頑張りすぎない介護は「家族の負担を減らす介護サービス」の活用から。
LIMO / 2020年7月26日 11時45分
頑張りすぎない介護は「家族の負担を減らす介護サービス」の活用から。
「レスパイトケア」という発想
筆者は看護師として、多くの医療従事者、介護士、そして家族が、それぞれの立場で患者や高齢者と向き合う姿を見てきました。その経験から感じているのは、
「真面目な人ほど看護や介護に疲れ、体調を崩してしまう傾向がある」ということです。
病気の人や高齢者をケアすることは、肉体的・精神的にも負担がかかります。本記事では主に、家族の介護を上手に乗り切るために知っておきたい考え方や、ぜひ活用すべき制度についてお話しします。
「完璧」を求めるとキリがない
看護師として病院に勤務している時、同僚や患者家族のこんな声をよく聞きました。
「私がしっかりしていれば…」
「あの時、もっと何かできたはず…」
家族を自宅でお世話しきれなくなった、患者さんの臨終に立ち会った、といったときに、このような後悔の気持ちを持つ人が少なくありません。誠実さと優しさからくる言葉です。
でも、正直なところ、看護や介護において「完璧」を求めていくとキリがないのです。看護師や介護士のようにプロとして携わる場合はさておき、生活や仕事を抱えた家族が完璧を求めてしまうと、必ずどこかで無理がきます。
「レスパイトケア」という概念
「住み慣れた自宅でお世話をしあげたい」という気持ちは、とても素晴らしいものです。介護される側にとっても、理想的である場合が多いでしょう。
でも、家族だけで抱え込んでしまい、介護をする側が倒れてしまったら元も子もありません。そこでまず「第三者の力を借りる」という発想を持ってみましょう。
「レスパイトケア」という概念をご存じですか?
介護する側の負担を減らし、リフレッシュや休息をとる「介護者のための」サービスです。レスパイトとは、「一時休止」や「休息」という意味。介護保険が適用されるもの、自費で利用するもの、医療保険の適用となるものなど色々あります。それらを少し紹介していきます。
介護保険が適用されるレスパイトケア
訪問介護・訪問入浴介護
介護士に自宅へ来てもらい、食事や入浴、排泄などの介助や、家事の援助、通院などの外出時の付き添いなどの面でサポートが受けられるものです。
1時間~数時間の自由な時間が欲しい時に利用でき、「週に何回」など定期的に使っている人が多いです。
デイサービス(通所介護)
送迎付きで、介護施設に日中通う介護サービス。健康チェックから始まり、リハビリや入浴、食事などを行います。朝から夕方まで介護施設で過ごすことになるので、家族がまとまった時間の外出などがしやすくなります。
また、デイサービスは、リハビリやレクリエーションなど、利用者が楽しめるメニューが多く用意されているため、定期的に使用している人も多くいます。
ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
最短1泊から最大30日間連続で、介護施設を利用できるものです。まとまった期間、介護から解放されるため、旅行や出張など、長期間家を空けることもできます。
各種レスパイトサービスの中でも、最も介護者の負担を軽減し、リフレッシュ効果が高いサービスでしょう。(ただし、医療行為を行うものではありません。※後述「レスパイト入院」を参照)
自費利用・医療保険適用のレスパイトケア
家事代行・食事宅配
介護保険の適用はありませんが、自費利用のレスパイトケアとしては、家事代行や配食サービスなどがあります。日頃の家事などをおまかせすることで、それ以外の介助、家族自身の用事やリフレッシュの時間が確保できる、といったメリットがあります。
ただし、家事代行サービスは、ホームヘルパー(訪問介護員)による訪問介護とは異なり、入浴、排せつ、食事等の介助といった「介護」の部分は提供できない、という点に注意が必要です。
レスパイト入院
最後にご紹介する「レスパイト入院」の目的は、治療ではなく「介護者のリフレッシュ」です。医療保険が適用され、「医療的な処置が可能」という点が、ショートステイと大きく異なります。介護施設のショートステイでは対応が難しい、人工呼吸器や胃ろうなどの医療措置が必要な方でも利用できます。
利用を検討されたい場合は、かかりつけ医やケアマネジャーに相談してみてください。
「あなたらしい介護」でよいのです
「介護をがんばろう」という気持ちが積み重なっていくと、次第に「がんばらなくてはならない」という義務感になってしまうことも。その義務感が、どんどん心に負荷をかけていってしまいます。
あなたが倒れてしまうと、介護されている人まで倒れてしまいます。そんな共倒れが起きてしまう前に、ぜひ、「介助や家事をアウトソーシングする」という発想を持ってください。
頼れるサービスには頼りましょう。後ろめたさを感じる必要はありません。これは「頑張りすぎない介護」をするために、とても大切なことです。
最後に私が伝えたいのは、
「あなたができる範囲で介護をすればよい」ということ。そしてあなたの介護に寄せる気持ちへの感謝です。
あなたの日頃の頑張りによって、介護される人、そして看護師や介護士など、多くの人たちが助けられている、ということを、ぜひ知っておいてください。
【参考】
「介護保険の解説 -サービス編 介護事業所・生活関連情報検索」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/service.html)厚生労働省
「レスパイト入院について(https://nanao.hosp.go.jp/inpatient/respaito.html)」独立行政法人国立病院機構七尾病院
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