさらに2階部分にあたる厚生年金にも加入しなければなりません。

国民年金のみに加入している人を”国民年金の第1号被保険者”、国民年金と厚生年金の両方に加入している人を” 国民年金の第2号被保険者”と呼びます。ただし、20歳前に就職し、会社などで、フルタイムで働く人は、その時点で国民年金の第2号被保険者となります。厚生年金の保険料は、本人と会社が半分ずつ負担する決まりです。保険料の分が給料から強制的に天引きされるので、会社員や公務員では納付を拒否できません。

なお、厚生労働省が公表している『厚生年金保険・国民年金事業年報(平成30年)』(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_h30.pdf)によれば、厚生年金の被保険者の年齢構成を確認すると、男性の0.5%女性の0.6%が10代であるという結果が出ています。

20歳になれば、学生であっても国民年金に加入。でも払えないときは?

10代でも働いていれば厚生年金に加入し、保険料を支払うことになりますが、一方大学などに進学し、20歳の誕生日を迎えた場合は、たとえ働いていなくても国民年金に自動的に加入することになります。しかし、多くの学生は、年金保険料を払うだけの収入はありません。

20歳といえば、「まだ学生で収入がない」という人も多い年齢です。そんな場合に利用できる制度をご紹介します。

学生納付特例制度

大学や大学院、短期大学などに通学する学生で所得が一定額を下回る場合に、保険料の納付が猶予される制度です。制度の承認を受けた期間は受給資格期間にカウントされ、10年以内に猶予されていた保険料を追加で納付すれば将来もらえる年金額を増やせます。

また「学生ではないけれど、経済的に保険料の納付が難しい」という場合は、以下のような方法があります。

免除制度・納付猶予制度

経済的に保険料の納付が困難だった場合などに、保険料の支払いが免除・猶予される制度です。全額免除と一部免除とがあり、全額免除の期間は受給資格期間にカウントされます。ただし、将来の年金額を計算するときは、免除期間は保険料を納めた時に比べて2分の1(2009年3月までの免除期間は3分の1)となってしまいます。納付猶予期間は、年金額に反映されません。この場合も、10年以内に追納することで将来もらえる年金額を増やすことができます。

将来、年金はどれくらいもらえるの?

国民年金の保険料は、自分で納める必要があります。すなわち、「保険料を支払わない」という選択ができるのは、自営業やフリーランス、無職などの第1号被保険者のみということになります。しかし、なかには、「将来的に年金がもらえる保証がない」「払い損になるのではないか」と考えて、国民年金の保険料を滞納する人がいます。

ちなみに、厚生労働省の資料によると、2018年度末時点で支給された年金の平均月額は、厚生年金保険(第1号)で14万5,000円ほど、国民年金では5万6,000円ほどでした。また、厚生労働省が公表している『将来の公的年金の財政見通し(財政検証)』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)によれば、夫が40年会社員、妻が専業主婦というモデル家庭において、現在35歳の人が、年金受給開始の65歳になったときにもらうことができる年金額(月額)は、以下のように試算されています。

35歳の人の将来の年金額(月額)

経済成長率0.9%(実質<対物価>)の場合…27万5,000円

経済成長率0.4%(実質<対物価>)の場合…24万5,000円

経済成長率0.0%(実質<対物価>)の場合…20万7,000円

(夫妻の老齢基礎年金と、夫の老齢厚生年金の合計額)

現時点での年金の平均受給額が夫婦合わせて22万円ということを考え合わせると、経済成長率が上がれば、受給できる年金額は上がっていき、0.0%だとやはり減少してしまうということになりそうです。

ただ、年金保険料を払わないことのリスクはある

最後に、保険料を滞納することで生じるリスクについてもご紹介します。

財産差し押さえのリスク

年金制度を管理する日本年金機構は、近年滞納者への取り締まりを強化しています。2017年12月~2018年1月の期間には、「控除後所得額300万円以上かつ未納月数13月以上」など一定の条件を満たす滞納者に対する強制徴収が集中的に実施されました。

今後も、同様の強制徴収が実施される見込みです。保険料の滞納を続けていると、延滞金の徴収や財産差し押さえのリスクがあることを知っておきましょう。

遺族年金や障害年金がもらえないリスク

年金は、”老後だけ”にもらえるものではありません。ケガや病気、死亡など万が一のことがあったときに、本人やその家族の生活を守るために支給されるお金でもあります。滞納を続けていて遺族年金や障害年金の受給条件を満たしていないと、「もらえるはずのお金がもらえない」という事態にもなりかねません。

国民年金をもらうためには、保険料を10年以上納める必要があります。これを”資格期間”といいます。年金保険料を払っている期間があったとしても、10年に満たない場合は、無年金ということになってしまうということも、おさえておいたほうが良いでしょう。

参考

『厚生年金保険・国民年金事業年報(平成30年)』(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_h30.pdf)厚生労働省
『国民年金保険料の学生納付特例制度』(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150514.html)日本年金機構
『国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度』(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html)日本年金機構
『将来の公的年金の財政見通し(財政検証)』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/zaisei-kensyo/index.html)厚生労働省
『「国民年金保険料強制徴収集中取組期間」の結果について』(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/press/2018/201806/2018062901.files/2018062901.pdf)日本年金機構
『必要な資格期間が25年から10年に短縮されました』(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/20170801.html)日本年金機構
「国民年金の第1号被保険者の「職業」、もっとも多いのは?」(https://limo.media/articles/-/16892)LIMO
「35歳の人の、将来の年金額はどれくらい?」(https://limo.media/articles/-/17265)LIMO

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