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専業主婦の年金、増やすにはどうすればいいの?

LIMO / 2020年7月11日 18時45分

専業主婦の年金、増やすにはどうすればいいの?

専業主婦の年金、増やすにはどうすればいいの?

老後生活における収入の主な柱となるのは、やはり「年金」です。自分がもらえる年金の「見込み額」は誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認できますが、もし専業主婦/主夫が「足りない…」と思った場合は、どうすれば良いのでしょうか。

今回は専業主婦/主夫の年金についてみていきます。

専業主婦/主夫の年金の仕組みとは

専業主婦/主夫の年金を積み立てるパターンは2つあります。

夫/妻が自営業などで国民年金に入っている場合と、夫/妻が会社員や公務員など厚生年金に加入している場合です。前者は家計から主婦/主夫の保険料を捻出しなくてはいけません。後者は「第3号被保険者」と呼ばれ保険料の納付義務がなく、保険料は夫/妻が加入する年金制度が一括して負担します。

実際に保険料を納めていないのに、専業主婦/主夫は老齢基礎年金を受給できます。これが会社員や公務員の妻が優遇されていると批判されているゆえんですが、この記事ではその批判は置いておいて、広く専業主婦/主夫の年金を増やす方法について考えてみます。

自営業の配偶者が年金を増やす方法

自営業の配偶者には年金を増やす公的な制度が用意されています。「国民年金基金」(https://www.npfa.or.jp/)と「国民年金付加年金制度」(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/20150331-03.html)です。

国民年金基金は自営業の方と会社員・公務員の方との年金額の差を埋めるために作られた制度です。もちろん自営業の配偶者も利用できます。保険料の掛金が自分の状況に合わせて選べる上、全額が所得控除になるため、所得税や住民税が少なくなります。

付加年金制度は、国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)が納付できる制度です。国民年金の保険料に毎月400円を増額して収めると、「200円×付加保険料納付月数」が支給されます。例を挙げてみると、40年間毎月400円を納めると19万2,000円(40年×12カ月×400円)になります。これに対して、毎年9万6,000円(40年×12カ月×200円)が年金に上乗せされます。2年間払い戻しを受けたらモトが取れる計算です。

年金を増やす制度が2つ用意されていますが、両方を同時に利用することはできません。どちらかを選ばないといけないことは覚えておきましょう。

この2つの制度以外にも、個人年金などを利用するのも実質的に年金を増やす手段と考えていいでしょう。そしてもう1つ、年金を増やす方法として考えられるのは、働いて厚生年金に入ることです。これについては後ほど取り上げることにしましょう。

第3号被保険者が年金を増やす方法

第3号被保険者、つまり会社員や公務員の配偶者が積極的に年金を増やす方法は用意されていません。第3号被保険者は「国民年金基金」や「国民年金付加年金制度」を使えないのです。ただし、個人年金を利用したり、働いて厚生年金に入ることはできます。

文字通り「年金を増やす」ことだけに着目するならば、離婚した場合、配偶者の厚生年金を分割する年金分割も、結果的に年金が増える方法です。

この制度を利用したほとんどの方が配偶者の厚生年金記録の半分を手にしています。2018年に離婚分割をした人の97.6%が按分割合を半分としました(※1)(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_h30.pdf)。同年の離婚件数は21万2,871件だったのに対し、合意分割をしたのは2万1,841件に留まっています。まだまだ年金分割の制度を使っていない人もいるようです。分割の請求期限は離婚してから2年以内なので、手続きをしていない方は早めに対処するのが良いでしょう。

働いて厚生年金に入る

専業主婦/主夫が年金を増やす手段として、働いて厚生年金に入るというのも1つの方法です。「働いたら専業主婦/主夫とはいえないじゃないか」という方もいるでしょう。

しかし、専業主婦/主夫をやめて働く人や始めから専業主婦/主夫を選ばずに働き続ける人の数は増え続けています。ほとんどが女性の専業主婦かパートと言われる第3号被保険者の数は10年間で約200万人減りました。

(/mwimgs/2/6/-/img_268ab17bb93495830e79815cf5541c9511381.png)

拡大する(/mwimgs/2/6/-/img_268ab17bb93495830e79815cf5541c9511381.png)

国民年金第3号被保険者の推移(厚生労働省の資料をもとに編集部作成)

逆に厚生年金に加入している女性は2014年度から2018年度までの5年間で約200万人増えています(※2)(https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf)。また、年金制度改正によって厚生年金に入る女性はますます増えると予想されます。

短時間労働者への厚生年金適用を拡大

主婦/主夫にとって就職先としてハードルが低いのはパート・アルバイトですが、これまではパートなどの短時間労働者はなかなか厚生年金に加入する機会がありませんでした。しかし、政府は国民年金だけの短時間労働者も厚生年金に入れるよう、2020年3月に年金制度改正法案を国会に提出、5月に通常国会において「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、6月5日に公布されました(※3)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html)。

厚生年金に関わる主な改正内容は、対象企業の規模(現行500人超を2022年10月に100人超、2024年10月に50人超にする)と勤務期間(現行1年以上見込みを2カ月超にする)の2点です。政府は、企業規模要件の見直しで約65万人が厚生年金に新規加入する見込みだとしています。もしこれからパートを探すのなら、厚生年金の有無を判断のポイントにするのも良いでしょう。

厚生年金に入ることで年金の受取額が増える一方、保険料の支払いで手取りは減ります。しっかり稼げば収入は増えますが、所得税や住民税も上がります。このようなメリットとデメリットがあることを踏まえ、働き方を検討してみましょう。

まとめ

専業主婦/主夫の方が年金を増やす方法を見てきました。いろいろな方法がありましたが、基本的な考え方は「保険料をたくさん収めると、年金受給額も増える」に尽きます。そのためには、配偶者にもっと稼いでもらうか、自分も稼ぐか、追加して積み足せる制度を利用するか、です(年金分割もありましたね)。老後の生活を安定させたいなら、何かアクションを起こしてみることをおすすめします。

参考

(※1)「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業年報」(https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/toukei/nenpou/2008/dl/gaiyou_h30.pdf)厚生労働省
(※2)「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(https://www.mhlw.go.jp/content/000578278.pdf)厚生労働省
(※3)「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00006.html)厚生労働省
「みんなの年金額と、老後に必要な生活費はどれくらいか?」(https://limo.media/articles/-/18072)LIMO

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