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年収1000万円だと、もらえなくなるお金とは

LIMO / 2020年7月27日 18時45分

年収1000万円だと、もらえなくなるお金とは

年収1000万円だと、もらえなくなるお金とは

Sさんは、夫と子ども2人の4人家族。共働きをしています。子どもが小さい頃は、パート勤務で、夫の扶養の範囲内に収めていましたが、子ども達がある程度大きくなり、会社の勧めもあったことから、数年前から正社員になり、扶養を外れて働くようになりました。

収入は増えましたが、子供たちの成長に伴って、塾や部の活動費など、様々なものにお金がかかるようになっており、増えた分の収入はそれらの支出に消えていきました。衣食住に関しては、ここ数年間、ずっと同じぐらいのレベルです。

しかし、この春のこと。高校に入学した下の子の「高等学校等就学支援金」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)の手続きをしようとしたSさん。上の子の時と同じように書類を作成しながら、ふと気が付きました。「あれ、もしかしてウチ、対象外…?」

それだけ必要だからと稼いでいるうちに、いつしか世帯年収が上がっていて、Sさん夫婦は、周囲から見ると「高収入」になってしまっていたようなのです…。

データに見る、共働き世帯数の推移

前述のSさんのお宅は、共働きでした。まずは、共働き世帯数についてのデータを見てみましょう。

厚生労働省所管の独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が、厚生労働省や総務省などの各種統計をもとに算出した専業主婦世帯と共働き世帯共働き世帯の推移(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html)は、以下のようになっています。

(/mwimgs/b/a/-/img_bac39c556311c89f237b19a0295eb48631449.png)

拡大する(/mwimgs/b/a/-/img_bac39c556311c89f237b19a0295eb48631449.png)

「専業主婦世帯と共働き世帯の推移」(JILPTの資料をもとに編集部作成)

専業主婦世帯数は右肩下がり、対する共働き世帯数は右肩上がり。1990~2000年にかけては、ほぼ同じぐらいのときもありましたが、今では共働き世帯数が専業主婦世帯数の約2.5倍となっています。

今や、「夫が外で働き、妻が家を守る」ではなく、「夫婦2人で家計を支える」というスタイルが当たり前の時代になっているといえるでしょう。

いままではうけることができたのに…。所得制限でもらえなくなるお金

ふたりで稼げば、それだけ家計は潤いますが、一方で受けることができなくなる恩恵もあります。それが、Sさんがうけようとした「高等学校等就学支援金」をはじめとする、子どもに関するお金です。

「高等学校等就学支援金」とは

「高等学校等就学支援金」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)とは、「高等学校等就学支援制度」に基づき、国公私立問わず、高等学校等に通う所得等要件(注1)を満たす世帯の生徒に対して、授業料に充てることを目的として支給されるお金です。

2020年からは、私立高校に通う生徒へ支援が手厚くなるように変更されており、モデルケースの世帯(両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の子どもがいる世帯)において、年収約910万円未満であれば、支給された金額との相殺で授業料がほぼ無料になるという、子を持つ親にとってはとてもうれしい制度といえます。

Sさん夫婦は、知らず知らずに、このラインを超えてしまったというわけですね。

(注1)

令和2年6月支給分まで:保護者等の道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合算額が50万7,000円未満

令和2年7月支給分以降:保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整控除額で計算される算定基準額が30万4,200円未満(ここでいう「保護者等」とは、「原則、親権者(両親がいる場合は2名の合算額)、親権者がいない場合は扶養義務のある未成年後見人、保護者がいない場合は主たる生計維持者又は生徒本人」となっています)

「児童手当」にも所得制限がある

「高等学校等就学支援金」のほかにも、「児童手当」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)にも所得制限があります。

これは、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人が対象となるもので、月当たり、3歳未満は一律1万5,000円、3歳以上小学校修了前までは1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生は一律1万円が支給されるというものです。

こちらも、「高等学校等就学支援金」同様、所得制限があり、所得制限を超えてしまった家庭については、子ども一人につき、一律5,000円が支給されることとなっています。

ちなみに、モデルケースの世帯(両親のうちどちらか一方が働き、子供2人がいる世帯)だと、年収約960万円が限度額になるといわれています。

セットで把握しておきたい「総支給額」と「手取り」

収入金額と聞くと、私たちはついつい銀行口座に振り込まれた金額を想像しがちです。ところが実際は、会社が給与として社員の口座に振り込むのは、基本給と諸手当を合わせた総額から、所得税や社会保険料(厚生年金、健康保険、雇用保険など)といったものを差し引いた残りの金額となっています。つまり、私たちが自分の年収を考える時は、「引かれる前の金額」と考えなくてはいけません。

例えば、夫が年収1,000万円、妻は専業主婦、子どもが2人(18歳、15歳)という世帯の場合、面倒な計算はさておきざっくりと計算すると、社会保険料は、年収1,000万円のケースで月15万円ぐらいになります。また、所得税は10万円ほど。

年収を12カ月で割ったものを月給として考えると、約83万円になりますから、1カ月あたりの手取りは約60万円ということになります。

共働きの場合、それぞれの口座への入金となります。もしかしたら、Sさんは手取りだけに気を取られて、「総支給額」が見えていなかったのかもしれません。世帯収入に限ったことではありませんが、収入を考える時は、「総支給額」と「手取り」をセットで把握しておくことをおすすめします。なお、「総支給額」は、毎月の給与明細の数字を合算してもよいですが、年末調整時に発行される源泉徴収票を見れば、簡単に把握することができます。

まとめ

年収が上がって、「高等学校等就学支援金」がもらえなくなったり、「児童手当」が減額になったとしても、トータルでマイナスになるということは基本的にはないようです。ただ、「ずっともらえるつもりで、支出の予定を立てていた」というような場合、下手をすれば赤字ということにもつながりかねません。

共働きの場合、夫婦別財布というご家庭もあるかもしれませんが、やはりせめてどちらか一方だけでも、世帯の収入は正確に把握できるようにしておいたほうがよいでしょう。

参考

「高等学校等修学支援金制度」(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm)文部科学省
「早わかり グラフでみる長期労働統計 図12 専業主婦世帯と共働き世帯」(https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0212.html)JILPT
「児童手当制度のご案内」(https://www8.cao.go.jp/shoushi/jidouteate/annai.html)内閣府

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