「公務員は高給取り」って本当?~公務員と会社員の給料をデータで比較してみた~

LIMO / 2020年7月17日 18時45分

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「公務員は高給取り」って本当?~公務員と会社員の給料をデータで比較してみた~

地方に住むK子さん。夫は市役所に勤務しています。そんなK子さんには、親戚の集まりなどでよく言われることがあります。それは、「ご主人、公務員だからお給料いいわよね。うらやましい」ということ。

たしかに、夫の給料は安定しており、日々の生活に不安を感じることはありません。でも、よその家より収入が特別多いという感じることもなく、生活もいたって普通。夫のスーツは量販店で購入したものですし、家族の洋服も近所のショッピングセンターのセールで購入することがほとんど。外食も月に数回程度で、普段の食事もスーパーと特売品を普通に利用します。だからK子さんは、時々不思議に思うのです。

「公務員って、そんなに高給取りに見えるものなのかしら?」

今回は、公務員と会社員の給料について、見てみましょう。

アンケートに見る「親が就かせたい職業」

まず㈱クラレが2020年4月に公表したアンケート調査「将来就きたい職業、就かせたい職業 2020年」(https://www.kuraray.co.jp/enquete/2020)の結果を見てみましょう。この調査は、2020年4月に小学校に入学する子とその親に対してヒアリングした、子どもが就きたい職業と、親が就かせたい職業を男女別にまとめたものです。

(対象:2020年4月に小学校に入学する子どもとその親、方法:〈クラリーノ〉製ランドセルを購入した人にアンケートを実施、2019年7月~2019年12月のインターネット回答分から有効回答を抽出、有効回答:子ども4,000名(男女各2,000名)、その親4,000名)

子どもが就きたい職業

<男の子>
1位:スポーツ選手
2位:警察官
3位:運転士・運転手

<女の子>
1位:ケーキ屋・パン屋
2位:芸能人・歌手・モデル
3位:看護師

親が就かせたい職業

<男の子>
1位:公務員
2位:医師
3位:会社員

<女の子>
1位:看護師
2位:公務員
3位:薬剤師

子どもが就きたい職業には、男の子が「スポーツ選手」、女の子が「ケーキ屋・パン屋」が不動の1位となった一方で、男の子の10位に「ユーチューバー」が登場するなど、イマドキといった印象を受けるランキングとなっています。

そして、親が就かせたい職業では、男の子、女の子ともに「公務員」がトップ3にランクイン。「公務員なら将来的にも安心」と考えている人がとても多いことがうかがえます。先行き不透明な昨今、「安定感」が支持されているのかもしれません。

データに見る公務員・会社員の給料事情

では実際、公務員の給料事情というのは、会社員と比べてどうなのでしょうか?各種統計資料をもとに、公務員、会社員の月給を比較してみましょう。

国家公務員

人事院勧告の「平成31年(2019年)国家公務員給与等実態調査」(https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/)によると、国家公務員の平均給与月額は以下の通りとなっています。

全職員・・・41万7,683円

なお、このあとの地方公務員の月給と比較しやすいように、一般行政職の月給を挙げておくと、以下のようになります。

一般行政職員等・・・41万1,123円 平均年齢43.4歳

(平均給与月額は、俸給と諸手当(地域手当、広域移動手当、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当、扶養手当、住居手当、単身赴任手当(基礎額)、寒冷地手当、特地勤務手当等)の合計額となっています。ただし、特殊勤務手当や通勤手当、超過勤務手当などの実費弁償的または実績支給である給与は含みません)

地方公務員

総務省の「平成31年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000660140.pdf)(2019年)によると、地方公務員の一般行政職の平均給与月額は以下の通りとなっています。

全地方公共団体(一般行政職)・・・40万6,201円 平均年齢42.1歳

(平均給与月額・・・平均給料月額と諸手当月額を合計したもの。平均給料月額には給料の調整額を含みます。また諸手当月額とは、月ごとに支払われることとされている扶養手当、地域手当、住居手当、特殊勤務手当、 時間外勤務手当等の諸手当の額を合計したものとなっています)

なお、国家公務員と比較しやすいように、公表資料と同じベース(=時間外勤務手当等を除いたもの)の金額は以下のようになります。

全地方公共団体(一般行政職)・・・36万2,047円

会社員

会社員の平均給与は、国税庁の「平成30年(2018年)分民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/001.pdf)より把握することができます。ただしこちらは年収での記載となっています。

会社員の平均年収…440万7,000円
(うち平均給料・手当371万円、うち平均賞与69万7,000円)

ちなみに、上記の公務員と比較しやすいよう、「うち平均給料・手当371万円」を月平均になおしてみると、30万9,166円となります。

会社員のほうは、諸手当込みの金額となるため、単純には比較できませんが、公務員の給与(諸手当を抜いた金額)は、会社員の月当たりの給料の金額を超えています。公務員のほうが給与は高いというのは、あながち嘘ではないということかもしれませんね。

ただし、会社員は企業規模、地方公務員は自治体によって給料が違う

ただ、当たり前のことですが、ひとくちに会社員といっても、勤務先は大企業から小規模な会社まで様々。「そんなにもらってない」という人もいれば、「いや、もうちょっともらっている」という人もいるでしょう。地方公務員も同じです。同じ職種でも給与は異なります。

地方公務員の団体区分別の平均給与(一般行政職)

前述の総務省の「平成31年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000660140.pdf)(2019年)によると、地方公務員の一般行政職の平均給与月額は以下の通りとなっています。(カッコ内は諸手当を含めない金額)

都道府県・・・41万2,987円(32万5,365円)  平均年齢42.9歳

指定都市・・・43万6,783円(31万9,895円)  平均年齢41.8歳

市・・・・・・40万1,621円(31万6,496円)  平均年齢41.8歳

町村・・・・・36万571円 (30万2,587円)  平均年齢41.3歳

特別区・・・・42万7,789円(30万4,486円)  平均年齢40.8歳

諸手当を除いた金額はさほど差がないように見えますが、諸手当も含めたトータルの金額で見ると、団体区分によってずいぶんと差があるように感じますね。

企業規模別の会社員の平均給与

厚生労働省が公表している「令和元年賃金構造基本統計調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html)(2019年)によると、企業規模別の賃金(※)は以下の通りとなります。ちなみに、ここでいう「企業規模」とは、「調査労働者の属する企業の全常用労働者数の規模」をいい、常用労働者 1,000人以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」に区分しています。
なお、こちらは男女別での集計となっています。

<男性>

大企業:38万300円    平均年齢42.9歳 勤続年数15.6年

中企業:32万3,200円   平均年齢43.5歳 勤続年数13.3年

小企業:29万7,100円   平均年齢45.6歳 勤続年数11.8年

<女性>

大企業:27万900円    平均年齢40.5歳 勤続年数10.3年

中企業:24万8,100円   平均年齢42.0歳 勤続年数9.7年

小企業:22万8,700円   平均年齢43.1歳 勤続年数9.2年

※この調査における賃金とは
「賃金」は「6月分の所定内給与額」を意味します。「所定内給与額」とは、労働契約等であらかじめ定められている支給条件、算定方法により6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(①時間外勤務手当、②深夜勤務手当、③休日出勤手当、④宿日直手当、⑤交替手当として支給される給与をいう)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額とします。

まとめ

あくまで平均値での比較ですが、公務員のほうが若干高めなものの、とびぬけて高いというこことでもないようです。また、冒頭のK子さんの、「特別多いとは感じない」という感覚は当たっているようにも思えます。

ただ、公務員の場合、基本的にはボーナス2カ月分が夏冬の2回支給されます。会社員の賞与は業績に左右されてしまうところもありますので、年収でみると、やはり会社員より公務員のほうがいいということになるのかもしれませんね。

ただ、データ中の平均年齢をみると、ある程度の年齢にならないと、これだけの金額はもらえないということがわかります。このため、どちらにしても、若いうちから高給料ということはなさそうです。

参考

「将来就きたい職業、就かせたい職業 2020年」(https://www.kuraray.co.jp/enquete/2020)クラレ
「平成31年(2019年)国家公務員給与等実態調査」(https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/)人事院勧告
「平成31年地方公務員給与実態調査結果等の概要」(https://www.soumu.go.jp/main_content/000660140.pdf)総務省
「平成30年分民間給与実態統計調査」(https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2018/pdf/001.pdf)国税庁
「令和元年賃金構造基本統計調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/index.html)厚生労働省
「生涯年収がもっとも高いのは公務員?それとも大企業の正社員?」(https://limo.media/articles/-/16433)LIMO

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