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コロナ禍で外食株の明暗を分けるカギとは

LIMO / 2020年7月27日 20時0分

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コロナ禍で外食株の明暗を分けるカギとは

ガスト、サイゼリア、吉野家、松屋、すき家、マクドナルドの月次データから

新型コロナウイルスの感染に伴って人々の外出や店舗の営業が規制される中、外食株の事業環境は悪化している。ただ、月次リリースを見ると各社で影響の度合いは大きく異なるようだ。今回は足元の売上が好調・不調な企業をいくつか紹介したうえで、何が決め手となっているのかも考察する。

コロナ禍でも"牛丼やハンバーガー"底堅い

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って不要不急の外出が抑制される中、外食産業では業績悪化の懸念が高まっている。客数の減少はもちろん、休業や営業時間の短縮に伴う機会ロスも重なり、足元の売上動向は厳しい。新型コロナウイルスの影響が大きくなった3月以降の業績動向を見ていきたい。

ファミリーレストラン「ガスト」などを運営するすかいらーくグループの3月以降の月次業績は、客数が大きく遠のいたことで、既存店売上高は3月が前年比24%減、4月が同58%減、5月が同48%減、6月が31%減と大幅に減った。

同じくファミレスを運営するサイゼリヤも客数の減少により、3月の既存店売上高は同22%減、4月は同61%減、5月は同52%減、6月は同37%減少した。

しかし、月次リリースを広く見てみると、必ずしも外食企業全ての業績が大きく悪化しているわけではないことに気付く。

牛めしの「松屋」を展開する松屋フーズHDの3月の既存店売上高は5%減と、ファミレスチェーンと比較すると減少幅は限定的であった。もっとも、その後同社の月次も悪化している。4月は同22%減、5月は同21%減、6月は同17%減となっており、3月当初は踏ん張っていたもののその後は厳しい状況に陥っているという格好だ。

同じく牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーHDも8%減と、減少こそしたものの、1桁台にとどまる底堅さを見せた。その後も4月は同12%減、5月は同9%減、6月は同9%減と、ファミレスと比べると軽傷ともいえる。

牛丼以外では、日本マクドナルドHDが3月は前年比ほぼ横ばい(0.1%減)、4月が同7%増、5月が15%増となった。6月は一転、同3%減となっているが、他の外食産業の落ち込みと比較すると非常に強い印象だ。

決め手は"密集・密接の回避"と"デリバリー・テイクアウトの認識の強さ"か?

外食企業でも業績の落ち込み度合いに大きな差が生じるのはなぜだろうか。

コロナ禍では、いわゆる「三密」を避ける動きが広まっている。三密とは「密閉・密集・密接」から名付けられた言葉だ。この風潮を踏まえると、まずは「客層の違い」が足元の業績動向に影響しているとの考えが浮かぶ。

「外食」の括りの中でも、客層は一人客やファミリー、サラリーマン、観光客といったようにバリエーションは幅広い。そうした中、グループ客で利用されることの多いファミレスは密集・密接した食事となりがちなため、客数が大きく減少していると考えられる。

一方で、一人客の利用が多い牛丼店については隣席が空いた席に座るなどして密集・密接をある程度避けることができる。「1~2席空いていれば大丈夫なのか?」という真偽はここでは議論しないが、感染に対する警戒感が人によってまちまちである中、上述した点を理由に「牛丼店なら許容範囲だろう」と考える人は少なくないと思われる。

また、「デリバリーやテイクアウトに対する認識の強弱」も明暗を分けているように考える。

店内での食事を避ける風潮が広まる中、デリバリーやテイクアウトができる店の利用は活発化しているとみられる。

ただ、SNSなどで利用者の声を探ってみると、デリバリーやテイクアウトに関する認識には大きな違いがあるとみる。

元来、テイクアウトの利用客も多かった牛丼店やマクドナルドについては「利用する回数が増えた」という声がSNS上で多く見られる。

一方でファミレスについては、もともと店内で食事するシーンが圧倒的に多いことから、「テイクアウトもできることを最近知った」とする声がしばしば見受けられる。

デリバリー・テイクアウトの可能店舗を幅広く検索して探そうとする人はいるだろうが、「デリバリーするならこの店、テイクアウトならあの店」といったイメージのもと、普段通りの思考回路で牛丼店やマクドナルドを利用している人も多いと思われる。

昨今では、そういった利用者の頭に従来から根付いているイメージが、そのまま集客のカギになっていると考える。

ファミレス株は2~3割下落 マクドナルドは2019年末終値を上回る

このような事情は株価にもある程度反映されている。新型コロナウイルス感染拡大が大きく意識される前の2019年年末の株価と現在の株価について見ていこう。

すかいらーくHDの株価は、2019年末終値は2135円であったのが、7月22日時点で終値は1638円。23%下落。

サイゼリヤは2019年末には2663円であったが、7月22日時点の終値は1831円と、31%下落となっている。

松屋フーズHDは2019年末の株価は4530円に対して、7月22日時点の終値で3580円と、21%下落。

ゼンショーHDの2019年年末の株価は2469円であったのが、7月22日時点での終値は2102円となっており、15%下落と下落幅はやや控えめ。

マクドナルドに至っては2019年末と現在の比較では小幅なプラスとなっている。2019年末に5240円であったのが、7月22日時点の終値は5580円となっている。

まとめにかえて

コロナ禍がいつまで続くのかは誰にも予想できず、そのため、足元の月次の強弱が長期的に続くのかといった点も不透明さが強い。

しかし、緊急事態宣言が延長されるなど依然として終息の兆しが見えてこない中では、市場でも昨今の各社の動向を「中~長期的要素」として捉える動きが出てくるだろう。

各社の月次はもちろん、バリュエーション(株価評価)の動向を今後も追うことで、市場の「外食企業各社に対する評価の変化」を随時確認していけると考える。

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