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オンライン授業で「留学生」「MBA生」が来ない!?米大学の厳しいお金事情

LIMO / 2020年7月6日 18時45分

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オンライン授業で「留学生」「MBA生」が来ない!?米大学の厳しいお金事情

パンデミックによって世界中の教育機関では急遽オンライン授業に変更となりました。オンライン授業は確かに便利ですが、学習の質について疑問の声も多いですし、また、オンライン授業だけでは得られない経験を重視する学生にとっては最善の方法とはいえないようです。

アメリカでは、今後しばらくオンライン授業が主流になってしまうと、一番儲かる留学生やMBA生の入学に影響がでてしまうようです。

今のところ、秋学期(新学期)がどうなるかはっきりせず、学生、特に留学生にとっては今後の計画に悩むところですし、大学にとってはますます厳しい経済状況になりそうです。

どうなる米大学の秋学期

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が広がり、アメリカの大学は春学期が始まって1カ月ほどで閉鎖を強いられ、急にオンライン授業に変更となりました。そして、なんとか通常どおり5月中旬までには春学期を終了させたようです。

じつは、アメリカの大学では既に15年程前から徐々にオンライン授業を取り入れたプログラムを増やしているので、多くの学生がオンライン授業の1つや2つ受けたことがあります。今回、通常クラスがオンラインに変わったところでそれほど大きな戸惑いはなかったようです。

夏学期についても、既にオンライン授業を始めているコースもあるようです。秋学期については、通常クラスも始めるという大学もでていますが、パンデミックの今後の展開に見通しがつかないままではオンライン授業が主流になりそうです。

オンライン授業は大学にとっては経費削減の手段でもあるのですが、学生にとっては学習の質の低下や様々なデメリットがあると批判も多いです。

特にMBA生や留学生にとってはオンライン授業が主流になることでの影響は大きく、入学先延ばしや、留学断念を考える(または、そうせざるを得ない)学生も多く、大学にとっては経済的なダメージは続きそうです。

MBA生をオンライン授業で失う?

ビジネススクールに入ろうとする人たちにとっては、クラスメイトと顔を合わせて一緒に勉強することは、今後のキャリアに活かせるネットワーキングの機会でもあり、「ビジネススクールに入る動機の1つでもある」とエコノミスト誌(※1)(https://www.economist.com/business/2020/05/16/the-pandemic-increases-the-challenges-facing-business-schools?utm_campaign=later-linkinbio-theeconomist&utm_content=later-7254335&utm_medium=social&utm_source=instagram)は指摘します。

有名ビジネススクールではオンラインを通したバーチャルネットワーキングの場を提供しているようですが、それはSNS上の友人みたいなもので、やはり一緒に机を並べて勉強したり議論し合って築いた絆ほど強くはない、と続けます。

じつはペンシルベニア大学ウォートン・スクールでは、オンライン授業は通常授業とは同等ではないということで、2年間約15万ドル(約1,600万円)にのぼるプログラムの授業料を減額して欲しいという請願書に、1,000名以上のMBA生がオンライン署名したということです。

また、エコノミスト誌によれば、ビジネススクール情報サイト“Poets&Quants”が行った見込みMBA生を対象にした調査では、調査を受けた人の1/3は通常授業が再開するまで入学延期を考えていると答えたということです。

自国でオンライン受講、留学の意味ある?

ビジネススクールだけに限らず、大学全体にとって厳しいのは留学生からの収入が大幅に減ってしまうことです。パンデミックが始まる以前から、トランプ政権の反移民体制の影響で、留学生のビザ規制が厳しくなり、すでに多くの大学では留学生の数が激減しています。

それに拍車をかけるかのような今回のパンデミック。秋学期からの留学生の入学は、さらに減ることが予想されています。在留学生についても春学期はオンライン授業での単位取得の特別許可がおりましたが、米移民局が6月4日に発表した留学生関連のQ&A(※2)(https://www.ice.gov/doclib/coronavirus/covid19faq.pdf)では、秋学期についての詳細はまだはっきり決まっていないということです。

通常、留学生はビザを更新するために、フルタイム(1学期12単位以上)ステイタスを保たなければなりません。その内の1クラス(3単位)しかオンライン授業は受けられないことになっています。

もし、大学が通常授業を始めるようになれば、アメリカに戻るにもCOVID-19の第2波がどう展開するかも分からないですし、秋学期もオンライン授業での単位取得が許可されても自国で1人でオンライン授業を受けるだけでは、高い授業料を払う意味があるのかと悩むところでしょう。

2021年度もどうなるのかわからないようであれば、自国の大学に編入を考える学生も出て来るでしょう。大学にとっては何とか留学生を減らしたくないところですが、移民局のガイダンスによるところです。

長い間、世界中からの留学生を集めてきたアメリカ。留学生は大学のみならず、アメリカ経済に大きく貢献してきました。国際教育交流団体、NAFSA(※3)(https://www.nafsa.org/sites/default/files/media/document/isev-2019.pdf)によれば、2018年秋~2019年春のアカデミックイヤーでの留学生からの収入は410億ドル、留学生関連のビジネスにおいては46 万人もの雇用を創出したようです。

今後、アメリカの大学や留学生関連ビジネスがどのように生き延びて行くのか、注目していきたいところです。

参考

(※1)The Economist “The pandemic increases the challenges facing business schools”(https://www.economist.com/business/2020/05/16/the-pandemic-increases-the-challenges-facing-business-schools?utm_campaign=later-linkinbio-theeconomist&utm_content=later-7254335&utm_medium=social&utm_source=instagram)
(※2)U.S. Immigration and Customs Enforcement“Frequently Asked Questions for SEVP Stakeholders about COVID-19”(Last Updated : June 4,2020)(https://www.ice.gov/doclib/coronavirus/covid19faq.pdf)
(※3)NAFSA “Benefits from International Students”(https://www.nafsa.org/sites/default/files/media/document/isev-2019.pdf)

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