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「これは盲点だった…」私立中学の受験で考えたい、お金以外の大切なこと。

LIMO / 2020年7月4日 20時35分

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「これは盲点だった…」私立中学の受験で考えたい、お金以外の大切なこと。

お子さんが私立中学の受験を検討し始めたとき、最初に「お金のこと」が気になるという人は多いと思います。受験準備の費用から入学時の納付金、そして、入学後にかかる想定外の出費…。

「いくらかかるのか」と同様に、しっかり見極めておきたいのが、「我が子に合った学校か」という点ですよね。中高一貫だった場合は6年間通う場所となります。今回は、中学受験を検討したときにぜひ考えておきたい「お金のこと」、そして「お金以外の大事なこと」について、筆者とその周辺の経験をまじえながらお話していきたいと思います。

少子化でも人気は健在

一般財団法人日本私学教育研究所や文部科学省の調査結果によると、2019年時点で、全国の中学校総生徒数は,321万8137人(※1)。1986年の約610万6000人から減少を続け、過去最少です。少子化・学校統廃合などにともない学校数も減っています。一方、その中で私立中学が占める割合は、生徒数・学校数ともに7%台で微増を続けているのです(※2)。少子化が進む中、教育に関心を持ち私立中学への進学を視野に入れる家庭は常に一定数いる、ということが分かります。

私立中学にかかる「お金」

ここからはお金の話です。受験を決めてから、実際に入学するまでにかかるお金を、順を追ってみていきます。

「4年生から4教科・大手進学塾」に通った場合を想定すると、単純に入学金・毎月の月謝だけで3年間の合計はざっくり約120~200万円。学年が上がるごとに費用が上がる傾向や夏期・冬期講習、補習のための個別指導費なども覚悟しておきましょう。入塾を検討する場合は、受験終了までどれくらいかかるか、という点から見積もることを忘れずに。

そのほか、電車やバスを利用する場合は、定期券や回数券を持たせる必要もあります。また今後は、COVID-19の感染拡大状況次第で、オンライン授業の活用がウエイトを占める割合が増えてくる可能性が。パソコンやタブレットなどのIT機器、通信環境の整備は、もはや必須といってよいでしょう。

学校

次は学校に支払うお金です。こちらは学校差が大きいため、生徒数・学校数ともに全国で最も多い東京都の金額を参考例として挙げましょう。以下、都内私立中学校181校を調査対象とした、東京都発表の「令和2年(2020年)度 都内私立中学の学費の状況(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/12/11/04.html)」からデータをご紹介します。

受験料

2020年度の都内私立中学校の検定料(受験料)の平均額は2万3200円。午前・午後で試験を実施する学校や、同一校で複数回受験できる学校も増えています。チャレンジの機会は増えますが、場合によっては検定料だけで10万円程度が必要となることも覚悟しておきたいところです。また、試験前日・当日までインターネット出願可能な学校も増えています。合否の状況を踏まえながら上手にスケジューリングしていけるとよいですね。

初年度納付金

2020年度の初年度納付金(授業料、入学金、施設費及び学則上のその他納付金(※3)については、以下のような調査結果が出ています。

初年度納付金(総額)
・平均額・・・97万531円
(最高額・・・189万500円・最低額・・・54万8000円)
■「初年度納付金(総額)97万531円の内訳」(※詳細・各費目)の平均額

授業料・・・48万0950円

入学金・・・25万8066円

施設費・・・42万36円

その他・・・18万9479円

※3「授業料」、「その他」は毎年度納付する費用、「入学金」、「施設費」は入学時に一括納付する費用
金額は、延べ学校数(コース等によって学費が異なる場合はそれぞれ1校として計算)の平均額

■「3年間で必要な費用」(平均金額(上述)をもとに算出)

1年次・・・97万531円

2年次・・・67万429円(授業料48万0950円+の他18万9479円)

3年次・・・67万429円(同上)

3年間合計・・・231万1389円

となります。

以上は「東京都内の私立中学の平均値」となりますが、学校差がある点や、在学中の値上げなども考慮しておくとよいでしょう。実際に2020年度は、都内の私立中学の22.7%にあたる41校が値上げを行っています。

また、入学後に必要となる学習費用は、公立中学と比較すると2~3倍以上となってきますので、私立受験をしようか、少しでも迷い始めた時点で、資金準備について意識しておいたほうがよいかもしれません。

お金に関することはひとえに「親のがんばり」がモノをいう部分かもしれませんね。小さいお子さんがいらっしゃるご家庭などが、教育費の準備をなさる際のご参考となればと思います。次では、我が子の中学受験でさまざまな経験をされたみなさんの声を聞いていきましょう。

子どもの私立中学受験「想定外のできごと」

ここからは、我が子の中学受験や進学を通じて、予想外のできごとを経験したというみなさんの声をご紹介します。

「学力」だけは乗り越えられなかった受験

「長女が私立中学に進んだので、2つ下の長男も当然のように中学受験をさせるつもりでした。小3から通い始めた塾では常に成績トップクラス。言い方悪いけどお姉ちゃんより数ランク上の学校に受かるだろうと期待していました。ところが、小6の夏に異変が…。

塾から『他の子のスマホをとりあげて、トイレの大便器に突っ込んだ』という報告を受けビックリ。学校では友達に暴力をふるいケガをさせたり、女子の上履きの中にゴキブリの死骸を入れたり、などの問題行動が続くようになりました。

そんなとき担任の先生からひと言。「受験がプレッシャーになっていませんか?」

夫婦で息子と話し合いをしました。そこで聞いたのは息子の偽らざる本音でした。
『ママが希望するランクの中学に受からなかったら、ママに嫌われちゃうかもしれないから、怖い』

確かに息子は、学力の面では「姉より上」でした。でも、「受験生活に耐えうるメンタル」は姉の方が格段に上だったのかも、と気が付いたのです。男の子は女の子に比べると「幼い」ですものね。進学塾は退塾させ、受験はやめることにしました。息子は穏やかな笑顔を取り戻し、問題行動もなくなりました。幼なじみたちと一緒に、地元の公立中学に進学しています」

「外部生さん」って呼ばないで!?

「長女の私立中学は、学年の約70割が系列の小学校からの内部進学組でした。でも、残りの3割はみんな初対面なのだから、さほど心配はなかろうと思っていました。ところが入学当初の長女いわく『むっちゃ違和感ある』

日ごろの会話で、『外部さん』『外部の人』と呼ばれているとのこと。入部した吹奏楽部は、小・中・高と合同練習もしているので、「外部さん数名」以外はみんな知り合い。年齢的には後輩にあたる小学生に対して敬語を使うかどうか悩んだり…と、入部当初のアウェイ感は半端なかったそうです。

同じ学校で机を並べているのに、外部って呼び方にモヤモヤを感じるのは私たちだけでしょうか」

通学定期で寄り道したい放題!

「娘が選んだ中学は、都内でも有数の文教地区、しかも閑静な住宅街の中にあります。学ぶにはこの上ない環境を魅力に感じ、毎年志願者も増えているとのこと。教育方針も我が家のポリシーとぴったりで、ここに入れてよかった!と思いました。

ところが、中3あたりから、学校帰りの寄り道が増え、頻繁に「お小遣いが足りない」というようになりました。よくよく聞くと、原宿や渋谷などでタピオカドリンクを飲みながらおしゃべりしていたとのこと。盲点でした!学校の周りは環境抜群だけど、通学定期が繁華街通い放題のフリーパスと化していたのです…。

下の子の進学先は、通学経路についてもしっかりリサーチしないと、と思っています」

オンライン授業で格差が…

「長男は公立中学3年生、長女は私立中学2年生です。娘はミッション系の女子校なのですが、校則やマナー指導が厳しく、宗教の時間を窮屈に感じるなど、頻繁に不満を漏らしていました。もしや学校選びに失敗したかな?と思っていた矢先のコロナ休校でした。

息子の公立中学では、週に1回、先生が課題のプリントを各家庭にポスティング。それを解いて、答え合わせまでしたものを後日提出する、というシンプルな対応でした。冬の受験、大丈夫かしら?と思わず心配に…。

一方、娘の学校の対応は早かった!4月旬には先生お手製の動画授業を配信開始。ゴールデンウイーク明けからは、双方向型のオンライン授業が始まりました。朝決まった時間にログインして、ほぼ通常の時間割通りに授業が行われるようになり、乱れていた生活リズムも次第に整ってきました。さすが私立!と思いましたが、お友だちの話を聞くと、オンライン授業への取り組み具合は、私立間でもだいぶ学校差があるようですね」


どの体験談も、実際に受験勉強を始めたり、子どもを通わせたりして、初めて分かったいうことばかり。入学前の判断材料となるのは、「お金」「偏差値」「進学率」など、学校案内や情報サイトに載っている部分が多くなるのは自然なことですからね。

まとめにかえて

子どもたちの学校もようやく通常運転に向けて再始動、と思いきや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染第二波の到来を思わせる状況が続いています。今年は多くの私立中学校が入試説明会などのイベントをオンラインで実施することを発表していますね。おうちにいながら、より多くの学校の情報収集ができる、と前向きにとらえ、積極的に活用してみてください!

次年度の受験からは、オンライン授業や感染症対策への取り組みなど、これまでになかった要素も学校選びの基準となってきそうです。知り合いに在校生がいたら、ぜひ生の声を聞いてみましょう。ご家庭の教育方針や、お子さんの性格に合う学校を考えたときに、「うちの子もしや私立かな?」と思い始めたら、早めのリサーチをお勧めします。

【参考】
(※1)「令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について(https://www.mext.go.jp/content/20191220-mxt_chousa01-000003400_1.pdf)」」文部科学省
(※2)「学校数の推移(http://www.shigaku.or.jp/news/school.pdf)」「生徒等数の推移(http://www.shigaku.or.jp/news/student.pdf)」一般財団法人日本私学教育研究所
(※3)「学校基本調査 令和元年度 初等中等教育機関・専修学校・各種学校《報告書掲載集計》 学校調査・学校通信教育調査(高等学校) 中学校(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%20%E9%83%BD%E9%81%93%E5%BA%9C%E7%9C%8C%E5%88%A5%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%95%B0%E3%80%80%E4%B8%AD%E5%AD%A6%E6%A0%A1&sort=open_date%20desc&layout=dataset&stat_infid=000031893742&metadata=1&data=1)」
「令和2年(2020年)度 都内私立中学の学費の状況(https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/12/11/04.html)」東京都

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