1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

もったいない! 節税になるのに使われないNISA口座が多いのはなぜなのか

LIMO / 2020年7月11日 8時0分

もったいない! 節税になるのに使われないNISA口座が多いのはなぜなのか

もったいない! 節税になるのに使われないNISA口座が多いのはなぜなのか

少額投資非課税制度の現状

NISAの利用状況は「残念な結果」に…

先月末、金融庁による「NISA口座の利用状況調査(2019年12月末時点/2019年対象)(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20200630/01.pdf)」が公表されました(図表1はその一部抜粋です)。

その中でのNISA利用状況は、かなり残念な結果になっています。なぜ残念なのかの分析は後段で述べますが、読者のみなさん、そもそもNISA(ニーサと読む)ってご存知でしょうか。

NISAを全部説明すると大変なので、ここではごく簡単に概要を記します。

NISAとは少額投資非課税制度のことで、年間一定額の有価証券投資(株式や投資信託等の購入)をした場合の利益が非課税になる制度です。つまり、元本がNISAで決められた限度額以内であれば、株を買って儲けても、その儲けに対する税金は必要ありませんという、とてもありがたい制度です。

NISAには大きく分けて2種類あります。年間120万円までの投資が非課税になる「一般NISA」と、最長20年間・年間40万円までの積立投資が非課税になる「つみたてNISA」があります。

詳しくは、金融庁ウェブサイト「NISAとは?(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html)」のページを見てみてください。

図表1:つみたてNISA口座の利用状況(口座数、0円は非稼動口座)

(/mwimgs/b/4/-/img_b46762343c500359f82522764f526d89142194.jpg)

拡大する(/mwimgs/b/4/-/img_b46762343c500359f82522764f526d89142194.jpg)

出所:金融庁 「NISA 口座の利用状況調査(2019年12月末時点)」より抜粋

NISA口座を使っているのは口座を持つ人の半分以下

さて、何が残念なのかです。

まず、つみたてNISA全体の稼働率は42%と、口座数の半分以下となっていることです。逆に言うと、つみたてNISA口座を開設したものの、2019年を通して積立額がゼロであった口座数(非稼働口座)が全体の6割近くあったということです。

いったい何のために少額投資(年間最大40万円)で20年間も積立できるつみたてNISA口座を開設したのでしょうか。そもそも、NISA口座は複数の金融機関に重複開設できない上に、一般NISAもしくはつみたてNISAかの選択制ですから、つみたてNISA口座につみたて額がゼロということは非課税口座での投資をする気がないということです。

口座開設までしたのに、つみたてNISAを利用しなのは非課税口座そのものを使わないことですから、能動的に口座開設したとは思えません。銀行か証券会社かに頼まれて口座開設だけして、あとは放ったらかしなのかもしれません。いずれにせよ、節税という観点では、かなりもったいない経済行動です。

他方、一般NISAの稼働率を見ると、状況は似たようなものです。稼働率は44%、口座内に運用資金がゼロである口座の非稼働率は56%と、半分以上は“口座を開けただけ”状態で使われていないのです。

いずれの非課税口座も利用しないのには、それなりの理由があるはずです。しかしながら、なぜか金融庁のレポートではその理由についての記載はありません。そこで、筆者がその理由を考えてみました。

NISA口座(つみたて/一般)を使わない理由を推測(順不同)

    運用資金がない:もともと投資する資金がないので放ったらかしにしてある。お金はないけど、なぜかノリで口座開設してしまった。

    金融機関との付き合いで口座開設した:NISAの内容は知らず、特段利用するつもりもなかったが、金融機関に勧められて開設。現在は放ったらかし。

    適切な金融商品がなかった:NISA口座を開設して投資する予定だったが、考えていたような金融商品がなかった。金融機関によりNISA対象金融商品が異なることは後で知った。

    NISA枠の上限管理が煩雑:一般NISAの口座枠(年間120万円)を毎年管理するのが面倒。

    運用期間が長すぎるつみたてNISA/制度自体が短命な一般NISA:つみたてNISAはつみたて期間が最長20年と長すぎると感じる一方で、一般NISAは2023年までと制度自体が短命。運用後非課税メリットが享受できるかどうか不明。

    上記1〜5以外の理由または重複理由。

筆者は、一般NISAからつみたてNISAに乗り換えましたが、理由は上記4と5のミックスです。一般NISAは非課税枠上限が引き上げられたり(毎年100万円→120万円)、制度自体2023年までと短かったりと、使い勝手が悪かったからです。

つみたてNISAであれば所定の投資信託で毎月のつみたて額をセットしておけば、金融機関(ネット証券)が自動的に年間40万円の枠内で自動的に購入してくれます。

非課税枠をもっと活用しよう

いずれにしても、せっかく非課税制度が利用できるのにもかかわらず、一般NISAもつみたてNISAも利用者が半分以下というのは何らかの問題があると思います。金融庁の当該レポートでは、次回からぜひ、口座を利用していない理由や金融機関種類別の非稼働率を開示してほしいものです。

加えて、金融機関の担当者でさえ、いずれかのNISA口座を利用していない可能性もあります。あまり知られていませんが、昨今のコンプライアンス上の要請で、銀行や証券会社の社員は株式や投資信託の購入に対し一定の制限がかかり、実質的に売買できない場合がほとんどです。

本来、お客さんにアドバイスをしなければならない金融機関担当者が資産運用できなければ、彼らにプロとしての意見を求めるのは難しいかもしれません。

ことほどさように、非課税口座でさえその半分以上が使われていないというのはかなりショッキングです。しかしながら、逆説的にはNISAの中身をしっかり理解してうまく非課税枠を利用すれば、それなりの資産形成ができるチャンスが目の前に転がっているということです。

金融リテラシー云々もありますが、要するに自分のお金をどうすれば増えるのかを真剣に考えれば、自ずと資産形成方法は見えてきます。

ということで、個人的にはNISA枠は目一杯使うべきと考えます。なぜなら、「使われない非課税枠なら撤廃!」と、いつ金融庁が言い出すかわかりませんから。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください