ニューヨーカーが今いちばん読んでいるビジネス書は?(2020年6月調べ)
LIMO / 2020年7月6日 21時0分
ニューヨーカーが今いちばん読んでいるビジネス書は?(2020年6月調べ)
米書店バーンズ&ノーブルのビジネス書売れ筋トップ10
この記事では、某商社ニューヨークオフィスに勤務するビジネス書大好き人間が、日々通う書店のビジネス書コーナーで感じたことをお話ししていきます。
いま、アメリカでは、新型コロナウイルスの猛威もさることながら、白人警官による黒人男性暴行死事件への抗議デモが広がっています。ニューヨークは、事件が起きたミネアポリスから2000kmも離れていますが、集会は頻繁に行われています。抗議デモに便乗して、お店の破壊や略奪をする行為は許せませんが、あらためて人種差別について考える契機でもあると思います。
それでは、今月もランキングを見ていきましょう。
バーンズ&ノーブル(BARNES & NOBLE)の6月のビジネス書売れ筋ランキング
※ 順位/タイトル/邦題(翻訳書がないものは編集部で独自に訳した仮題)/著者
1.Too Much and Never Enough: How My Family Created the World's Most Dangerous Man/(仮題)過剰なのに満たされない:わが一族はいかにして世界で最も危険な男を生み出したのか/著:メアリー・L・トランプ
2.Primitive: Tapping the Primal Drive That Powers the World's Most Successful People/(仮題)プリミティブ:世界の成功者たちに力を与える原動力を活用する/著:マルコ・グリーンバーグ
3.Atomic Habits: An Easy & Proven Way to Build Good Habits & Break Bad Ones/(邦題)ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣(パンローリング)/著:ジェームズ・クリアー
4.Mortuary Confidential: Undertakers Spill the Dirt/(仮題)霊安室の秘密:葬儀屋がばらす業界の汚点/著:ケネス・マッキンゼー、トッド・ハラ
5.How to Win Friends and Influence People/(邦題)人を動かす(創元社)/著:デール・カーネギー
6.Think and Grow Rich/(邦題)思考は現実化する(きこ書房)/著:ナポレオン・ヒル
7.The 48 Laws of Power/(邦題)権力に翻弄されないための48の法則 上・下(パンローリング)
/著:ロバート・グリーン
8.Rich Dad Poor Dad: What the Rich Teach Their Kids About Money That the Poor and Middle Class Do Not!/(邦題)金持ち父さん 貧乏父さん―アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学(筑摩書房)/著:ロバート・キヨサキ
9.The Intelligent Investor Rev.Ed./(邦題)新賢明なる投資家 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法(パンローリング)/著:ベンジャミン・グレアム
10.From Here to Equality: Reparations for Black Americans in the Twenty-First Century/(仮題)ここから平等へ:21世紀のアメリカ黒人への補償/著:ウィリアム・A・ダリティ、A・カースティ・マレン
まだ発売前のトランプ大統領に関する「暴露本」がトップに
まずは、1位『Too Much and Never Enough』。こちらは、トランプ大統領の姪にあたるメアリー・トランプが書いた暴露本です。トランプ大統領に迫ったマイケル・ダントニオによるルポルタージュ『Never Enough(まだ満たされない)』も意識したようなタイトルの本書は、7月下旬に出版予定ですが、現時点ですでに予約が殺到しトップにランクインしています。このテーマへのアメリカ国民の注目度の高さがうかがわれます。
6月には、トランプ大統領の末弟ロバート・トランプが行った出版差し止め請求が棄却されたことでも話題になった本書。内容は、トランプ大統領および4人のきょうだいも育った祖父母の実家で、メアリーが幼少期を過ごす中で見たことを、彼女の専門である臨床心理学の視点も織り交ぜながら分析しているとのこと。11月の大統領選にも影響するかもしれない全米注目の暴露本、刊行されたら読んでみたいものです。
若手実業家の新刊と大学教授の階級論
そして、2位に入ったのは、初登場の『Primitive』。今年4月に刊行されたこの本は、政府の要職経験者やFortune500企業のCEO、起業家などとともに仕事をした著者が発見した「成功者の共通点」を事例と共に紹介。彼らの共通点である「原始的な(primitiveな)考え方」が、あらゆるビジネスパーソンが抱える課題を解決してくれるといいます。往年のベストセラーとはまた違った、現代的な成功法則に興味のある方におすすめです。
最後に紹介するのは、10位の『From Here to Equality』です。こちらは、大学で公共政策やアフリカ系アメリカ人の研究をしている教授が、人種差別と経済の問題に迫った一冊。500ページを超える本書は、冒頭でも触れた黒人男性殺害事件とその抗議デモで再び大きな関心が寄せられている人種差別問題を、専門家の目線で的確に分析しています。アメリカ人だけでなく、われわれ日本人も読んで考えさせられる一冊です。
まとめにかえて
今月は、いまのアメリカ情勢に関連する本が多くランクインしました。コロナ、抗議デモ、大統領選と、今年は歴史に刻まれる年になりそうですね。
それでは、次回のランキングもお楽しみに!
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